犬や猫が高齢になり動物病院への通院が増えることで、ペット保険の必要性を感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、ペット保険は、加入できる年齢に制限があります。
この記事では、高齢時のペット保険の必要性とあわせて、加入できる年齢別にペット保険を紹介します。
犬や猫が高齢になってからでもペット保険への加入をおすすめする理由
「犬や猫の老後の診療費が心配になってきたけど、ペット保険を検討するには遅いかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ペットが高齢になってからでも、ペット保険への加入を検討してみることをおすすめします。
ここでは、高齢なペットが病気にかかるリスクを紹介したうえで、ペット保険に加入するメリットをお伝えします。
犬や猫も高齢になるほど病気やケガのリスクが高まる
獣医療の発達や生活環境の向上などによって、ペットの高齢化が進んでいます。
人間と同様に、高齢犬・高齢猫になると免疫力や体力が低下するため、病気やケガのリスクが高まります。
病気やケガがきっかけとなって、他の病気を併発したり、寝たきりになってしまったりすることも考えられます。
若い頃の病気やケガは免疫力や体力があるので早く回復する場合もありますが、高齢時に患った病気やケガは命に関わりかねません。
高齢になるほど高額になる診療費の負担を軽減できる
獣医療が発達し、以前は治らなかった病気でも治療法が確立されつつありますが、より高度な医療を行うとなると診療費の負担も大きくなることがあります。
また、年間診療費は1歳の犬が22,530円なのに対し、12歳の犬では149,757円。
猫では1歳で13,744円なのに対し、12歳で78,268円と、ペットが高齢になるほど、診療費の負担が大きくなることがわかっています。
ペットには人間のように医療保険がなく、全額自己負担となるので診療費に備えておかなければなりません。
そこで、万が一の診療に備えてペット保険に加入しておけば、病気やケガのリスクが比較的大きい高齢なペットの診療費に対する負担を軽減することができます。
参照元|家庭どうぶつ白書2019
保険に加入しておくことで少しの異変でも通院できる安心感が得られる
また、保険に入っているという安心感から、病気かな?と迷ったときにも病院に連れていきやすくなり、病気やけがの早期発見・早期回復に繋がることもあるかもしれません。
大切なペットとできるだけ長く過ごすためにも、ペット保険の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
高齢のペットのための保険の選び方|まずは各社の年齢制限をチェック!
ペット保険に新規加入できる年齢には、保険会社ごとに上限があることをご存知ですか?
会社によって年齢制限は異なりますが、年齢が上がるほど加入できるペット保険は限られてしまうのです。
ペット保険を検討する際、補償内容や保険料を比較することが大切なのは当然ですが、高齢のペットの場合、まずはご自身の犬や猫の年齢で入れる保険を把握することから始めましょう。
当サイトに掲載している犬と猫が加入できるペット保険について、加入できる年齢が高い順にまとめると、下記の図のようになります。
7歳11ヶ月までならどのペット保険にも加入できる
年齢制限の上限が一番若く設定してあるペット保険は、アニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」と「どうぶつ健保ぷち」、ペット&ファミリー損保で7歳11ヶ月までです。
したがって、7歳11ヶ月までであれば、年齢面ではどのペット保険でも加入することが可能です。
保険会社ごとに異なるプランの中から、あなたの犬や猫にぴったりの保険を見つけるためのポイントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
8歳を超えると加入できるペット保険が限られてくる
一方、8歳以降は加入できるペット保険は限られてきます。
特に高齢な10歳以上に関して、年齢別に加入できるペット保険をまとめると以下のとおりです。
10歳でも加入できるペット保険
・楽天ペット保険
・SBIいきいき少短
・アイペット損保
・アニコム損保 どうぶつ健保しにあ
11歳でも加入できるペット保険
・SBIいきいき少短
・アイペット損保
・アニコム損保 どうぶつ健保しにあ
12歳でも加入できるペット保険
13歳、14歳、15歳以上でも加入できるペット保険
ペットの年齢が13歳以上の場合、新規に加入できるペット保険はアニコム損保の「どうぶつ健保しにあ」のみです。
