この記事では、エキゾチックアニマルが人気になった背景や、代表的な動物の飼い方、そして万が一の備えとして加入できるペット保険について解説します。
エキゾチックアニマルがペットとして注目されている
近年、ペットとして注目を集めている「エキゾチックアニマル」。
多くの場合、一般的にペットとして飼育される犬や猫以外の小動物を指します。
「エキゾチック」という言葉の意味から、「海外の珍しい生き物」「ペットとして飼われない生き物」という意味で使われる場面も少なくありません。
しかし、必ずしも珍しい生き物ではなく、以前からペットとして飼う人も多いハムスターやうさぎなどの小動物の他に、カメやトカゲなどの爬虫類など幅広い生き物がこれにあたります。
飼育されている歴史の古い鳥類や魚類は含まれないという見方も
一方で、ペットとして古くから飼われているインコなどの鳥類や、魚類に関してはエキゾチックアニマルとは呼ばないことが多いという見方もあります。*
一方で、エキゾチックアニマルを診療対象としている動物病院では、インコなどの飼い鳥を診てもらえることも少なくないため、基本的には犬や猫以外の広い動物が該当すると考えて良いでしょう。
*参照元|日本獣医師会「エキゾチックアニマルの生物学(そのI)–ペットとして飼育される哺乳類–」
犬や猫と比較して集合住宅や1人暮らしでも飼いやすいことから注目された
鳴き声や騒音などを理由に、犬や猫の飼育が禁止されている集合住宅も少なくありませんが、鳴き声のない小動物に限って飼育が認められているケースがあります。このような背景から、エキゾチックアニマルをペットとして迎え入れる人が増えたことで注目を集めています。
また、水槽やケージのような小さなスペースで飼育できることや、ごはんの頻度が少なめで、多忙な人でも比較的飼育しやすい傾向にあること、犬や猫よりも飼育にかかる費用が低いことも、ペットに選択する人が多い要因となっています。
生体の値段や飼育にかかる費用は生き物によってさまざま
先述した通り、飼育にあたってかかる費用が少ない傾向にあるエキゾチックアニマルですが、該当する生き物が多い分、生体の値段や飼育費用はさまざまです。
専門店で販売されているような生き物の中には、生体価格が100万円を超えるような珍しいものもあります。また、適切な温度管理のための電気代や、特殊な餌が必要になるなど、飼育費用が高くなる生き物もいます。
エキゾチックアニマルの飼育を検討する際には、無理なく飼い続けることができるよう、費用相場について事前に確認しておくことをおすすめします。
専門の獣医が少なく飼育に関する知見に乏しい課題も
一方で、一般的な獣医はエキゾチックアニマルに関する知識を持っていないことが多く、専門的に診てもらえる動物病院はまだまだ少ないのが現状です。
エキゾチックアニマルを診察する動物病院でも、それぞれ、飼育法の説明や治療方法が大きく異なることも多々あります。
そのため、不安や疑問に思うことがあってから他の動物病院を探そうとしても、エキゾチックアニマルの場合、そう簡単には他の動物病院がみつからないこともあります。
飼おうと思っている生き物を診てもらえる動物病院がどれくらいあるかについては、事前に確認しておくことが大切です。
ペットとして飼われている代表的なエキゾチックアニマル
ここからは、ペットとして飼われているエキゾチックアニマルにはどのような生き物がいるかについて、健康に飼育をするためのポイントと合わせて解説します。
ハムスター
犬や猫以外に飼育される動物に、まずハムスターが思い浮かぶという方も少なくないでしょう。長い間、ペットとして親しまれ続けているハムスターは、生体価格が数千円の品種が多く、ケージや水槽の中で飼育できるため、飼いやすいペットの1つとして挙げられます。
ハムスターを健康に飼育するためのポイント
警戒心が強く夜行性のハムスターは、飼い主に慣れるまで時間がかかるケースもありますが、毎日少しずつスキンシップを取って距離を縮めていけば、きちんとなついてくれる可愛らしさがあります。
綺麗好きな性格のため、飼育環境を清潔に保つことや、1日に数十km走るといわれているハムスターが運動不足にならないよう回し車を設置することで、ストレスのない生活をさせることが飼育のポイントです。
うさぎ
うさぎもまた、多くの人が飼っているエキゾチックアニマルのひとつでしょう。臆病で警戒心の強い性格の子が多いですが、品種や個体によってはなついてくれることもあり、それほど飼育に手間もかからないことから、多くの家庭で飼われ続けている動物です。
