温度調整など、ハリネズミが長生きするお世話のコツもご紹介しているので、是非参考にしてみてください。
ハリネズミの特徴
背中の針が特徴的なハリネズミは、アフリカの中部と東部を中心に幅広い地域に生息しています。その名前からネズミの仲間だと思われることが多いですが、実はモグラに近い動物です。
体長は15cm-30cm前後、体重は300g-700g程度と、手のひらですっぽりと包み込むことができる大きさです。
ハリネズミの種類
いろいろな種類のハリネズミが存在しますが、日本で飼育が許可されている品種は「ヨツユビハリネズミ」のみとなっています。品種ごとの特徴を見ていきましょう。
ヨツユビハリネズミ
日本でペットとして飼える唯一のハリネズミです。別名、「ピグミーヘッジホッグ」ともよばれています。
名前の由来は後足の指の本数。他のハリネズミと同様に、前足は指が5本あるのですが、後足は4本しかないのが特徴です。
ナミハリネズミ
ヨーロッパなどに生息していることから、「ヨーロッパハリネズミ」ともよばれる品種です。茶色っぽいカラーと、他のハリネズミよりも一回り大きいサイズが特徴となっています。一般的には、オスよりもメスの方が大きいようです。
以前は日本でも飼育されていましたが、現在では特定外来生物に指定されているため、ペットとして飼育することはできません。
オオミミハリネズミ
その名のとおり、他のハリネズミよりも大きな耳が特徴的なハリネズミです。この大きな耳には、熱を発散して体を冷やす役割があると考えられています。
ナミハリネズミと同様に、以前は日本でも飼育されていましたが、現在では特定外来生物に指定されているため、ペットとして飼育することはできません。
ハリネズミの色と値段
日本で飼育することのできる、ヨツユビハリネズミをペットショップでお迎えする場合の価格は、1万5千円〜3万円程度が相場となっています。
ノーマルカラーのほかに、シナモン、アルビノ、アプリコット、ホワイト、パイドなどの毛色の子も存在します。
シナモンなどの人気のカラーや、パイド(まだらなツートンカラー)など、珍しい毛色の子は価格が高くなる傾向にあります。
- ノーマルカラー(ソルト&ペッパー)|1万円〜3万円
- シナモン(クリーム色)|1万円〜3万円
- アルビノ(白色)|1万円〜2万5千円
ハリネズミの寿命
生後半年ほどで大人になるハリネズミの飼育下での寿命は、3年〜5年といわれています。野生での寿命(2~3年)よりは長いのですが、それでも犬や猫などと比べると寿命が短いと感じる方も多いでしょう。ハリネズミは病気にかかりやすいともいわれていて、それが短い寿命の一因かもしれません。
しかし、きちんと飼育環境を整えれば平均寿命よりも長生きしてくれることもあります。ギネス記録ではありませんが、最長10年程度生きたハリネズミもいるようです。
後ほどご紹介する、温度調整などのお世話のポイントや病気の兆候を学び、できるだけハリネズミと長く暮らせるように準備をしましょう。
ハリネズミの飼育難易度は低め|一人暮らしでも飼いやすい
ハリネズミは夜行性なため、仕事などで日中外出していても大丈夫なことから、一人暮らしでも飼いやすいペットとして人気です。夜帰ってきたときに、元気なハリネズミの姿を見て癒やされる方も多いようです。
ケージなど飼育に必要なスペースも小さく、鳴き声や匂いもほとんどないため、賃貸でも飼いやすく、犬や猫の飼育がNGとなっている場合でも飼育できることがあります。ただし、事前に大家さんに確認するようにしましょう。
ハリネズミは臆病な性格|なつくには時間が必要
臆病で警戒心が強いハリネズミは、なつきにくいといわれることもありますが、時間をかけて徐々に仲良くなることは可能です。
ハリネズミが警戒しているときのしぐさ