「どうぶつ健保しにあ」について詳しく知りたい方は、12歳以上で加入できる各社の保険の比較とあわせて、下記のページでご確認ください。
※ペットの健康状態等による引受基準は各社によって異なります。
※ここには保険商品の内容のすべてを記載しているものではありませんので、あくまで参考情報としてご使用ください。
※ここに記載されている保険商品の詳細な内容については、重要事項説明書および約款にて必ず全般的にご確認ください。
高齢の犬・猫のペット保険を選ぶときにチェックしたい項目
ペット保険選びにおいて、年齢制限は大切なチェックポイントですが、補償内容や保険料なども商品やプランによって異なるので、確認する必要があります。
「自分は何を重視したいのか」を意識したうえで、補償内容や保険料を項目ごとに比較することが大切です。
ここでは、高齢犬・高齢猫のための保険を選ぶ時にチェックしたい項目について解説します。
補償範囲|通院・入院・手術のどこまでが補償となるか
保険会社によっては、手術のみに特化したプランや、ケガのみに特化したプランなども用意されています。
動物病院でかかった多くの診療費に備えたい場合は、通院・入院・手術を補償範囲とするペット保険を探してみましょう。
10歳でも入れる保険の補償内容一覧
保険会社/商品名 | 補償割合 | 新規加入可能年齢 | 回数(日数)制限 | 1日(回)あたりの上限金額 | 待機期間 | 窓口精算 | 免責金額 | 付帯サービス |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アイペット損保 うちの子 |
50% | 12歳11ヶ月まで | 通院・入院は年22日まで 手術は年2回まで |
通院・入院は1万2,000円まで 手術は10万円まで |
なし | あり | なし | あり |
70% | 通院は1万2,000円まで 入院は3万円まで 手術は15万円まで |
|||||||
楽天ペット保険 スーパーペット保険 通院つきプラン |
50% | 満11歳未満 (10歳11ヵ月まで) |
通院は年22日まで 入院は年25日まで 手術は年3回まで |
通院・入院は1万2,000円まで 手術は12万円まで |
病気は30日間 | なし | なし | あり |
70% | 通院・入院は1万5,000円まで 手術は15万円まで |
|||||||
SBIいきいき少短 スタンダードプラン |
50% | 11歳11か月まで | なし(年間50万円まで) | 病気は1か月間 | なし | なし | あり | |
70% | なし(年間70万円まで) | |||||||
SBIいきいき少短 ライトプラン |
50% | なし(年間50万円まで) | 1日あたり5,000円 | |||||
70% | なし(年間70万円まで) | 1日あたり7,000円 |
※保険期間は1年間、満期返戻金なし
※ここには保険商品の内容のすべてを記載しているものではありませんので、あくまで参考情報としてご使用ください。
※ここに記載されている保険商品の詳細な内容については、重要事項説明書および約款にて必ず全般的にご確認ください。
免責金額の有無|毎月の保険料を抑えられる側面も
保険会社によっては免責金額を定めているものもあります。免責金額とは、診療を受けた際に自己負担する金額のことです。
例えば、免責金額が5,000円に設定されている場合、補償対象となる診療費が5,000円以下の場合は、自己負担になります。
※診療費に補償割合をかけてから、免責金額を差し引く計算方式を採用している保険商品もあります。
また、定められている補償割合に応じて自己負担額が決まるため、加入前にきちんと確認しておきたい項目です。
補償割合の計算例
補償割合とは、診療費などにかかった費用のうち何%が保険金として支払われるかを指します。例えば、補償割合が70%であれば残りの30%が自己負担となり、100%であれば全額保険金として支払われます。
基本的には、補償の割合が高ければ高いほど自己負担を抑えることができますが、その分支払う保険料も高くなるため、バランスを考えて加入先の検討すると良いでしょう。
補償対象となる診療費 | 補償割合 | 保険金 | 自己負担 |
---|---|---|---|
10万円 | 50% | 50,000円 | 50,000円 |
10万円 | 70% | 70,000円 | 30,000円 |
10万円 | 100% | 10万円 | 0円 |
支払限度額と支払限度回数|補償内容はトータルで確認しよう
免責金額の有無や、補償の割合だけで保険を検討するのはおすすめできません。
なぜなら、通院や入院1日あたりや、手術1回あたりに支払われる保険金、または保険期間中の総額には限度額が決められているためです。
