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症例編

【獣医師監修】猫白血病ウイルス感染症にみられる具体的な症状|治療でできることや診療費の目安とあわせて解説

猫白血病ウイルス感染症は、くしゃみや貧血、リンパ腫などの症状が現れる感染症です。特に子猫がかかると命の危険があり、早期治療が求められます。

本記事では、猫白血病ウイルス感染症の症状や平均寿命、感染時の診療費事例から万が一の診療費に活用できるペット保険について解説します。

猫白血病ウイルス感染症の概要と感染経路

添い寝する猫

猫白血病ウイルス感染症とは、猫科動物以外の人間や犬にはうつらないとされる感染症で、猫白血病ウイルス(FeLV)を原因としてさまざまな症状がみられます。

場合によっては数ヶ月から数年で命にかかわる状態になる猫も多いため、何よりも感染しないことが重要です。
まずは、猫白血病ウイルス感染症の概要と感染経路について解説します。

猫白血病ウイルス感染症の発症率

猫白血病ウイルス(FeLV)への感染は、世界中で認められています。
統計によると、日本国内にいる猫の約3%〜5%が感染しているといわれ、一般的に感染から約3年以内に発症する傾向があります。

特に免疫力の低い子猫は、体外にウイルスを排出することが難しいため発症しやすく、注意が必要です。

また、外で暮らす野良猫の約半数は猫白血病ウイルス(FeLV)に罹患しているといわれるため、野良猫との接触が疑われる場合は、速やかにかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

参照元:ルナ動物病院|猫白血病とは

猫白血病ウイルス感染症と診断されてからの平均寿命は2年から3年程度

感染リスクは年齢やワクチンの有無などによって異なるものの、猫白血病ウイルス感染症と診断された際の平均寿命は、2年から3年程度です。

なかでも生まれたての子猫が猫白血病ウイルス(FeLV)に感染した場合、抵抗力の弱さから、その多くが命を落とす傾向にあります。
4歳まで生きられない可能性が高いため、子猫のうちは特に注意が必要だといえるでしょう。

参照元:ミル動物病院|FeLV(猫白血病ウイルス)感染症と予防について
参照元:一般社団法人・日本臨床獣医学フォーラム|猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

感染経路は猫同士の接触が主!トイレや食器の共有からも感染する

一般的に唾液や糞便、鼻汁などに猫白血病ウイルス(FeLV)が存在するため、感染の多くは猫同士の接触によって成立します。

主な感染経路は、以下の通りです。

  • くしゃみ
  • グルーミング
  • ケンカ
  • 交尾
  • トイレや食器の共有

主に唾液を介することが多いため、猫を多頭飼いしている場合は特に注意しましょう。

多頭飼いの環境で1匹の猫が感染した場合は、できる限り隔離し、他の猫との接点をなくすことが大切です。

ウイルス検査をしておらず、貧血や慢性的な病気に悩まされている猫は感染が疑われるため、速やかに獣医師に相談することをおすすめします。

母猫が猫白血病ウイルス陽性なら子猫へ母子感染するケースも

猫白血病ウイルス感染症は、母猫から子猫へ母子感染するケースも少なくありません。

母猫が陽性である場合、胎盤を介したり、ウイルスが含まれる母乳を飲んだりすることで子猫に感染します。

妊娠中に胎児に感染した場合、流産や死産になることも少なくありません。

また、母猫によるグルーミングによって、子猫にウイルスが伝播することもあります。

猫白血病ウイルス感染症にみられる主な症状

丸まり猫

猫白血病ウイルス感染症を患った場合、さまざまな症状が猫の体に現れます。
容態が急激に悪化する恐れもあるため、以下に紹介するような症状がみられる場合は、速やかにかかりつけの動物病院を受診して検査を受けましょう。

貧血

猫白血病ウイルス感染症を患った場合の症状としてまず挙げられるのが、貧血です。
その多くは非再生性貧血であり、骨髄への猫白血病ウイルス(FeLV)の侵入によって正常な赤血球が作れなかったり、免疫異常から赤血球を破壊したりすることで起こります。

進行すると呼吸困難や昏睡などを引き起こすこともあり、命にかかわりかねません。
貧血を起こしている場合、猫の鼻や耳が白っぽくみえることが多いため、注意して観察しておきましょう。

