犬や猫と違い、飼うのが難しそうなイメージもある鳥類ですが、どのような飼育環境が必要になるでしょうか。
この記事では、インコの品種別の特徴や必要な飼育環境の揃え方、そしてインコが病気にかかったときに見せる仕草について解説します。
これからインコを飼いたいと考えている方や、鳥類を飼育することに不安のある方はぜひご覧ください。
インコの性格や特徴と人気の高い種類

家庭で飼うことのできるペットの種類のひとつとして、長い間人気があるインコ。
バリエーション豊かな色や模様があるイメージがありますが、その特徴や性格は品種によってさまざまです。
まずは、インコの品種ごとに特徴について紹介します。
大きさや寿命がさまざまで40年から50年生きる品種もいる
インコは、その種類によって大きさや寿命が異なります。
小さな種類であれば、5年から10年生きるのが一般的ですが、中には40年から50年もの長い間生きる品種もいるため、インコを飼い始める際には最後まで責任を持って飼育することができるのか、慎重に考えることをおすすめします。
セキセイインコ|ペットとして飼育されるポピュラーな品種

セキセイインコは、インコの中でもポピュラーな種類のひとつです。
人に懐きやすく、肩や手に乗せる手乗りインコに育てることも可能であるため、ペットとして迎えやすい品種だといえるでしょう。
体長は20cm前後の個体が多く、スズメより少し大きめのサイズを想像すると良いでしょう。平均寿命は10年前後といわれています。生体価格は、2,000円から高くても1万円程度が多いようです。
オカメインコ|穏やかな性格で冠羽が特徴的なオウムの仲間

赤く塗ったような頬や、冠羽といわれる頭頂部の伸びた羽が特徴的なオカメインコは、セキセイインコより少し大きく35cm前後の体長であることが多いようです。
実はオウムの仲間で、オウムの中でもっとも体長の小さな品種となっています。平均寿命は20年前後といわれており、飼育環境が良いと30年近く生きることもあります。
穏やかな性格で人にも懐きやすいため、ペットとしても迎えやすい品種ですが、臆病な側面があり、個体によっては夜中のちょっとした物音でパニックを起こす「オカメパニック」に陥り、ケージや部屋の中を激しく飛び回りケガをしてしまうため、注意が必要です。
生体価格は1万円から5万円程度であることが多いでしょう。
コザクラインコ|愛情深い反面好き嫌いが激しい一面もある

赤い頭部と緑の体が特徴的なコザクラインコは、「ラブバード」と呼ばれるほど愛情深い性格で、飼い主をパートナーと認めると、一途に接してくれる品種です。
一方で、寂しがりで嫉妬深い側面もあり、パートナーと認めた飼い主になかなかかまってもらえなくなると、攻撃的になってしまうこともあるため注意が必要です。
また、好き嫌いも激しい性格であるため、多頭飼いをする場合には相性をよく見極めるようにしましょう。
コザクラインコの一般的な寿命は、10年から15年となります。生体価格は1万円から5万円程度であることが多いでしょう。
サザナミインコ|ずんぐりむっくりした可愛らしいフォルムが人気の品種

中型インコに分類されるサザナミインコは、丸くて可愛らしいフォルムと珍しい前傾姿勢の見た目で人気のある品種です。
カラーバリエーションも豊富で、名前の通りさざ波のような模様が入っているのが特徴です。
優しく穏やかな性格で比較的声も小さく、広い飼育スペースを必要としないためペットとしても飼いやすい品種です。
平均寿命は10年前後、生体価格は1万円から3万円程度であることが多いようです。
ウロコインコ|人懐っこいものの集合住宅で飼育する際には鳴き声に注意