月々の支払いを大きくして補償割合の高い保険に申し込んでいても、支払われる限度額が小さく設定されている場合、結果として自己負担額が大きくなってしまうケースも考えられます。
また、支払われる金額のほかに、日数や回数に上限が定められている場合もあります。
補償の割合が大きければ、必ず何回でも大きな保険金を支払ってもらえるということではないため、補償の内容については事前にきちんと確認しておくようにしましょう。
保険料|月々の負担額と補償内容を照らし合わせた検討が大切
ペット保険に加入するとき、保険料はどうしても気になるポイントだと思います。
しかし、ペット保険を保険料の安さだけで選ぶことはおすすめできません。
たとえば、保険料が安くても、補償対象外となる病気が多く設定されていると、いざというときに補償を受けることができない可能性が高くなります。
必要なときに必要な補償を受けるためにも、ペット保険を選ぶ際は、保険料だけでなく補償内容も確認することが大切です。
また、保険料は基本的にペットの年齢に応じて高くなっていきます。保険料を確認するときは加入時の金額だけでなく、数年後の保険料も確認しておきましょう。
10歳でも入れる保険の保険料一覧
当サイトに掲載している保険会社の通院・入院・手術をカバーするプランのなかから、10歳の犬・猫でも加入することができるペット保険の保険料を確認しましょう。
ここでは、「トイプードル、補償割合70%、月払、免責金額なし、各種割引制度の適用無し、選択可能なオプション特約は選択しない」という条件で、各社の保険料をまとめました。
※この保険料表示にかかる詳細な前提条件は、保険料表の直下に記載していますので、そちらでご確認ください。
なお、実際に保険商品を選ぶ際は、保険料だけでなく、これまでに紹介した補償範囲や補償内容等もあわせてご検討ください。
保険会社/商品名 | 補償割合 | 10歳 | 11歳 | 12歳 | 13歳 | 14歳 | 15歳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アイペット損保 うちの子 |
70% | 6,990 | 7,720 | 8,510 | 8,510 | 8,510 | 8,510 |
楽天ペット保険 スーパーペット保険 通院つきプラン |
70% | 6,530 | ー | ー | ー | ー | ー |
SBIいきいき少短 プラン70スタンダード |
70% | 6,291 | 6,291 | ー | ー | ー | ー |
【上表の保険料の前提条件】
・表内金額の単位はすべて円。
・各社の保険料表に基づいて作成。
・トイプードル、補償割合70%、月払、免責金額なし、各種割引制度の適用無し、選択可能なオプション特約は選択しない。
・なお、SBIいきいき少短「ライトプラン」は免責金額があるため、上表では表示していない。
・楽天ペット保険の11歳以降の保険料に関してはそれぞれの保険会社に直接お問い合わせください。
・SBIいきいき少短の12歳以降の保険料はSBIいきいき少短のウェブサイトでご確認ください。
【各社個別の条件】
・SBIいきいき少短「プラン70スタンダード」は、WEB申込の場合の保険料を表示。
【注意事項等】
※保険料は、今後の商品改定等により変更となる場合があります。
※ペットの健康状態等による引受基準は各社によって異なります。
※ペット保険に加入する際、前提となる条件の違いにより保険料が異なる場合があります。実際に適用される保険料については、保険会社に問い合わせたうえで商品を選択しましょう。
※ペット保険は、保険料だけではなく、契約条件や補償内容などの要素も考慮したうえで比較・検討してください。
※ここには保険商品の内容のすべてを記載しているものではありませんので、あくまで参考情報としてご使用ください。
※ここに記載されている保険商品の詳細な内容については、重要事項説明書および約款にて必ず全般的にご確認ください。
保険金の請求方法|窓口精算か後日精算か
保険金の請求方法には「窓口精算」と「後日精算」の2種類があります。
窓口精算の場合は、動物病院で発生した金額からペット保険の契約内容に応じた差額分を支払う形になるので、保険金を精算する手間を省くことができます。これにより、急に高額の診療費が発生した場合でも対応しやすくなるのもポイントです。
保険金の請求方法に利便性を求めるのであれば、窓口精算の可否は気になるところでしょう。
ただし、窓口精算は保険会社が提携している動物病院のみの対応となり、提携外の病院を受診した際は、後日精算として保険会社に郵送などで保険金を請求することになるため、注意が必要です。
付帯サービスの有無|ペットに関連したサービスを受けられる保険も