参照元:下田哲也・真下忠久・松川拓哉・中西淳・岩本竹弘・長谷川篤彦|猫白血病ウイルス感染猫にみられる貧血の臨床的特徴

リンパ腫

リンパ腫も、症状の1つとしてみられる場合があります。なかでも、特に関連して生じやすいのが、心臓の上の部分にできる縦隔(じゅうかく)型リンパ腫です。

縦隔型リンパ腫は胸の中にできるため、巨大化することで心臓や肺の圧迫による呼吸困難や胸水の貯留などの症状を起こします。
進行すると、呼吸困難やチアノーゼなども生じかねません。

リンパ腫は早期発見・早期治療が重要であるため、呼吸が早い、食欲が落ちているなどの様子がみられる場合は、速やかに動物病院で検査してください。

参照元:埼玉動物病院医療センター|腫瘍(がん)

免疫抑制による難治性の口内炎

猫白血病ウイルス感染症を患うと、免疫抑制による難治性の口内炎を発症することもあります。

広い範囲で酷い炎症を起こし、強い痛みを伴うことが多いため、食欲の低下などを起こします。

放置した場合、摂食困難に繋がり、脱水や衰弱症状を引き起こしかねません。

また、口腔内の痛みから毛づくろいが困難になり、毛艶が悪くなることもあります。
口臭がする、よだれが多い、食事をためらうなど、いつもと様子が違うと感じる場合は、早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。

参照元:ふく動物病院|猫の難治性口内炎

FeLVのタイプによっても具体的な症状は異なる

猫白血病ウイルス感染症の原因となる猫白血病ウイルス(FeLV)は、現在A〜C及びTの4種のサブタイプが知られており、タイプによって具体的な症状が異なる傾向があります。

猫白血病ウイルス(FeLV)のサブタイプ
  • FeLV-A
  • FeLV-B
  • FeLV-C
  • FeLV-T

例えばFeLV-Aは、免疫不全や免疫介在性血球減少症、リンパ系腫瘍や急性白血病などが生じます。
唯一単独で猫同士の感染が可能であり、感染猫の多くがAタイプを患っているといわれています。

一方、FeLV-Bはリンパ系腫瘍や急性白血病が、FeLV-Cは再生不良性貧血などの重篤な血球減少症などが生じるタイプです。また、FeLV-Tは、免疫不全を引き起こすことがあります。

参照元:猫感染症研究会|猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルス感染症は感染の状況によって治るかどうかが左右される

手足をたたんで見詰める猫
猫白血病ウイルス感染症の感染状況は大きく3つに分けられ、状況によって治療方法や予後が左右されます。
ここからは、猫白血病ウイルス感染症の感染状況について解説します。

参照元:一般社団法人・日本臨床獣医学フォーラム|猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
参照元:壱岐動物病院|猫白血病ウイルス感染病(FeLV)

持続感染

3つの感染状況のうち、子猫に多くみられるものが持続感染です。

持続感染とは、免疫力でウイルスを排除できず、感染から4ヶ月以上経過してもウイルス検査の結果が陽性の状態を指します。

特に生まれたての子猫や基礎疾患を持っている猫などの場合、高い確率で持続感染になるといわれています。
一方で、離乳期を過ぎて感染した猫の場合は約50%、1歳以上の成猫の場合は約10%の割合で持続感染を起こす傾向があります。

持続感染の場合、その多くが感染から約3年以内に発症する他、貧血やリンパ腫といった猫白血病ウイルス(FeLV)に関連する病気を生じることが多いため注意が必要です。

一過性感染

感染が、一過性で終わる場合もあります。
一過性感染とは、発熱や元気消失などの急性期症状に耐えた後、免疫の反応によってウイルスを体内から完全排除した状態のことです。
その結果、基本的に貧血や免疫異常などの猫白血病ウイルス(FeLV)に関連する病気は生じません。

一般的に、一過性感染は16週以内に起こるものを指し、この期間よりも長くウイルス検査の結果で陽性がみられる場合は持続感染が疑われます。

なお、ウイルス検査で陽性から陰性に変わった後も、約1年間は骨髄にウイルスが潜んでいる可能性があるため注意しましょう。

潜伏感染

ウイルスを完全に排除できなかった場合、潜伏感染となる場合もあります。
これは、症状を示していないものの、体内にウイルスが存続している状態を指します。

この場合、ストレスやステロイド投与など何らかのきっかけによって免疫力が低下した際に、体内に潜伏していたウイルスが再び活発化し、さまざまな症状を起こします。
一方で、ウイルスが潜伏したまま、その後症状を発症することなく過ごす場合もあります。

