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症例編

【獣医師監修】犬の腎臓病について解説!ステージ分類ごとの具体的な症状や食事の与え方に関する注意点

犬が腎臓病になった場合、できるだけ早く治療を行う必要があります。

本記事では、犬の腎臓病の種類や原因、治療法や予防法について解説します。
あわせて診療費の目安や、万が一のときに役立つペット保険のメリットについても知っておきましょう。

犬がかかりやすい腎臓病は主に2つにわかれる

落ち込んでいる犬

犬の腎臓病には「急性腎障害(急性腎不全)」と「慢性腎臓病(慢性腎不全)」があります。どちらも腎臓の障害ではありますが、それぞれ病態が異なるため、混同しないよう注意しましょう。

ここでは、2種類の腎臓病についての概要と、それぞれの違いについて解説します。

急性腎障害

急性腎障害は、短期間で腎臓機能が低下してしまう病気のことです。発症すると、左右の腎臓にある「ネフロン」の機能が急激に低下し、さまざまな症状を引き起こします。

なお、急性腎障害は急性腎臓病とも呼ばれており、早期発見・早期治療によって完治も見込めますが、慢性的な腎不全に進行してしまう可能性もあります。

急激に腎臓の機能が低下する病気

急性腎障害を起こすと、犬の腎機能は急激に低下します。腎臓は体内の老廃物の排出や水分の再吸収をするために必要な臓器であり、機能低下は命にかかわります。

治療が遅れるほど腎機能の回復は難しくなるため、できるだけ早く適切な処置を受けなければいけません。

慢性腎臓病(慢性腎不全)

慢性腎臓病は、完治しない病気です。
犬が慢性腎臓病になると、腎組織の数が徐々に少なくなり、腎臓本来の働きができなくなります。慢性腎臓病を発症した後は、生涯にわたって点滴や投薬治療が必要です。

初期だと症状がほとんど現れないため注意が必要

慢性腎臓病は、数か月から数年という長いスパンで進行し、徐々に腎組織を破壊します。腎臓は腎機能の75%ほどを失うまでは目立った症状が出ないため、健康診断で初めて腎臓に障害があることが分かるケースも多くあります。

そのため、飼い主が異変に気付くころには、すでに末期状態になっていることも珍しくありません。

腎臓病を発症している犬に起こる可能性がある症状

寝ている犬

腎臓病を発症した犬には、さまざまな症状がみられます。もちろん個体差はありますが、腎臓病の基本的な症状を知っておくことは大切です。

ここでは、急性腎障害と慢性腎臓病の主な症状を解説します。

急性腎障害にみられる症状

急性腎障害では、主に元気消失や嘔吐、排尿困難などの症状がみられます。症状は数時間から数日という短い期間で進行するため、発症後は迅速な治療が必要です。

急性腎障害の場合、つい1時間前は元気にしていたのに、突然ぐったりして動かないというケースも少なくありません。状態が進行すると、老廃物が血中に溜まって痙攣を起こしたり、意識を失ったりすることもあります。

慢性腎臓病(慢性腎不全)にみられる症状

慢性腎臓病になると、多飲多尿、体重減少、嘔吐、下痢、貧血、脱水などの症状がみられます。

初期段階は症状がほとんどありませんが、進行すると多くのトラブルがみられるようになり、最終的には命の危険があります。発症後、頻繁に体調不良を起こす場合は、病状がかなり進行しているといえます。

なお、慢性腎臓病では「急性増悪」が起こることもあります。急性増悪とは、急激に症状が悪化することを差し、放っておくと短時間で命を落とすケースも珍しくありません。

通常、慢性腎臓病はゆるやかに症状が進行していく病気ですが、急性増悪が起こった場合は注意が必要です。

慢性腎臓病(慢性腎不全)のステージ分類

犬の慢性腎臓病は、進行状況によって以下4つのステージに分けられます。

慢性腎臓病(慢性腎不全)のステージ
  • ステージ1:症状はなし
  • ステージ2:軽度の多飲多尿
  • ステージ3:多飲多尿・食欲不振・嘔吐・脱水など
  • ステージ4:尿毒症が進行し、積極的な治療なしでは生命維持が困難