うさぎを健康に飼育するためのポイント
うさぎを健康に飼育するためには、適切な温度管理とかじり対策がポイントになります。
毛に覆われているうさぎは暑さに弱く、エアコンを活用して18度から24度、湿度は40%から60%を保ちましょう。
また、うさぎが環境に慣れてきたら、ケージから出してコミュニケーションを取ることもあるかもしれませんが、電化製品のコードを噛んでしまったり、食べてはいけないものを誤飲してしまったりといった事故が起きないよう、対策を講じる必要があります。
インコ
動物病院で診療対象となるエキゾチックアニマルには、鳥類のインコも含まれます。
インコも、家庭で飼うことのできるペットとして人気が高く、手や肩に乗せたり、部屋の中を自由に飛ばせたりといったコミュニケーションも取れる生き物です。
生体価格は数千円から数万円の品種が多く、比較的購入しやすいものの、平均寿命が10年前後から長い品種では30年以上生きるものもあるため、飼育をする際には最後まできちんとお世話できるかどうか考えておくことが必要です。
インコを健康に飼育するためのポイント
インコは基本的に、シードとよばれる混合フードをはじめとした種子類を主食としますが、栄養素が偏ってしまうため、青菜やサプリなどを副食として併用することで栄養バランスを整えてあげるのが良いとされています。
また、インコは寒さに弱いため、保温器具を活用して適温を維持することも大切です。
チンチラ
うさぎやデグーと同じげっ歯類に属する草食動物のチンチラは、狭いスペースでも飼育が可能で鳴き声も小さく、臭いもほとんどしないことから集合住宅で飼育しやすいエキゾチックアニマルとして注目されています。
また、体長は30cm前後と小さいながら、名前を呼ぶと近づいてきてくれるほど賢い動物でなついてくれるため、飼育する喜びも感じやすいかもしれません。
チンチラを健康に飼育するためのポイント
チンチラの主食である牧草は、歯の伸び過ぎを防ぐこともできるため、毎日たっぷりと与えるようにしましょう。また、栄養バランスを整えるため、ペレットを副食として併用するのもおすすめです。
また、運動不足を解消するためにも部屋の中をお散歩させることが大切です。
その際に、他の動物と同様に電化製品のコードや観葉植物など、チンチラがかじる危険性のあるものについては対策をきちんとしておきましょう。
フェレット
好奇心旺盛で人になつきやすいフェレットは、2,000年以上前からペットとして飼育されているといわれています。品種によって性格はさまざまですが、1日のほとんどを眠って過ごしたり、犬や猫に比べて鳴き声がしなかったりすることで、集合住宅の1人暮らしでも飼いやすい動物のひとつです。
フェレットを健康に飼育するためのポイント
好き嫌いがはっきりしているフェレットは、嫌いな餌は空腹でも食べようとしません。
フェレットフードの生産量は少ないことから、稀に供給不足になることがあるため、日常的にあらゆるフェレットフードを混ぜて食べさせることで、さまざまな種類のフードに慣れさせておくことが大切です。
また、フェレットは消化管が短いため、野菜や果物など食物繊維の多いものは与えないよう注意しましょう。
デグー
うさぎやハムスター、先述したチンチラと同様のげっ歯類に属するデグーは、その中でも賢いといわれており、鳴き声の聞き分けによってコミュニケーションも取れるため、人気が高まっています。
飼育環境づくりなどの初期費用は2万円から3万円、その後はエサ代や床材、トイレ用の砂などに必要な消耗品費は毎月2,000円から5,000円程度と、比較的飼いやすい動物のひとつだといえるでしょう。
デグーを健康に飼育するためのポイント
果物や野菜など、デグーにとって糖分の高すぎる食べ物は与えないように注意しましょう。インスリンの働きが弱いデグーは、糖尿病になりやすいとされているため、与える食事には注意が必要です。
また、落下を防ぎながらも立体的な縦構造のケージを用意すると、デグーが好む飼育環境に整えることができるでしょう。
デグーの詳しい飼育方法は、下記記事も合わせてご確認ください。
モモンガ
飛んでいる姿がイメージされやすいモモンガもまた、近年ペットとして飼育する人が増えています。従来は品種によっては非常に高値がつく動物でしたが、ペットとしての人気が高まったことで、1万5,000円から3万円程度の相場に落ち着いています。