胸のあたりにウロコのような模様が入っている特徴をもつウロコインコは、体長が25cm前後にまで成長するため、セキセイインコよりも少し大きなサイズのインコです。
南アメリカが原産国で、暑さには強い一方で寒さを苦手としているため、冬はヒーターなどが必要になります。
人懐っこい性格で愛嬌がある品種ではありますが、非常に大きな声で鳴くことがあり、集合住宅などで飼育をする際には防音対策が必要になります。
平均寿命は15年前後となっていますが、飼育環境によっては30年近く生きた例もあります。生体価格は3万円から15万円程度と、インコの中では値段が高い部類に入ります。
ボタンインコ|愛情深く寂しがりやな性格で人によっては飼いにくい側面も

コザクラインコと同様に、「ラブバード」とよばれる愛情深い性格のインコです。
カラーバリエーションはさまざまですが、真っ白な目の周りや赤いくちばしが特徴です。
コザクラインコと同様に、パートナーと認識した相手にはべったりな性格で、愛情が足りないと感じると攻撃的になってしまう側面があるため、日常的に構ってあげられる時間が取れない方には不向きの品種です。また、呼び鳴きの声が大きいため、集合住宅では防音対策が必要です。
平均的に15年ほどの寿命で、生体価格は1万円から3万円前後であることが多いようです。
大声で鳴くこともあるため集合住宅ではペット飼育の可否を確認
ここまででご紹介している通り、インコの中には鳴き声が大きく響く品種もあるため、集合住宅で飼育をする際には注意が必要です。
特に、小動物のみの飼育を認めている物件では、鳴き声がしないことを条件に設けているケースも少なくありません。ペットを飼うことが認められていない物件で飼育を検討する際には、必ず事前に管理会社や大家へ確認をしましょう。
鳴き声の種類によって伝えたい気持ちがわかることもある
鳴管という発生器官をもつインコが、口の中で音の響きを変えることで感情ごとに鳴き声を使い分ける習性があります。
インコの鳴き声の違いについて知っておくことで、より豊かなコミュニケーションが取れるようになるため、覚えておくと良いでしょう。
この記事では、ポピュラーなセキセイインコの鳴き声の種類を紹介します。
「ピュロロピュロロ」|オスからメスへの求愛。飼い主に鳴くことも。
「ピッ」|強い不安やストレスを抱えている状態。
「ギャギャギャ」|機嫌が悪い威嚇状態。
「ピーピー」|飼い主に帰ってきて欲しい。寂しい。呼び鳴きとも。
「ギョリギョリ」|くちばしをこすり合わせたときの音。眠る時のサイン。
インコを飼育するために必要なもの