参照元:みんなの動物病院百科|病気と上手く付き合おう(03) <犬や猫の慢性腎臓病について>

ステージ1の場合、見た目や行動などの変化はまったくありません。血液検査でも異常はみられませんが、実はこの段階で腎機能は正常の3分の1程度に低下しています。なお、初期の慢性腎臓病は、尿検査で尿比重を確認し、尿の濃度が薄くなっていないか調べることで発見できます。

また、ステージ3・ステージ4まで進行すると、尿毒症による命の危険があります。この場合、毒素を吸着する活性炭の服用や貧血改善のための輸血を積極的に行い、犬の健康状態を少しでも回復させます。

ただし、一度悪くなった腎機能は元に戻らないため、治療は進行をいかに遅らせるかが鍵になってきます。

末期には尿毒症を発症する恐れもある

慢性腎臓病は治る病気ではなく、病状は徐々に進行していきます。末期になると、尿毒症による痙攣や意識障害などの神経障害を引き起こし、最終的には命を落とします。

尿毒症は腎臓の働きが極端に低下して起こるもので、日常生活に大きな支障をきたすため、早急に対処しなければいけません。尿毒症の代表的な症状である、アンモニア臭のする口臭や嘔吐などがみられたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

犬が腎臓病を発症してしまう原因

うつむいている白い子犬

犬が腎臓病を発症する原因には、さまざまなものがあります。ここでは、急性腎障害と慢性腎臓病の原因をそれぞれ解説します。

急性腎障害を発症してしまう原因

急性腎障害の原因は、感染症のほか、腎毒性のある食品や薬物の摂取、腎盂腎炎などが挙げられます。中毒や大量出血、脱水症状などによって腎臓への血液供給が低下すると、腎機能が正常に働かなくなってしまうのです。

主にはネズミを媒介して感染する可能性のあるレプトスピラ症や、ゲンタマイシン、エチレングリコールといった腎毒性物質の摂取がきっかけとなるケースが多いです。また、ぶどうやレーズン、ユリ科の植物なども急性腎障害を発症するきっかけとなる危険性があります。

慢性腎臓病(慢性腎不全)を発症してしまう原因

慢性腎臓病の明確な原因は、まだわかっていません。ただ、慢性腎臓病は高齢の犬ほど発症率が高い傾向があることから、加齢による影響が大きいといわれています。不適切な食事や生活習慣、病気などで腎臓が長期にわたってダメージを受けると、慢性腎臓病のリスクは高まるといえます。

また、尿路結石や膀胱腫瘍によって尿道が閉塞し、慢性腎臓病に発展するケースもあります。

尿道閉塞とは、尿の通り道である尿道が何らかの原因で詰まってしまい、排尿ができなくなった状態のことです。尿道閉塞が起きると、短時間で尿毒症に発展し、治療が遅れた場合は慢性腎臓病に移行する恐れがあります。

なお、慢性腎臓病の発症には、遺伝性もあると考えられています。ラサ・アプソやシー・ズー、キャバリアなど一部の純血種は、慢性腎臓病の発症リスクが高い傾向にあります。

好発犬種の場合、若くても慢性腎臓病を引き起こす可能性があるため、特に注意が必要です。

犬の腎臓病の治療方法

獣医に抱かれる犬

犬の腎臓病では、早期発見・早期治療がとても大切です。ここでは、急性腎障害と慢性腎臓病の治療法について解説します。

急性腎障害の治療方法は発症の要因ごとに異なる

急性腎障害の場合、原因によって治療法が変わります。誤食や中毒による急性腎障害では催吐処置を行い、点滴で体内の水分バランスを正常化します。

また、尿が十分に作られていなかったり、水分が過剰になっていたりする場合は、利尿剤を使って尿の産生を促します。尿路結石や膀胱腫瘍で尿が出なくなっているケースでは、尿路閉塞の原因を取り除く処置も一緒に行います。