ハリネズミと仲良くなるためには、ハリネズミが嫌がることをしないことが大切です。具体的には「警戒しているときには触らない」というルールを守る必要があります。
ハリネズミが警戒しているかどうかは、針を見ればわかります。針が立っているときは警戒している合図です。素手で触ると痛く、ハリネズミにとってもストレスになるため、絶対に触らないようにしましょう。
あまり鳴かないハリネズミが「シューシュー」といった鳴き声を発しているときも警戒している合図です。落ち着くまではそっとしておいてあげてください。
なついたら抱っこもできる
警戒していない時の針は、針の下の筋肉が緩むことで寝ています。この状態で触っても針が立たないようであれば、なついてくれたと考えて良いでしょう。中にはお腹の毛をなでさせてくれる子もいるようですが、あくまでもレアケース。基本的には臆病な性格なので、そこまでさせてくれる子は珍しいようです。
針が立っていないときのハリネズミは、素手で触ってもそれほど痛くないですが、基本的には軍手をはめての抱っこのほうが安全です。針の方向に逆らわないように包み込んであげてください。
ハリネズミをお迎えするための準備
ここでは、ハリネズミをお迎えするのに必要なものを順にご紹介します。
エサ
野生のハリネズミは昆虫などを食べていますが、飼育する場合はハリネズミ専用の総合栄養食を用意しましょう。1日1回から2回に分けて、パッケージに記載されている量(子ども大さじ1~2杯、大人大さじ2-3杯程度)をあげましょう。おやつを含め、与えすぎには気をつけてください。
ハリネズミは嗜好性が強く、災害などでいつも食べているフードが手に入らないときに、馴染みのないフードは食べてくれないことがあります。欠品に備え、普段から数種類のフードを混ぜて与えるようにすると良いでしょう。
ケージ
大きさは最低でも広さ60cm✕90cm、高さ30cm以上のものを用意しましょう。ハリネズミはよく運動する動物なので、狭いケージではストレスを感じてしまいます。運動不足を防ぐためにも、広めのケージがオススメです。
素材は金網製のもの、アクリル製のものなどがあります。金網製のものは安価で通気性が良いというメリットがある一方で、ケージの周囲が汚れやすい、ハリネズミの観察がしにくいといったデメリットがあります。
アクリル製のものは保温性が高く、透明なのでハリネズミの写真も取りやすいというメリットがありますが、通気性は悪く、金網より若干高価です。
基本的には、ハリネズミのかわいらしい姿を見やすいアクリル製のものがオススメですが、夏場の暑さ対策はきちんと行うようにしましょう。
ハウス
ハリネズミは臆病な性格で、野生では隙間などに隠れることで天敵から身を守って生活しています。いつでも外から見られる環境はハリネズミにとってストレスとなってしまうため、必ず隠れ家を用意しましょう。
たまにハリネズミの様子を覗くこともできる、屋根を外すことができるタイプがオススメです。
トイレ・床材
ハリネズミがトイレを覚えてくれるかどうかは個体によります。トイレを覚えてもらいたい場合は、ハリネズミがよく排泄する場所にトイレ(容器に薄く床材を敷いたもの)を置く、ハリネズミの糞をトイレに入れておくといった工夫をしましょう。
床材には、掃除がしやすく消臭効果も高いペットシーツがおすすめです。トイレ砂を使用する場合には、ハリネズミが固まった砂を誤飲しないように、一方ウッドチップを使用する場合には、アレルギーのでる可能性が高い針葉樹製のものではなく、広葉樹製のものを使用するように気をつけましょう。
回し車
肥満を防止するためにも、ケージの中に回し車を設置してあげると良いでしょう。音が気になるという方はサイレントタイプのものを選ぶことがオススメです。
網目が広いものや隙間がある場合には、ハリネズミが手足を挟んでしまわないように、マスキングテープなどで保護することが大切です。ハリネズミの爪の伸び過ぎも回し車でのケガに繋がるので、3ヶ月程度を目安に定期的に爪切りをしてあげてください。