潜伏感染が疑われる場合は、万が一に備えて、獣医師と相談しながら根気強く体調を管理する必要があるでしょう。

猫白血病ウイルス感染症の主な治療方法と発生し得る診療費

寝転ぶ猫

猫白血病ウイルス感染症は、基本的に完治が難しく、度重なる通院で家計への負担も膨らみやすい病気です。
ここでは、猫白血病ウイルス感染症の主な治療方法とともに、発生し得る診療費について解説します。

猫白血病ウイルス感染症の主な治療方法

猫白血病ウイルス感染症を発症した際の特効薬はありません。
そのため、治療方法としては、猫白血病ウイルス(FeLV)による免疫力の低下が引き起こす各症状への対症療法が一般的です。

例えば、リンパ腫を患っている場合には抗がん剤治療、慢性口内炎が生じている場合はステロイド剤や抗菌薬などを用いて炎症を抑えたり、二次感染を防止したりします。

また、抗ウイルス作用としてインターフェロンを用いた治療を行うこともあります。
症状が進行すると治療がさらに難しくなるため、愛猫に異変がみられる場合は速やかに獣医師に相談してください。

猫白血病ウイルス感染症の治療にかかる費用の目安

猫白血病ウイルス感染症を患った場合、その多くは対症療法が行われるため、症状やその他に併発している病気などによって診療費が異なります。
例えば、猫白血病ウイルス検査のために動物病院を受診する場合、以下のような費用が想定されます。

猫白血病ウイルス(FeLV)検査で受診する場合

  • 初診料……550円
  • 猫エイズ・白血病ウイルス検査……4,400円

合計金額:4,950円

参照元:みむら動物病院|料金設定
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

猫白血病ウイルス検査の結果が陽性で、複数回の通院や集中治療が必要となる場合は、通院費や入院費などを含めてさらに高額になるでしょう。
また、ウイルス感染によってリンパ腫が生じている場合は以下のような費用が想定されます。

縦隔型リンパ腫の疑いで受診する場合

  • 初診料……約1,000円
  • 血液検査……約4,000円
  • ウイルス検査……約2,000円
  • レントゲン検査……約3,000円
  • 組織診……約10,000円
  • 抗がん剤

合計金額:約20,000円(抗がん剤など薬代を除く)

参照元:日本獣医師会|家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

縦隔型リンパ腫の場合、抗がん剤による治療が一般的であり、通院治療が必要です。
また、胸水の貯留がみられる場合は、胸水の除去処置や利尿剤の投与などを行う場合もあります。

猫白血病ウイルス感染症の診療費にはペット保険が適用できるケースも

猫白血病ウイルス感染症は高度な治療が必要になるケースも多く、症状の程度などによっては診療費が高額になる傾向があります。

こうした場合に頼りになるのが、ペット保険です。
猫白血病ウイルス感染症の診療費には保険が適用されるケースがあり、通院や入院などに対する経済的負担を軽くしてくれます。

保険に加入していることで、万が一猫白血病ウイルス感染症を患った際にも、安心して治療を受けさせてあげられるでしょう。

ですが、ケガや病気をしてからペット保険へ加入をしようと思っても、保険に加入する前からの症状に対して保険は利用できません

小さな家族を守る手段の1つとして、愛猫が健康なうちから、保険への加入を検討することをおすすめします。

要注意!ワクチンで予防できる病気は補償されない可能性もある

ペット保険は、ワクチンで予防可能な病気は原則補償されません。猫白血病ウイルス感染症はワクチンで予防ができる病気のため、ペット保険の補償対象外となる可能性があります。

ただし、ワクチンを接種していて、その有効期間内に猫風邪を発症した場合や、猫の健康状態や体質などにより、獣医師の判断によってワクチンが受けられなかった場合などには、補償の対象になる場合もあります。

ペット保険への加入を検討する際は、約款や重要事項説明書の確認を行い、不明点があれば各保険会社に問い合わせるようにしましょう。

ワクチン ペット保険
犬や猫のワクチン接種はペット保険の補償対象?未接種でも加入できる?「犬や猫のワクチン接種はペット保険で補償対象される?」「保険加入前に予防接種は必要?」といった疑問を犬や猫のワクチン接種にかかる費用や必要性と併せてわかりやすく解説します。...