ここからは、インコを飼育する際に必要になる環境や、準備するものについて解説します。
選ぶ用品などにもよりますが、おおよそ3万円程度の費用があれば一通りの必要なものが揃うといわれています。
ケージ
インコが1日の大半以上を過ごすケージは、飼育するインコが翼を広げても余裕がある広さのものを選ぶと良いでしょう。
小型のインコ|一辺が35cm以上
中型のインコ|一辺が45cm以上
大型のインコ|一辺が45cm以上、高さが60cm以上
また、劣化しにくいステンレス製のものを選ぶと良いでしょう。
メッキの場合は、サビなどの発生によりインコが金属アレルギーを発症してしまうこともあります。
止まり木
ケージの中にいるインコは、その多くの時間を止まり木の上で過ごすため、インコの体に合った居心地の良いとまり木を選んであげると良いでしょう。
インコが止まり木を掴んだ際に、2/3程度握ることができている状態が適切な太さです。
それ以上掴めてしまっている場合や、足の指が1周してくっついてしまう場合には、インコにとって細い止まり木である可能性が高いため、よく確認しましょう。
また、材質としては凹凸があることで爪とぎができる天然木が良いとされています。
ボタンインコやコザクラインコなど、平らな場所を好む一部の品種は、止まり木以外にも平らな部分を作ってあげると良いでしょう。
若い頃はなるべく高い位置に設置!高齢になったら工夫が必要
若いインコは、なるべく高いところにいたがる習性があるため、止まり木も高い位置に設置してあげると良いですが、一方で高齢になってくると掴む力が弱まることで、寝ている間に落ちてしまうリスクや、高いところまで上がる負担が大きくなります。
止まり木の設置位置は、インコの年齢や過ごし方にあわせて適宜調節していくことをおすすめします。
餌入れ
餌入れもまた、インコの体に合わせたものを選びましょう。特に、インコの体長に対して深すぎる餌入れだと、食べにくくなってしまうことも考えられるため、不自由なく食事ができているか確認することをおすすめします。
また、好奇心旺盛なインコは、餌入れをひっくり返しては飼い主を悩ませることも少なくありません。そのような癖がついてしまった場合には、陶器製の重い餌入れに変えるか、ケージに固定できるタイプのものに変更すると良いでしょう。
水入れ
インコの飼育には飲み水用の水入れが必要です。
水入れは、フンや羽根が入ってしまうことで汚れてしまわないよう、ケージの外側から取り付けるタイプのものが良いでしょう。
また、水浴びが好きなインコの場合には、水浴び用の飼育グッズがペットショップ等で販売されているため、そちらもあわせて確認してみると良いでしょう。
保温器具
インコをはじめとした小鳥は、寒さに弱い傾向にあります。
そのため、冬の時期に飼育環境の温度が下がりすぎてしまうことのないよう、保温器具を設置することが必要になります。
ケージの側面や外側に設置するパネルタイプのものや、空気を温める保温電球、足元か温めることのできる止まり木タイプなど、さまざまな種類がありますが、インコがいたずらをしたり、感電したりしてしまわないよう、安全性が高い設置方法を検討しましょう。
主食は鳥用のシード食!野菜やサプリでの栄養補助もおすすめ

インコは穀食性の鳥であるため、種子類を主食とします。
例えばセキセイインコの場合、ヒエやアワ、キビなどを混合したシード食といわれるフードを与えるのが一般的です。シードは殻付きのもののほうが、ストレス解消にも繋がるためおすすめされています。
また、シード食だけでは栄養バランスが偏ってしまうため、青菜やサプリなどを副食として栄養素を補助してあげるのも良いでしょう。
シード食の他に、ペレットもありますが、栄養バランスに優れている一方でインコはあまり好まない傾向にあるため、シード食と上手くあわせて与えると良いでしょう。
アボガドをはじめとした中毒症状を起こす食品を与えないように注意
人間が普段好んで食べるものであっても鳥にとっては有毒であることが少なくありません。
例えば、アボカドは調理をする過程で発生するガスをインコが吸っただけで、中毒を起こして死亡してしまうケースもあります。
またチョコレートやパン、ごはんなど、人間の食べる加工食品を与えるのも良くないとされているため、インコになにかを与える時には、必ず事前に調べてからにしましょう。
ネギ
玉ねぎ
似た
大豆や小豆など生の豆類
アボカド
果物の種
加工食品 など
インコを飼うときの注意点

