本記事では、チンチラを飼いたい方や、実際に飼っている方に向けて、チンチラの特徴や価格、飼うために必要な準備、飼育時の注意点をお伝えします。
チンチラの特徴
野生のチンチラは、南アメリカのアンデス山脈高地の冷涼な地域に生息している草食動物です。ハムスターやデグーと同じくげっ歯類に分類されています。
基本的には夜行性ですが、飼い主の生活にあわせてくれる子もいるようです。
チンチラの大きさは約30cm
チンチラの大きさは30cm、特徴的なふわふわのしっぽの長さも含めると約45cmとなっています。体重は400グラムから600グラムほど。手のひらに乗る可愛らしいサイズ感です。
チンチラの寿命は15年程度
野生での寿命は6年ほどといわれていますが、ペットとして飼われる場合のチンチラの寿命は15年程度です。ギネスブックには29歳まで生きた記録があるほど、長生きするペットです。
大人になるまでの期間は半年ほど。免疫力を高めるためには、生後3ヶ月ほど親と過ごしたうえで、チンチラを迎えるのが良いといわれています。
チンチラは飼いやすい
犬や猫と比べると、チンチラは飼いやすいといわれることもあります。その理由として、
- 飼うために必要なスペースが小さく、集合住宅でも飼える
- チンチラ自体には体臭がほとんどない
- 鳴き声も小さい
ことなどが挙げられます。
しつけや無駄吠えの心配が無いため、犬や猫に比べると飼いやすいといわれるようですが、生態が未解明なところもあり、体調管理や室温管理が難しいデリケートな動物でもあります。
また、チンチラ自体はほぼ無臭ですが、糞尿特有の臭いはあるため、ケージ内などの飼育環境は常に清潔に保つことが必要です。
集合住宅で飼うことを検討している場合は、大家さんに飼ってもよいかの確認は忘れないようにしましょう。
チンチラはなついてくれる
チンチラは警戒心は強いものの、好奇心旺盛な性格で、人になついてくれることも多々あります。小さい体でありながら、とても賢いため、慣れてくると名前を呼ぶと近づいてきてくれることもあるようです。
チンチラになついてもらうコツは、チンチラから近づいてくるまで待つこと。まずはケージの外から、なれてきたら直接エサをあげて、徐々に手に慣れてもらいましょう。手に乗ったり、マッサージを受け入れてくれるようになれば、相当なついてくれている証です。
チンチラの毛色と価格
野生のチンチラの毛色はグレーが一般的ですが、他にも、ホワイト、シナモンなどさまざまなカラーが存在します。
ペットショップで購入する場合、3万円前後から購入することが可能ですが、ホワイトやパイド(白色メインに灰色が混ざっている)、バイオレットなど、珍しい品種の価格は8万円以上することもあります。
- グレー|3万円〜
- シナモン|5万円〜
- ブラックベルベット|5万円〜
- ブラックエボニー|6万円〜
- クリーム|6万円〜
- ホワイト|8万円〜
- パイド|8万円〜
- バイオレット|8万円〜
チンチラをお迎えするための準備
チンチラと一緒に暮らすために、必要になるものを下記にまとめました。
チンチラの主食は牧草
チンチラの主食は牧草です。牧草にも種類がありますが、子供のうちは栄養価の高いアルファルファを、大人になったら歯の伸び過ぎを防止するためにも硬めのチモシーを中心に与えると良いでしょう。
牧草で足りない栄養に関しては、チンチラ用のペレットで補うことができます。
チンチラのケージは広めのものを
運動好きなチンチラのために、ケージは広めのものを用意してあげましょう。幅60cm✕奥行き45cm✕高さ68cm以上をひとつの目安としてください。
チンチラは1mもジャンプする力があります。高いところから落下しないよう、足場などレイアウトに工夫をしましょう。
チンチラ初心者にはスチール製がオススメ
ケージにはスチール製のもの、アクリル製のものがあります。チンチラ用のグッズはケージの網目に取り付けられるようになっているものが多いため、基本的には通気性にも優れているスチール製のものがオススメです。チンチラが挟まってしまうことがないよう、網の隙間が大きすぎないもの(2~3cm以下)を選ぶようにしてください。