野菜や果実、種子だけでなく昆虫類なども食べる雑食で、モモンガ専用のフードと併用しながら栄養バランスを整えてあげる必要があるため、飼い始めの頃は与えるものに迷うこともあるかもしれません。
モモンガを健康に飼育するためのポイント
モモンガは臭腺を持つ動物で、発情期になると強い臭いを放つ分泌液を発するため、気になる場合は手術によって除去する必要があります。また、幼い頃や高齢のモモンガは下痢になりやすいため、飼育環境を清潔に保つようにしましょう。
また、ストレス軽減のために室内で適度に運動させることもおすすめです。
ハリネズミ
ハリネズミも、1人暮らしでも飼育しやすいエキゾチックアニマルのひとつとして挙げられます。
夜行性であるため、日中に仕事などで家を空けているような場合でも、自宅に帰ってからたくさん触れ合えるのはペットとして迎える上で魅力的なポイントになるでしょう。
ハリネズミを健康に飼育するためのポイント
基本的には毎日朝と夜の2回に分けて餌やりをするほか、飲み水を交換したりケージ内を掃除したりする程度の手間しかかからないため、初めてペットを飼うという人にもおすすめです。
ただし、温度と湿度の管理や静かな場所を好む習性があるなど、飼育する環境が重要になるため注意してください。
爬虫類
エキゾチックアニマルと聞いて、爬虫類を連想する人も多いのではないでしょうか。
カメやトカゲ、ヘビなどさまざまな生き物がいるため、必要な飼育環境や主食とする餌も千差万別です。
爬虫類を専門的に取り扱っているペットショップを訪問して、必要な飼育環境や飼い方についてきちんと聞いてから飼い始めることをおすすめします。
エキゾチックアニマル向けのペット保険を提供している会社も多い
愛犬や愛猫に万が一のことがあっても安心できるように、ペット保険へ加入する人も増えてきていますが、ここまでご紹介してきた動物のためのペット保険もあります。
ここからはエキゾチックアニマルのためにペット保険へ加入するメリットや、選ぶ時の注意点について解説します。
治療や手術では高額な費用がかかるケースも
エキゾチックアニマルのなかには、生体を安価に購入でき、毎月のコスト負担もそれほど大きくない生き物も少なくありません。
しかし、将来的に病気にかかってしまう可能性はあり、その際に発生する診療費の負担は大きくなってしまうことがあります。
特に手術費用は、エキゾチックアニマルを専門的に診ることのできる動物病院が少ないことから、さらに高額化しやすいことも視野に入れておく必要があります。
万が一、高額な費用が必要になったときに備える手段のひとつとして、エキゾチックアニマル向けのペット保険が非常に有用なのです。
補償内容や注意点、保険の選び方は動物ごとに異なる
一方で、ペット保険を検討する際には、補償内容や加入時に注意しておくポイントに違いがあるため、動物ごとに選び方が異なることを覚えておきましょう。
ここからは、代表的なエキゾチックアニマルのペット保険について、加入のメリットや注意点の概要を解説します。
ハムスター
悪性腫瘍や皮膚病、かみ合わせが悪くなってしまう不正咬合など、さまざまな病気の発症リスクがあるハムスターにも、ペット保険が提供されています。
以前からペットとして一般的なハムスターは、ペット保険を提供している会社も少なくないため、各社の保険の中から希望に沿ったものを見つけやすいでしょう。
一方で、ハムスターの平均寿命が2〜3年であることから保険金が受け取れず、保険料負担とのバランスが取れないことも起こり得ます。
各社の具体的な補償内容や、選び方のポイントは下記記事で詳しくご覧ください。
うさぎ
歯が伸び続けて噛み合わせが悪くなってしまう不正咬合や、毛づくろいをした際に飲み込んだ毛を上手に吐き出せないために消化機能が低下してしまう毛球症など、うさぎもさまざまな病気にかかる可能性がある動物です。
手術による治療や入院、長期的な通院によって高額な診療費がかかってしまう場合もあるため、ペット保険を活用して備えておくのが望ましいといえます。
エキゾチックアニマルに該当する動物の中でも飼育している人も多いうさぎは、ペットショップでのお迎え時はもちろん、飼い始めてからでもWEBや郵送などで申し込めるペット保険が豊富にあります。
会社によって補償内容や付帯サービスなどが異なるため、比較をした上で加入先を決めることをおすすめします。
