飼っている犬や猫が若いうちは、
「普段は予防目的でしか動物病院に行かないから、もし体調が悪くなったときにどのくらい診療費がかかるかわからない」
という方も多いのではないでしょうか?
病院にかかる機会がない段階では、通院に対する補償の必要性を感じることはあまりないので、
「1回の通院よりも、1回の手術や入院のほうが診療費は高いだろうし、手術と入院に特化したペット保険に入っておけば安心かな?」
と思ってしまうのも無理はありません。
この考えも一理ありますが、いざ加入した後に、
「保険料の安さだけで通院補償のないプランを選んだら、長期の通院で思ったよりも負担が重なってしまった」
なんてこともありえるのです。
いざ保険を使いたいときに使えない、そんなことにならないように犬と猫の通院に関するさまざまなデータをご紹介します!
通院補償についてしっかり理解したうえでその必要性を考え、あなたにぴったりのペット保険を見つけていきましょう!
ペット保険に通院補償は必要か?
「手術や入院と比べて通院はそこまで診療費もかからないだろうし、わざわざ通院補償のあるペット保険に加入する必要ってあるのかな?」
あまり病院を受診する機会がない時はそう思うこともあると思いますが、実際には手術や入院に比べて通院は一番身近な存在です。
一度きりで治療が終了すれば良いですが、病気やケガが治るまで何度か通う必要が出てくると、いつの間にか意外と診療費がかさんでしまうこともあるのです。
ここでは、通院補償の必要性について一緒に考えてみましょう。
ペット保険の通院とは
ペット保険での通院補償とは、ペットが病気やケガで通院をした際の診療費に対する補償のことです。
私たち人間は、少し体調が悪いときやなにか気になることがあるときは病院に行きますよね。
犬や猫も、体調が悪そうなときや何か気になることがあるときには動物病院に連れて行くことがあると思います。
いきなり入院や手術が必要になることよりも、まずは通院をしながら治療を行うことが一般的かと思います。
通院は、ペットの健康管理をするうえで欠かすことのできないものともいえるでしょう。
犬の通院費用
まずは犬の通院にどのくらいの費用がかかるのかをみてみましょう。
アニコム損保の家庭どうぶつ白書2019によると、犬の通院診療単価平均は10,183円です。犬の請求理由の上位にある外耳炎と皮膚炎ですが、その通院にかかった具体的な費用はどのくらいでしょうか?
au損保によると、外耳炎の治療のために6日間通院したところ、診療費は合計で29,200円かかったケースがあるようです。
「家に帰ったら犬が耳の中に薬をいれることを嫌がり、家ではお薬をあげられないから通院回数が当初の予定より増えた」なんてこともあり、継続した通院が必要になることも少なくありません。
また、FPCによると、皮膚病の治療のために5回通院したところ、合計で51,426円の診療費がかかったケースがあります。
皮膚炎は細菌性やアトピー性、原因が不明なものまでさまざまです。
薬浴をするために定期的な通院が必要になることもあり、外耳炎同様、症状や原因によってはこれよりも長期の通院が必要になることも。
猫の通院費用
次に猫の通院にかかる費用をみてみましょう。
アニコム損保の家庭どうぶつ白書2019によると、猫の通院診療単価平均は8,414円です。
猫の請求理由の上位にある慢性腎臓病(腎不全)と膀胱炎の通院にかかった具体的な費用をみてみましょう。
慢性腎臓病(腎不全含む)の年間診療回数の平均は15回、年間診療費の平均は27万2,598円となっています。
腎臓への負担をできるだけ減らして病気の進行を遅らせるための治療がメインになり、一度この病気にかかると、治療は一生涯継続する必要があります。
また、SBIいきいき少短のペット保険によると、特発性膀胱炎の治療のために16日通院したところ、合計で90,656円ほど診療費がかかったケースがあるようです。
膀胱炎は尿検査で原因を特定してから治療を行いますが、原因がはっきりとしない特発性膀胱炎の場合、再発を繰り返すことも多く治療が長期化する傾向もあります。
通院補償があるメリット
PS保険によると、保険金を支払ったうちの9割以上が通院に対してです。
人間と違って全額自己負担となる動物病院の診療費は、突発的な病気やペットの診療費を十分に準備できていない場合には重い負担になることがあります。
人間の場合でも、もし診療費が全額負担だったら、体調が悪くても病院へ行くことをためらってしまいますよね。
犬や猫も同様です。だからこそ、通院補償のあるプランに加入していると、
- 保険金の支払いの9割を占める通院で補償を受けられる
- 動物病院を受診する際の金銭面でのハードルを少し下げることができる
といったメリットが考えられます。
先ほど、犬と猫の通院の通院費用の具体例をお伝えしましたが、これらの金額はあくまでも例なので、かかった病気によってはもっと高額になったり、通院の回数が多くなることもあります。
また、同時期に複数の病気やケガで治療をすることもあるため、診療費が想像よりも高額になるケースも存在します。
十分にペットの診療費を備えることができているかどうか不安という方や、まだ病気のための貯金を始めたばかりという方、今後の診療費の負担を少しでも減らしたい方は通院補償があるプランがおすすめです。
※保険金には支払限度額があり、診療形態(通院・入院・手術)ごとに限度日数または限度回数が定められているプランもあります。
※補償の対象外となる項目もあります。詳細は、重要事項説明書および約款などでご確認ください。
通院補償ありの保険、気になる点やデメリットはある?