ペット保険によっては、獣医師に相談できるサービスやペット関連施設の優待サービスなどが付帯されている場合があります。
診療費に対する補償以外に、便利なサービスも受けたい方は付帯サービスの有無についても確認しましょう。
高齢のペットのために保険へ加入するときの注意点
最後に高齢のペットの診療費に備えて、保険に加入する際の注意点について解説します。
特にすでに持病がある場合、新規契約や契約更新において大きな影響を与える可能性があるため、よく確認しておくようにしましょう。
ペットの持病や病歴については事前申告が必要
ペット保険に加入する際に持病がある場合や、病歴がある場合には必ず事前申告をする必要があります。
告知をしないで契約を進めてしまった場合、それが発覚すればいざという時に保険金が支払われないことや、強制的な解約に追い込まれてしまうことがあります。
特に高齢のペットを保険に加入させる場合には、申告とは別に健康診断書を求められるケースもあるため、きちんと確認しましょう。
・がん(悪性腫瘍)
・糖尿病
・肝硬変
・腎不全(腎臓病)
・心疾患
・椎間板ヘルニア
・甲状腺疾患
・尿路結石
毎年の保険更新時の審査次第で継続を断られたり条件がつくことも
ペット保険は1年経つごとに更新が必要です。新規加入をする際には年齢制限を設けれられていますが、多くの保険会社では更新の年齢には制限を設けておらず、終身継続が可能になっています。
ただし、一定の年齢以上は更新できないよう取り決められている場合もあるためペット保険ごとの条件を確認しましょう。
契約の更新時には、保険加入中の病歴や保険金請求の有無などに基づいた審査が行われます。
状況次第では保険料の増額や、継続に際する条件がつくなどするケースもあります。
生年月日がわからないときは動物病院で推定年齢を調べてもらおう
ペット保険に加入する際には、年齢を申告しなくてはなりません。
基本的にペットの年齢は血統書やワクチンの証明書などで確認することができます。
しかし、これらの書類がない場合や、保護犬・保護猫の場合には動物病院で推定年齢を算出してもらうことが可能です。
またペット保険の加入時に年齢がわからない場合、各社で求められる対応が異なります。
誤った年齢を告知してしまうと、告知義務違反となり保険金が請求できなかったり、強制解約になってしまったりすることもあるため、各社の対応について詳しくは下記記事でご確認ください。
獣医師から見た高齢ペットの病気と保険
以前は保険制度もあまり浸透しておらず、内容も充実していなかったので、飼い主様も病院を受診される時に躊躇われることも数多くありました。
犬猫も高齢化する中で、病気になりやすい歳になった時に頼れる保険がある事は心強いと思います。
急な怪我や体調不良だけでなく、通院が必要な場合にも、年齢や症状を踏まえて保険がどういった内容か、補償の支払い方法までを比較して選べる様になった保険制度には、助けられる飼い主様も多いのではないでしょうか。
検査や治療をする際も、費用面から断念せざる得ない可能性を考えると、高齢でも諦めずにもしもの時に備えておく保険は重要だと言えます。
上手くこういった情報を活用して、これからの病気、怪我に備える事は大切ですね。
保険会社によっては動物病院と提携している場合もあるので、よりスムーズに安心して検査や治療に専念できると思います。お近くのかかりつけ医で一度お伺いされると良いでしょう。
まとめ
獣医療の発達によってペットの寿命は延びているものの、やはり若齢期に比べると、高齢期に病気やケガを患った場合は治療に時間がかかり、それに伴って診療費の負担が大きくなることもあります。
ペット保険には加入できる年齢に上限が定められていることがほとんどです。
なかにはアニコム損保の「どうぶつ健保しにあ」のように、上限のないペット保険もありますが、ペットの年齢が上がるにしたがって選択できる商品は少なくなってしまいます。
今は健康であっても、高齢時に病気やケガをするリスクを考え、万が一の際に最適な治療法を選択するために、ペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
持病や病歴があっても、条件付きで加入できるケースもあるので、まずは問い合わせてみることをおすすめします。
ペット保険のトリセツでは、犬や猫の保険選びに関するあらゆる疑問を解決しています。
自分の犬にあった保険を選びたい方はぜひこちらの記事もご覧ください。
【募集文書番号】アイペット損害保険株式会社:募2406-058(26.04)/アニコム損害保険株式会社:W2201-0048/SBIいきいき少額短期保険株式会社:B2-24-J-0238(2024.08)/ペットメディカルサポート株式会社:ANI211115