なお、急性腎障害では、早期に治療を行えば腎機能の回復が見込めます。その反面、治療が遅れると慢性腎臓病に移行しやすく、回復は難しくなります。

急性腎障害が疑われる場合には、夜間でもすぐに救急動物病院を受診し、適切な治療を受けてください。

慢性腎臓病の場合は進行をゆるやかにするための治療を行う

発症後の完治が難しい慢性腎臓病では、主に進行をゆるやかにする治療を行います。

腎臓の機能をサポートする薬の服用や、腎臓に負担がかかる栄養素の摂取を制限する食事療法が、一般的な治療法です。減ってしまった腎組織は回復させることができないため、残っている腎組織の負担をできる限り減らすよう努めましょう。

犬の腎臓病にかかる診療費にはペット保険が適用できるケースも

布団で寝ている犬

犬の腎臓病治療にかかる費用は、ペット保険が適用になる可能性があります。腎臓病の治療は長期化するケースも多いため、ペット保険のような万が一の備えはとても大切です。

ここでは、ペット保険に加入するメリットとペット保険を検討する際の注意点を解説します。

完治が難しい腎臓病に継続してかかる通院費をカバーできる

ペット保険に入っていれば、腎臓病治療にかかる通院費をカバーできます。ペット保険は、限度額の範囲内でペットにかかる診療費を補償してくれるものです。

ペットには健康保険制度がないため、かかった診療費は飼い主が100%負担しなければいけません。腎臓病のように継続した治療が必要なケースでは、総額の診療費がかなり高額になることも珍しくありません

なお、犬が腎臓病になった場合は、以下のような検査・治療が必要です。動物病院によって金額は異なりますが、大体の相場感を知っておきましょう。

  • 診察料……約1,000円
  • 尿検査……約1,000円
  • 血液検査……約4,000円
  • 超音波検査……約3,000円
  • レントゲン検査……約3,000円
  • 点滴……約1,000円

合計金額:約13,000円(薬代など除く)

参照元:日本獣医師会|家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

慢性腎臓病の場合、定期的な検査で進行度を確認し、点滴治療を受けなければいけません。そのため、あくまで目安ではありますが、年間の診療費は「上記の金額×12か月」以上と考えておく必要があるでしょう。腎臓用の療法食代や内服薬代は別途かかることを考えると、少なくとも15万円以上の費用がかかることも考えられます。

それに対して急性腎障害では、早期に適切な治療を受ければ回復の見込みがありますが、多くの場合は入院治療を行います。入院を伴う治療は費用が高額になりやすいため、急な出費に対する備えがとても大切だといえます。

腎臓病を発症してからだと加入できなくなってしまうペット保険もある

腎臓病を発症した場合、保険会社によっては、ペット保険の加入を断られることがあります。また加入できたとしても、「腎臓病の診療費は補償対象外」という条件がついてしまうと、腎臓病の治療にかかる費用の補償を受けることはできません。

いざ愛犬が腎臓病になったとき、ペット保険の加入や補償を断られたことで、「もっと早く加入していれば」と後悔することもあるでしょう。なお、具体的な加入条件や内容は保険会社によって異なるため、検討している保険会社があれば確認しておくことをおすすめします。

愛犬が元気だと「ペット保険はまだいらない」と感じることも多いでしょう。しかし、いざペット保険が必要になったときには、既往歴などを理由に入れなくなってしまっている可能性も考えられます。将来的に病気にならないとは限らないため、ペット保険の加入は先を見据えて検討しましょう。

犬の腎臓病の予防法と進行をゆるやかにして長生きさせるための対処法

花畑と犬

犬の腎臓病は、日常的な心がけで予防できる可能性があります。また、発症後の進行を遅らせるために注意したほうが良い点も少なくありません。ここからは、腎臓病の予防法と発症後の進行をゆるやかにする方法を解説します。

食事療法

腎臓病の予防で大切なのは、腎臓に負担をかけない食習慣です。塩分やタンパク質などの過剰摂取は避け、栄養バランスの整った食事を毎日与えましょう。特に7歳以降の中高齢期では、腎臓の健康を考慮した食事を選ぶことが大切です。