エサ入れ
エサ入れはハリネズミが食べやすいように、高さのないものを用意しましょう。ハリネズミのごはんの量は少ない(大さじ3杯程度)ので、100均などでも購入できる小くて浅いお皿がオススメです。
給水器
給水ボトルを用意し、飲み口はできるだけハリネズミの口の高さに設置してあげると、ハリネズミの負担が少ないです。
水入れも使用できますが、水が汚れやすい、ハリネズミが濡れてしまうといった欠点があるため、基本的には給水ボトルがオススメです。
初期費用・継続してかかる費用
ハリネズミを飼い始めるにあたって、必要なものを揃えるのにかかる費用は2万円前後となっています。
以降は毎月の消耗品代(エサ、床材など)が5,000円程度固定でかかるようになります。その他にも、空調等の電気代もかかるでしょう。
また、ハリネズミが病気やケガをしてしまった場合には、治療費も必要になることを覚えておきましょう。
ハリネズミ初心者さんが知っておくべき飼育のコツ
ハリネズミが長生きするためには、ハリネズミにとって快適な環境を作る必要があります。ここでは、ハリネズミ初心者の方にも知っておいていただきたい飼育時のポイントをご紹介します。
ハリネズミの基本的なお世話は難しくない
ハリネズミの飼育難易度はどちらかというと低いといえるでしょう。毎日すべきこととしては、1日2回(夕方〜夜・夜寝る前もしくは朝)の餌やりと、飲水の交換、毎日のトイレ掃除のみで、比較的手間がかかりません。
掃除に関しては、汚れが目立つ箇所はその都度、床材の交換は週1回、ケージは月1回を目処に行うと良いでしょう。
その他のお手入れとして、ハリネズミの体が汚れているときにはウェットティッシュで拭くことや、定期的な爪切りが必要になります。
爪切りは血管が通っていない先端のみを切り取るようにしますが、自分で行う難しい場合は動物病院にお願いしましょう。
温度・湿度管理が重要
アフリカで暮らしていたハリネズミは、日本の暑さや寒さが苦手です。温度が高すぎると夏眠、低すぎると冬眠してしまい、ハリネズミに大きな負担がかかってしまいます。
ハリネズミの最適な温度は24〜29℃、湿度は40%以下です。クーラーやヒーターなどで常に温度・湿度を調整してあげましょう。ケージは、直射日光やエアコンの風が直接当たらない場所に設置してあげてください。
昼と夜とで寒暖差が激しい季節には、スマートリモコンを活用すると、外出中でも室温を調整してあげることができます。
静かな環境を用意しよう
臆病なハリネズミにとって、物音がする環境はストレスの原因となります。ケージはなるべく静かな場所に置くようにしてあげてください。
また、ハリネズミは夜行性です。夜にガサゴソと音がするのが気になるという方は、ケージの設置場所と寝室を分けると良いでしょう。
部屋で遊ぶ際の注意点
運動量を確保するための散歩(部屋んぽ)は、ハリネズミの健康を保つのに大いに役立ちます。ただし、部屋の環境は充分に整えておく必要があります。具体的には以下のようなことに気をつけましょう。
- 落下を防ぐために高いところに登れないようにする
- コード類など囓られてはいけないものを片付ける
- 脱走しないように戸締まりはきちんと行う
- 観葉植物は中毒を起こす可能性があるため片付ける
こんなときには動物病院へ!ハリネズミが見せる体調不良のサイン
ハリネズミに長生きしてもらうためには、病気の早期発見、早期治療も大切です。ここでは、ハリネズミが見せる体調不良のサインをご紹介します。おかしいと思うことがあれば、なるべく早く病院に連れていってあげるようにしましょう。
針や毛が抜ける