実際にインコを飼い始めた場合、日常的なお世話の中でどのようなことに気をつけていく必要があるでしょうか。
インコにとって快適な飼育環境で長生きしてもらうために、飼い主が注意したいポイントについて解説します。
放鳥時には戸締まりとフンに注意
インコを部屋の中で自由に飛ばせる放鳥をさせる機会もあるかもしれません。
しかし、飼われているインコが迷子になってしまう原因の多くが、この放鳥時に窓や扉が開いており、外に出てしまったことによるものだといわれています。
また、インコは明るい方向へ飛ぶ習性があり、日中に放鳥をすると窓に激突してケガをしてしまうことも少なくありません。
インコを放鳥する際には、必ず戸締まりを行い、カーテンを閉じてから行うようにしましょう。
また、放鳥中のフンの対策も必要になります。基本的に15分おきくらいのペースでフンをするため、時間で計測して事前に対策をする方法や、くつろいでいるときにフンをする習性を活かして、部屋の中に止まり木などを用意しその場所で対策をする方法があります。
誤飲してしまうものや中毒症状を起こしてしまうものがないか確認する
また、ここまででも紹介してきている通り、インコは非常に好奇心旺盛な生きものであるため、部屋のあらゆるものをかじったり誤飲したりすることが考えられます。
放鳥をする前には、インコがかじってしまうものがないかきちんと確認をしましょう。
適温が維持できているか確認して必要に応じて保温する
飼育するうえで注意したいのが、インコにとって適切な温度に調節することです。
基本的に生まれたばかりや、高齢になってからは25℃から30℃、1歳から6歳くらいの若い時期には20℃から25℃くらいに調整すると良いといわれています。
また、病気を発症しているときには、30℃程度まで上げておく必要があります。
またインコにとって室温が高すぎる時は、羽根をバサバサとさせる仕草を見せる場合があります。このようなときには、そのままにしておくと熱中症になってしまうこともあるため、早めに温度を調節してあげましょう。
餌や飲水の交換とスキンシップは毎日行う
インコに与えている餌は、長い時間放置しておくと腐敗してしまう可能性もあるため、毎日交換することをおすすめします。また、飲水も羽根やフンなどが入ってしまったり、細菌が発生したりしてしまうため、こちらもこまめな交換を心がけましょう。
また、インコを懐かせるためには、毎日スキンシップの時間を取ることが大切です。
おもちゃを使って遊んであげたり、顔の周りをなでてあげたりしてスキンシップをとりましょう。
尚、インコをなでる際には、背中をなでると発情に繋がってしまうこともあり、無精卵を産む原因になってしまうため、なるべくやめるようにすると良いでしょう。
こんなときには動物病院へ!インコが見せる体調不良のサイン

最後にインコが体調不良のときにみせるサインを紹介します。
インコにとって快適な飼育環境を作ってあげていても、どうしても病気にかかってしまうことはあります。
愛鳥の異変にすぐ気付くことができるよう、体調不良時にみられる仕草は覚えておきましょう。
羽毛を膨らませている
インコが羽毛を膨らませているときは、寒い証拠であるケースが多いです。
すぐに室温を上げたり、ヒーターでケージを温めたりして防寒対策を行いましょう。
また、室温を上げた場合や夏場にも関わらず羽毛を膨らませている場合には、体調不良によって体温調節ができなくっていることが疑われるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
餌を吐き戻したり口の周りが汚れている
時にインコは、与えたエサを吐き戻すことで愛情を伝える習性があり、これは主に発情中や、飼い主に対してみられる行動です。
しかし、吐いたもので口の周りが汚れてしまっている場合や、顔を横に振りながら吐いている場合には、そのう炎などの病気が疑われるため、早めに受診することをおすすめします。
排泄時におしりを振る
生殖器や腹腔内に異常がある際には、排泄時におしりを振る仕草がみられることがあります。
正常な排泄ができているか、またフンに異常がないかを確認したうえで、動物病院を受診しましょう。
あくびを繰り返す
インコがあくびを繰り返している場合には、咽頭炎に罹っている場合があります。
人のあくびが移ることもありますが、あまりにも回数が多い時には早めに受診しておくことをおすすめします。
まとめ|インコの将来的な診療費の備えにはペット保険の加入もおすすめ
ペットとして多くの人に親しまれているインコの品種や、必要な飼育環境について紹介しました。愛鳥が長生きできるよう、快適な飼育環境づくりをすすめましょう。
そして、インコには病気にかかっているときに見せる特有の仕草があるため、覚えておき、日常のお世話の中ですぐ気付けるようにしましょう。
また、将来的に発生し得る診療費には、インコ向けのペット保険で備えておくと安心です。
下記記事では、インコがかかりやすい病気やおすすめのペット保険について詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