インコ
生体価格が安い一方で、手術となると10万円以上かかるケースも少なくないのがインコです。生体価格の何倍もの診療費がかかる可能性があるため、ペット保険などを活用して備えておくと良いでしょう。
細菌感染や寄生虫によるものから、日光浴不足や与えている餌の栄養バランスを原因としたビタミン不足まで、さまざまな病気を発症する可能性があります。
寿命の長い品種も多いため、ペット保険の加入先を検討する際には、契約できる年齢なども必ず確認すると良いでしょう。
チンチラ
チンチラは、運動量が多くあちこち飛び回ることでケージなどにぶつかってしまうことも多く、骨が細いことから骨折をしてしまうケースがあります。
チンチラの細く小さな骨の手術は難易度が高いため、治療に10万円程度かかるケースもあり、ペット保険に加入して備えておくのが良いかもしれません。
フェレット
インスリノーマ、副腎腫瘍、リンパ腫と腫瘍を発症しやすいフェレットは、診療費も高額化しやすいため、ペット保険を備えのひとつとして検討してみても良いでしょう。
どの病気にもいえることですが、特にフェレットの腫瘍のような疾患は気付きにくいケースもあるため、ペット保険に加入し、少しの異変ですぐに通院できるようにしておくことで早期発見・早期治療の実現に繋がるメリットがあります。
デグー
先述した糖尿病のほか、暑さが苦手なデグーは熱中症、げっ歯類に多い不正咬合など、さまざま病気にかかる可能性がありますが、そんなデグーにも加入できるペット保険があります。
骨折手術ともなると数万円にものぼるデグーの診療費は、想像しているよりも負担が大きいかもしれません。ペット保険の加入で備えておくのもおすすめです。
モモンガ
モモンガも加入できるペット保険がいくつかあります。
飼育環境の温度変化による風邪や、ストレスによる皮膚の疾患など、さまざまな病気にかかるリスクがあるため、ペット保険で備えておくと良いでしょう。
ハリネズミ
ハリネズミは、お迎えをする際にかかる費用も、毎月固定でかかる費用も比較的安価であるため、その分ペット保険で将来的に発生し得る診療費へ備えておくのがおすすめです。
ダニ症をはじめとした皮膚疾患や、歯周病、子宮疾患のほか、高齢のハリネズミが発症しやすい腫瘍など、診療費が高額になりやすい傷病が少なくありません。
ペット保険を提供する各社で小動物向けのプランが増えたことに伴い、ハリネズミは保険で診療費へ備えようと考える飼い主も多くなっています。
爬虫類
爬虫類は、その種類によって異なるものの、細菌感染症や、寄生虫、くる病と呼ばれる代謝性の骨疾患など、特有の病気を発症する可能性があります。
他の動物と比べても、特に異変に気付きにくく、知らない間に症状が進んでしまっていることも少なくないため、気付いた時にすぐ動物病院へ駆け込めるよう、ペット保険などで備えておくことをおすすめします。
爬虫類のペット保険は、比較的少ない負担で万が一に備えられる保険も多いため、下記記事で発症しやすい病気と合わせてご覧ください。
獣医師からのコメント
エキゾチックアニマルには、多種多様な動物たちが存在するため、全てのエキゾチックアニマルに精通する獣医師はほとんどいないといってもよいかと思います。
飼育方法が確立されていない動物がいたり、治療法が確立されていないことも少なくありません。
小さな動物はストレスに弱いので、犬猫と同様の検査や手術がむしろ命取りになることもあります。
この様なことから、診断に時間がかかったり手術後の看護に時間がかかったりすることもあります。
小さな動物だから、診療費が安いとか手術費用が安いと言ったことはないのです。
むしろ、犬猫よりも高額になることもあります。
この様な理由から、ペット保険への加入は、犬猫以上に必要だと言えるでしょう。
まとめ|ペット保険も上手く活用できればエキゾチックアニマルがもっと飼いやすくなる
「犬や猫を飼うことは難しいけれど、小さな動物なら飼えるかもしれない…」という方に人気が高まっているエキゾチックアニマル。手間がかかりにくい生き物も多く、飼育にかかる費用も少なめではあるものの、将来の診療費への備えは必ず必要になります。
エキゾチックアニマルをより飼育しやすくするためにも、それぞれの生き物がかかりやすい病気を把握し、ペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。