針や毛が抜けるのは、ダニ症などの皮膚病のサインかもしれません。ハリネズミは皮膚病にかかりやすいといわれており、実際にハリネズミの診療の半数以上が皮膚疾患となっています。治療薬を処方してもらう必要があるため、早めに病院を受診しましょう。
参照元:アニコム損保|ハリネズミさんに迫る危険~どんな疾患が多いの?~
できものができている
できものができている場合は腫瘍が疑われます。特に、高齢のハリネズミは腫瘍ができやすいとされているため、注意が必要です。
腫瘍には良性のものと悪性のものがありますが、悪性である場合、切除や抗がん剤の投与が必要となります。できものが小さいうちに病院で診察を受けることが大切です。
口臭がする
ハリネズミは本来、それほどニオイのない動物ですが、歯周病になると口臭がすることがあります。また、食事の量が少なくなるといった症状もみられます。
歯周病が疑われる場合には、病院で歯石の除去や抜歯を行ってもらいましょう。
繊維質が豊富な固めのエサをあげることで、一定の予防効果はあるともいわれていますが、ハリネズミの場合は一般的ではありません。
固い餌を与える主な目的は、歯の伸び過ぎの防止であるため、口内に異常を感じた場合にはまず動物病院を受診することをおすすめします。
ふらついている
ハリネズミがふらついているのは、ハリネズミ特有の病気である「ふらつき症候群」のサインかもしれません。治療法が見つかっていないため、発症すると1~2年ほどで亡くなってしまう病気ですが、緩和ケアを行うことはできます。病院で獣医師と相談してみましょう。
病院探しが最も重要
犬や猫と比べると、ハリネズミの病気やケガを診てくれる病院の数は非常に少ないのが現状です。具合が悪くなってから病院を探しても、なかなか見つからないことがあります。ハリネズミをお迎えしたら、まずはハリネズミを診察可能な動物病院を探しましょう。
番外編|泡をふくのはハリネズミの特性
ハリネズミが泡をふいていると、具合が悪いのではと心配になると思いますが、これは「アンティング」とよばれるハリネズミ特有の習性です。知らないものが近くにあるときに、泡をふいて自分の体にこすりつけることがあります。
アンティングを行う理由については、自分のニオイを周りと同化させて天敵に見つからないようにするためなど、様々な説がありますが、確定には至っていません。
異常ではありませんので、泡をふいているのを見てもびっくりしないようにしましょう。
愛玩動物飼養管理士より
ハリネズミのお世話はとても簡単で、初めてペット飼う方でもスムーズに慣れることができます。
ハリネズミはとてもグルメで気まぐれな動物でもあるので、毎日の暮らしの中で食欲や体調など些細なことでも気になる時はすぐ小動物の診療が可能な動物病院を受診しましょう。
動物病院を受診する時、ハリネズミが緊張していてハリを突き立ててしまうことがあります。
これでは十分に状態の確認ができないので、ハリネズミが毎日食べているフードの名前や便の状態がわかる写真、様子がおかしいことがわかる動画などを診察時に持参すると獣医師への説明がより的確になります。
ハリネズミが元気に衛生的な暮らしを送るためには定期的な爪切りも欠かせません。
毎月1回を目途に爪切りを習慣化しましょう。
自宅での爪切りが難しい場合は、健康チェックも兼ねて動物病院へ依頼すると病気や異変の早期発見にもつながるのでオススメです。
まとめ|ハリネズミの将来的な治療費の備えにはペット保険の加入もおすすめ
ハリネズミの特徴や飼育に必要なもの、長生きするためのお世話のコツをご紹介しました。
実際にハリネズミをお迎えした際には、まずは動物病院探しからはじめましょう。
また、治療費にも備えておく必要があります。下記の記事では、治療費に備える手段のひとつとして、ハリネズミのペット保険をご紹介しています。
病気にかかりやすいハリネズミの治療費は意外と高額になることもあるので、一度はペット保険の加入を検討してみるのがオススメです。