通院・手術・入院のすべてを補償してくれるフルカバー型は、手術・入院に特化したペット保険と比較すると、保険料が高めに設定されている傾向にあります。
理由としては、手術・入院だけの場合よりも補償の範囲が広くなるためです。
近年はフルカバー型のペット保険であっても保険料が抑えられているものもありますが、手術・入院特化型のペット保険についてもう少し知りたい!という方はこちらの記事がおすすめです。
※ペット保険は、保険料だけではなく、契約条件や補償内容などの要素も考慮したうえで比較・検討してください。
通院補償ありの保険を比較してみよう
当サイトに掲載している保険会社の通院・入院・手術をカバーするプランの補償内容の中から、通院補償について比較してみましょう。
フルカバー型のペット保険には「1回あたりの支払限度額と支払限度回数を定めているプラン」と「支払限度回数に制限はなく、年間の支払限度額を定めているプラン」の大きく2種類があります。
通院補償の支払限度額と支払限度回数を比較
まずは「1回あたりの支払限度額と支払限度回数を定めているプラン」で比較します。
※ここでは手術と入院に関する支払限度額・支払限度回数は記載していません。
通院1回あたりの支払限度額は1万円前後、支払限度回数は年間20回程度に設定しているプランが多いようです。
保険会社/商品名 | 補償割合 | 新規加入可能年齢 | 通院1日あたりの支払限度額/日数制限 |
---|---|---|---|
アニコム損保 どうぶつ健保ふぁみりぃ |
50% | 7歳11ヶ月まで | 1万円/年20日 |
70% | 1万4,000円/年20日 | ||
アイペット損保 うちの子 |
50% | 12歳11ヶ月まで | 1万2,000円/年22日 |
70% | 1万2,000円/年22日 | ||
FPC フリーペットほけん |
50% | 9歳未満 | 1万2,500円/年30日 |
70% | |||
PS保険 | 50% | 8歳11ヶ月まで | 1万円/年20日 |
70% | |||
100% | |||
楽天損保 スーパーペット保険 通院つきプラン |
50% | 満11歳未満(10歳11ヵ月まで) | 1万2,000円/年22日 |
70% | 1万5,000円/年22日 | ||
SBIプリズム少短 プリズムペット いつでもパックプレミアム |
100% | 満8歳未満 | 1万2,000円/年60日 |
※保険期間は1年間、満期返戻金なし
※ここには保険商品の内容のすべてを記載しているものではありませんので、あくまで参考情報としてご使用ください。
※ここに記載されている保険商品の詳細な内容については、重要事項説明書および約款にて必ず全般的にご確認ください。
通院回数無制限のプランがある?
次に、通院上限回数を設けていないプランで比較していきましょう。
このタイプは1年間あたりもしくは1日あたりの上限金額が定められていて、その金額の範囲内であれば何回でも保険を使うことができます。
ただし、この上限金額は通院に限らず手術や入院すべてをあわせた支払限度額であるということに注意してご覧ください。
保険会社/商品名 | 補償割合 | 新規加入可能年齢 | 支払限度額 | |
---|---|---|---|---|
ペット&ファミリー損保 げんきナンバーわんスリム |
50% | 満7歳まで | 50万円/年 | |
70% | 70万円/年 | |||
SBIいきいき少短 スタンダードプラン(注1) |
50% | 11歳11か月まで | 50万円/年 | |
70% | 70万円/年 |
※保険期間は1年間、満期返戻金なし
(注1)SBIいきいき少短は免責金額なしのスタンダードプランの場合
※ここには保険商品の内容のすべてを記載しているものではありませんので、あくまで参考情報としてご使用ください。
※ここに記載されている保険商品の詳細な内容については、重要事項説明書および約款にて必ず全般的にご確認ください。
犬や猫の通院回数は何回くらい?
支払限度回数ありのプランをみて「この補償で本当に足りるの?」「制限なしの方がいいんじゃない?」と思った方も多いのではないでしょうか?