ペット保険は診療費への備えのほか病気の早期発見にもつながりやすい

ペット保険の加入は、診療費への備えはもちろん、病気の早期発見にも繋がりやすいというメリットもあります。

高額な診療費がかかりやすい猫白血病ウイルス感染症ですが、ペット保険によって経済的負担が軽くなれば、愛猫に最適な治療を選択しやすくなるでしょう。

また、補償があるという安心感から、動物病院の受診をためらうことがなくなり、結果として病気の早期発見・早期治療にもつながります。

猫白血病ウイルス感染症の予防方法と発症の疑いがある時の対処法

不貞寝する灰色猫

最後に、猫白血病ウイルス感染症の予防方法と発症の疑いがある時の対処法について紹介します。

猫白血病ウイルス感染症は、症状が進行するほど治療が難しい病気であるため、愛猫がなるべく猫白血病ウイルス(FeLV)にかからないように、普段から飼育環境を整えておくことが大切です。

獣医師と相談のうえ必要に応じたワクチンを接種させる

猫白血病ウイルス(FeLV)の感染予防策には、ワクチンが挙げられます。
ワクチン接種によって感染を完全に予防できるわけではありませんが、感染リスクの低下や重症化予防などの効果が得られます。
特に愛猫が屋外に出る可能性がある場合は、早い段階から接種を検討してください。

なお、猫白血病ウイルス(FeLV)への感染は、パルボウイルス感染症や猫風邪に罹患した際の重症化に繋がりやすいため、コアワクチン(3種ワクチン)の定期的な接種によって対策するケースが多くなっています。

必ず獣医師と相談した上で、必要に応じたワクチンを接種しましょう。

また、脱走後に帰ってきた猫や保護猫などの新しい猫を迎える場合は、一定期間隔離して、その間にウイルスに感染していないか検査することをおすすめします。

参照元:前田 健、佐藤 宏 監修|臨床獣医師のための犬と猫の感染症診療(緑書房)

室内で飼育して他の猫との接触を避ける

猫白血病ウイルス(FeLV)は、主に感染猫の唾液や鼻汁などを介して感染します。そのため、できるだけ室内で飼育して、他の猫との接触を避けるようにしましょう。

特に野良猫とのケンカやグルーミングなどから感染することも多いため、頻繁に外に出る猫ほど感染リスクが高まります

多頭飼いの場合は完全に隔離する必要があるため要注意

多頭飼いの環境で、感染猫がみつかった場合は慎重に対処しましょう。
たとえ猫同士が別々の空間で生活していても、トイレや食器の共有などを介してウイルスに感染する可能性があるからです。

そのため、感染猫と接触しないよう、完全に生活空間を切り離す必要があります。

なお、猫白血病ウイルス(FeLV)は、通常の環境下では生存力が弱いため、塩素やアルコール、洗剤などでこまめに飼育環境を掃除・消毒するだけでも高い予防効果が期待できます。

参照元:猫感染症研究会|猫白血病ウイルス感染症

監修担当の獣医師より

小島 麻里 先生

猫白血病ウイルス感染症は昔からある病気で、ウイルスや治療に関する研究がされています。

しかし現在でも特効薬はなく、持続感染したら完治が難しいためずっと付き合っていかなければいけないものです。

新しく猫ちゃんを迎えて多頭飼いになったり、外に脱走して帰ってきた時は猫白血病ウイルスに感染している場合もあるので注意が必要です。

特に、保護猫を迎えた場合などはそれまでの環境が不明なため、ウイルスの潜伏期間も考えて複数回検査が必要になることもあります。
ウイルスに感染しているかどうかは血液を採血して検査キットで調べることができるので、心配でしたら獣医師に相談してください。

まとめ

猫白血病ウイルス感染症は、ひとたび感染・発症してしまうと貧血やリンパ腫、免疫異常などの症状を引き起こす恐れのある感染症です。

場合によっては猫の寿命を何年も縮めてしまうため、完全室内飼いやワクチンの接種などで感染予防しておくことが大切です。

また、感染すると複数回の通院が必要になることが多いため、診療費の負担を少しでも軽減できるようペット保険の加入を検討しておくことをおすすめします。

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記事監修|小島 麻里 先生
酪農学園大学獣医学部獣医学科を卒業後、10年間小動物臨床に従事。 地域密着型の1次病院で経験を積み、東京大学動物医療センターで内科系研修医と並行して臨床研究を行う。 潜水士およびペット管理栄養士取得。7歳になる保護猫2匹(おもち・だんご)と暮らす。 めい動物病院
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トリセツ編集部(アニマライフ)
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ペット保険のスペシャリストである少額短期保険募集人資格保有者が記事の執筆・監修をしています。ペット保険の情報をわかりやすくお伝えすべく、日々最先端のペット保険情報をチェックしています。犬や猫の「もしものとき」に備えるためのペット保険選びを正しい情報でサポートします。
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