また、愛犬の飲み水は毎日新しいものを用意し、常に水が飲める環境を整えておいてください。体内にたまった老廃物を尿として排出するには、普段から適量の水を摂取しておく必要があります。寒い時期は犬の飲水量が減りやすいため、水は常温で与えるか、フードにかけて与えるなどの工夫をしましょう。

療法食後はさつまいもなどのなるべく控えたい食べ物に要注意

腎臓の機能が低下した犬では、カリウムが体内に溜まりやすくなります。カリウムは体液の浸透圧調整や筋肉の収縮にかかわるミネラルですが、溜まりすぎると高カリウム血症を起こします。

愛犬が腎臓病を発症した場合、カリウムの含有量が多い食べ物はなるべく与えないようにしましょう。

カリウムを多く含む食べ物
  • イモ類(さつまいも、里芋、じゃがいもなど)
  • 豆類(納豆、あずき、大豆、栗など)
  • ブロッコリー
  • ほうれん草
  • かぼちゃ
  • 小松菜
  • バナナ

食欲が下がってしまっている犬には手作りなどの工夫もおすすめ

腎臓病で食欲が下がっている愛犬には、手作りごはんを与えるのもおすすめです。腎臓病は吐き気や便秘などの症状がみられる病気であり、食欲が落ちてしまう犬も珍しくありません。

そんなとき、愛犬の好みや体調にあわせて作った手作りごはんなら、食欲がないときでも食べられる可能性があります。また、獣医師の指導のもとで、腎臓に負担がかかる食材を使わない療法食を試してみるのもおすすめです。

定期的な健康診断で早期発見・早期治療を進める

急性腎障害と慢性腎臓病は、どちらも早期治療が大切な病気です。腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、かなり状態が悪くなってからでなければ、目立った症状が現れません。

愛犬の異変になるべく早く気付くには、定期的な健康診断で体の状態をチェックしておくことがなによりも大切です。年に1~2回は動物病院で全身の検査を受け、腎臓病のサインが出ていないか確認しましょう。

監修者よりコメント

高野 瞳 先生

犬の腎臓病は、ステージの初期では症状をほとんど示さず、ステージが進行してから症状が出てくるので、なかなか気づきにくい病気です。
急性腎臓病の場合は早期に適切な治療をすれば回復することができますが、慢性腎臓病の場合は発症すると治療が一生涯に渡って続きます

腎臓病の症状として初めに現れてくるものは、尿量や飲水量の増加ですが、
進行していくと、食欲不振、嘔吐、痙攣などの重い症状になっていきます。

腎臓病は、なるべく早く気づくことで病気の進行を遅らせることができます。
日頃から愛犬の様子を観察し、尿量や飲水量の増加などの、普段と違う症状があれば動物病院を受診しましょう。

また、動物病院で定期的に健康診断を受けることで、早めに発症に気づくこともできます。
愛犬の急な病気や長期の治療が必要となった場合にも、安心して治療を受けることができるよう、保険の加入もお勧めです。

まとめ

犬の腎臓病には2つの種類があり、それぞれ原因や治療法が異なります。いずれも、かなり進行して初めて症状が現れるため、治療は迅速に行わなければいけません。もし愛犬に腎臓病の疑いがある場合は、迷わずかかりつけの動物病院を受診しましょう。

なお、腎臓病にかかる診療費は高額になりやすく、家計を圧迫することも考えられます。特に慢性腎臓病は一度発症すると一生涯の治療が必要になるため、家計の負担は更に増えると考えられます。

ペット保険は愛犬が元気なうちから加入しておき、いざというときに備えておくと良いでしょう。

ABOUT ME
記事監修|高野 瞳 先生
獣医大学卒業後、地元千葉県の動物病院に勤務。 身近な症例から介護、終末期獣医療まで幅広い診察経験を活かし、数年後には更に高度な獣医療を学ぶため、出身大学動物病院全科研修医として勤務。 希少な症例や高度および最先端な技術を学んだのち、再び小動物臨床の現場に戻り、1.5次動物病院勤務。また、鳥類臨床にも興味を持ち勉強中。 現在は、妊娠・出産を経て育児と仕事の両立を目指している。
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