参考までに、犬や猫は1年間に何回くらい通院をしているのかを病気別にみてみましょう。
アニコム損保のどうぶつ白書2019によると、犬・猫ともに請求理由TOP10の病気やケガの中で1頭あたりの年間診療回数が最も多い慢性腎臓病(腎不全含む)は、犬は13.1回、猫は15回、1年間のうちに通院をしています。
単純計算で、1ヶ月に1回は通院をしていることになりますね。
また、犬の請求理由1位の原因未定の外耳炎は2.9回、猫の請求理由2位の嘔吐/下痢/血便は2.2回となっています。
これらの回数は平均の回数であり個体差があるため、症状によってはこれよりも多く通院する場合もあります。
品種によってかかりやすいといわれている病気もあるため、病気ごとで通院の平均回数などを調べてみても良いかもしれません。
ご自身とペットにとって、十分な補償内容かどうかを判断する際のひとつの指標にしてみてください。
通院補償に関するQ&A
通院にかかる費用や各保険会社の補償内容などを確認してきました。
ここでは通院補償に関するよくある疑問を解決します!
シニアの通院を補償する保険は?
2020年の一般社団法人ペットフード協会の調査によると、犬の平均寿命は14.48歳、猫の平均寿命は15.45歳です。
2010年の調査では、犬の平均寿命は13.9歳、猫の平均寿命は14.4歳だったため、犬猫どちらともこの10年で寿命が長くなっていることがわかります。
また、アニコム損保の家庭どうぶつ白書2019によると、年間診療費は1歳の犬が22,530円なのに対し、12歳の犬では149,757円。
猫では1歳で13,744円なのに対し12歳で78,268円と、どちらも約6倍もの金額になっています。
獣医療の進歩や飼い主のペットに対する健康意識の高まりなどから、愛するペットが長く生きられるようになっていることは喜ばしいことですが、一方で、歳を重ねるにつれ医療費は増加する傾向にあります。
いざペット保険に加入したくても年齢制限があり、希望のペット保険に加入すること自体できなかったなんてことも。年齢だけが理由で希望するペット保険への加入を諦めてしまうのはとても悲しいですよね。
実は、高齢の子であっても、アイペット損保「うちの子」は12歳11ヵ月までは通院補償のあるプランへ加入することができます。
アニコム「どうぶつ健保しにあ」は加入条件が8歳以上なので、13歳、14歳以上のシニア犬やシニア猫も加入ができます。ですが手術と入院に特化した商品のため、通院補償はありません。
若い時よりも加入できるペット保険の選択肢が狭まっているのは事実ですが、年齢だけで諦める必要はないのです。
次の記事では、10歳以上でも入れることができ、通院補償もあるプランを紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
通院中でも入れるペット保険はある?
今、何かの病気やケガで治療中で、ペット保険の必要性を感じたために加入を検討している方もいらっしゃると思います。
通院中でもペット保険には加入することができるのでしょうか?
ペット保険の申込みの際にはペットの健康状態について告知する義務があります。
その告知の内容に基づいて保険会社が引受審査を行い、加入の可否が判断されます。
通院中ということで加入を断られてしまうこともあれば、特定の病気やケガ・部位を対象外とする条件付き(特定疾病不担保)で加入することができるかもしれません。
審査の基準は保険会社によって異なるため、まずは希望する保険会社に問い合わせや申込みをしてみると良いでしょう。
下記のページでは、持病がある場合などのペット保険の加入条件について、より詳しく解説しています。
通院中のペットを飼われている方におすすめの内容になっています!ぜひお読みください。
うさぎやフェレットなど小動物の通院補償はある?
うさぎやフェレットなど、小動物も入れる通院補償つきのペット保険はあります。
ただし、犬や猫と比べると、そもそも選択肢となるプランが少ないのが現状です。
小動物を飼っている方は、まずはご家庭のどうぶつがどの保険に入れるのかを次の記事でチェックすることから始めましょう。
通院補償以外の比較ポイントは?
この記事では通院補償に焦点をあてて見てきましたが、もちろん手術や入院の補償内容を確認しておくことも大切です。
また、「窓口精算」や「免責金額の有無」など、ペット保険を賢く選ぶためには、支払限度額以外にも確認しておきたいポイントがいくつかあります。
下記の記事では「犬や猫のペット保険選ぶ前に知っておきたいこと」をわかりやすくまとめています。それぞれの観点から人気の保険を比較できるお役立ち記事を、ぜひご覧ください。
まとめ
犬や猫の保険選びでは、補償割合や保険料とならび「補償の範囲」も大切なポイントのひとつです。
どういった場合に保険を使いたいか、通院補償がないプランを選択する場合には「通院に備えてどれくらいの貯蓄が必要か」など具体的にシミュレーションをしてみましょう。
「万が一」の事態に備えて、目標の貯蓄額に達するまではペット保険に加入しておくといった選択肢もあります。
大事なことは、いざという時にペットと飼い主自身が困ってしまうことがないように、日ごろから万全の準備をしておくことです。
今回ご紹介した内容が、後悔のないペット保険選びの手助けになりますように。
【募集文書番号】アイペット損害保険株式会社:募2406-058(26.04)/アニコム損害保険株式会社:W2201-0057/SBIプリズム少額短期保険株式会社:JACAP202300043/株式会社FPC:AL-KY231220-030(24.12)/ペット&ファミリー損害保険株式会社:23D074-230601/ペットメディカルサポート株式会社:ANI211115