DIYが得意という方にはアクリル製のものもオススメです。ただし、通気性が低いので、サーキュレータを設置するなど換気のための対策は必要です。
チンチラのケージ内に必要なもの
- 回し車
- 寝床
- エサ入れ
- 給水ボトル
- ケージマット・床材
- 砂浴び容器
- トイレ、ペットシーツ
回し車
チンチラが背骨に負担をかけることのないように、直径30cm以上のものを用意してください。ただし、チンチラは基本的に夜行性です。夜中に回し車の音が気にならないように、サイレントタイプのものを選ぶといいでしょう。
寝床
野生で岩場に隠れて暮らしていたチンチラにとって、寝床は安心できる場所になります。さまざまな材質のものがありますが、チンチラがかじれる木製の寝床がおすすめです。木をかじることは、ストレスの発散や、歯の伸び過ぎの防止に繋がります。
エサ入れ
チンチラがかじって壊してしまったり、ひっくり返してしまわないように陶器製のエサ入れがオススメです。転倒防止のためには、ケージに固定できるタイプが優れています。
給水ボトル
チンチラがかじって水漏れを起こすことがないように、ケージの外側から取り付けられるタイプの給水ボトルを選びましょう。
チンチラは飲み口もかじります。水を交換する際は、きちんと水が出るかどうか毎回確認してください。
ケージマット・床材
ケージの底の網目に、チンチラが足を挟めてしまわないように、マットを敷く必要があります。布製のシートや木製のスノコなどさまざまな種類が存在するので、チンチラが好むものを使ってあげると良いでしょう。
マットにプラスして床材を敷くと、チンチラの足への負担がより少なくなります。
砂浴び容器
綺麗好きなチンチラは毎日砂浴びをします。チンチラがすっぽりと入れる大きさの砂浴びボトル等を用意しましょう。砂はチンチラ専用のものを使用してください。
チンチラにとって、砂浴びはラノリンという分泌物を落とし、皮膚を健康に保つために必須のものです。汚れた砂はすぐに取り除き、できれば毎日新しい砂に交換してあげてください。
トイレ、ペットシーツ
チンチラはトイレを覚えることもあります。トイレを覚えてもらいたい場合、トイレにおしっこの臭いがするものを入れておいたり、トイレをよくおしっこする場所に置いてみたりすると効果があるかもしれません。
トイレを覚えない場合には、ケージの底にペットシーツを敷いておくと、掃除もスムーズになり、おしっこの臭いも軽減されます。
初期費用は3万円から4万円程度
チンチラを飼い始めるにあたって、必要なものを揃えるのにかかる費用は3万円から4万円程度となっています。
以降は毎月の消耗品代(エサ、床材、砂など)が5,000円程度必要です。その他、チンチラの快適な温度を保つために、空調等の電気代もかかります。
加えて、チンチラが病気やケガをしてしまった際には治療費も必要になることを覚えておきましょう。
チンチラのお世話のポイント
チンチラと一緒に暮らしていくために、初心者の方にも知っておいていただきたい飼育時のポイントをお伝えします。
- ごはん
- 水の交換
- 砂浴び
- へやんぽ
- ケージの掃除
- 室温・湿度管理
牧草はたっぷり、ペレットは量を守って
牧草はチンチラの歯の伸び過ぎ防止にも役立っています。1日中食べられる量を用意し、毎日汚れたものは取り除いて新しいものを追加してあげてください。
ペレットに関しては、1日1回〜2回、パッケージに記載されている量を守って与えましょう。
おやつの与えすぎに注意
乾燥した野菜や果物をおやつとしてあげると、チンチラが喜びます。飼い主さんとチンチラの良いコミュニケーションの時間になるでしょう。
ただし、あくまでも少量・頻度も週1回程度のご褒美としてください。与えすぎるとチンチラがお腹をこわす原因となります。
- 水分の多い生の野菜、果実
- ジャガイモ
- タマネギ、ネギ、ニンニクなどユリ科の野菜
- モモ、サクランボなどバラ科の果物の種子
- アボカド など
「へやんぽ」のための環境を整えよう
運動好きなチンチラのストレス発散のために、1日1回、1時間ほどは部屋のなかに出してお散歩(へやんぽ)をさせてあげましょう。
その際、電気のコードなどの危険物をチンチラがかじってしまうことがないよう、柵などの設置が必要です。観葉植物なども、チンチラがかじって中毒を起こしてしまう恐れがあるため、別の部屋など、決してチンチラが届かない場所に移動してください。
室温・湿度管理は大切
チンチラは本来アンデス山脈高地の冷涼な地域に生息していたため、日本の暑さや寒さを苦手としています。チンチラの飼育環境は、室温20℃前後、湿度30~40%程度が望ましいとされています。
ケージの近くに温度計や湿度計を設置し、クーラーやヒーター等でケージの周りの温度が適切に保たれているか定期的に確認しましょう。
こんなときは病院へ!チンチラが見せる体調不良のサイン
チンチラをお迎えした直後は、環境の変化から体調を崩しやすいとされています。様子がおかしいことに早く気づくことができれば、そのぶん回復もずっと早くなります。
以下に、飼い主さんに覚えておいてほしい、チンチラの体調不良のサインをご紹介します。
ごはんを食べる量が減った
ごはんを食べる量が少なくなった場合、不正咬合になっているかもしれません。不正咬合とは、チンチラの歯が適切に削れず、噛み合わせが悪くなってしまった状態のことをいいます。
不正咬合になった場合は、動物病院で麻酔をかけたうえで、歯を削るなどの処置が必要です。
チンチラの皮膚が赤くなっている
チンチラの皮膚が赤くなる、フケがでているなどの症状が見られたら、皮膚病になっている可能性があります。特に、幼いチンチラが発症しやすいとされています。
皮膚病が疑われたら、動物病院につれていき、薬を投与してもらいましょう。日頃から清潔な環境を保つことも大切です。
夏場にチンチラがぐったりとしている
前述したように、チンチラは暑さに弱い動物です。夏、チンチラがぐったりとして横たわり、体が熱くなっている場合には熱中症になりかけているかもしれません。
熱中症はチンチラの命にかかわる病気です。熱中症かもしれないと思ったら、タオルで包んだ保冷剤などでチンチラの体を冷やしながら、できる限り早く病院に連れて行きましょう。
いつも動いている時間なのに大人しい
いつも動いている時間にもかかわらず、チンチラが大人しくしているときは、骨折を疑ってみてください。骨は非常に細く、俊敏に動き回るチンチラは、骨折が起こりやすいとされています。
高い所から落ちてしまったあとなど、様子がおかしいようであれば念の為病院で診察を受けてください。
愛玩動物飼養管理士より
可愛らしい外見とフワフワとした被毛から癒し効果抜群と人気のチンチラは、小動物の人気ランキングでも常に上位入りしています。
お世話は毎日のケージ掃除と給餌、給水とシンプルなので、子供や初めてペットを飼う方にもオススメです。
ただ本来は寒さ厳しい山岳地帯で暮らす動物の為、日本の高温多湿な気候には体が馴染まず、体調を崩してしまうことも少なくありません。
特に暑い季節は食欲減退や下痢、元気がない、ハウスから出てこない、脱毛をしていないかなどの異変がないか常に確認し、些細なことでも体調や様子に異変を感じた時は動物病院を受診しましょう。
まだまだ日本で飼育頭数の少ないペット故に、チンチラの診察や高度な治療ができる動物病院の数は限られています。
チンチラを家族に迎えたら、いつでも気軽に相談のできる動物病院を探しておくと安心です。
まとめ|チンチラの治療費に備えに保険も検討しよう
チンチラと一緒に楽しく過ごすためには、チンチラの特徴を理解したうえで、正しくお世話をすることが大切です。本記事でご紹介したポイントをおさえて、チンチラが安心して長生きできる環境を整えてあげましょう。
この記事ではあまり触れませんでしたが、チンチラの健康を守るためには、治療費への備えも大切です。下記記事では、チンチラの治療費例や保険についてわかりやすく説明しています。是非こちらの記事も併せてご覧ください。