症例編

【獣医師監修】犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)を補償するペット保険は?診療費例やかかりやすい犬種も解説

犬がかかりやすい関節疾患のひとつに膝蓋骨脱臼(パテラ)があります。小型犬に多い病気ですが、猫でもかかることがあるようです。
本記事を読めば、パテラを補償対象外項目に定めているペット保険がわかります。パテラになった際の診療費やかかりやすい犬種等も併せて解説するので、ご自身のペットにパテラの補償が必要かどうか検討してみてください!

膝蓋骨脱臼(パテラ)はどんな病気?

パテラ ペット保険
膝の関節を構成するものの一つに、「膝蓋骨」といって膝のお皿とよばれている骨があります。その膝蓋骨が何らかの原因で正常な位置から外れてしまう状態を膝蓋骨脱臼(パテラ)といい、さまざまな症状を引き起こします。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の症状

膝蓋骨は太ももの前面にある筋肉と、すねの骨をつなぐ間に位置していて、膝の屈伸に必要な役割を持っています。そのため、膝蓋骨脱臼(パテラ)になり、本来の位置から外れてしまうと膝関節を上手く動かすことができなくなってしまいます。
初期の状態では症状はほとんどありません。重症化すると、膝の屈伸ができないため、歩行が困難になることもあるようです。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の原因

原因は2つあると考えられています。

  • 先天的な理由
  • 遺伝的な要因が関わっていると考えられていますが、はっきりとした遺伝子は解明されていません。膝蓋骨が乗る太ももの骨の溝(大腿骨滑車)の発育異常が原因のひとつだといわれています。

  • 後天的な理由
  • 交通事故や高いところからの飛び降り、転倒などが原因で膝に強い負担がかかって膝蓋骨が脱臼することがあります。

膝蓋骨脱臼(パテラ)になりやすい犬種は?

トイ・プードルやチワワ、ポメラニアンなどの小型犬がかかりやすいといわれています。好発犬種ではありませんが、大型犬や中型犬でも発生することがあるようです。

参照元:アニコム損保|病気と上手く付き合おう(04)<膝蓋骨脱臼(パテラ)について>

膝蓋骨脱臼(パテラ)の治療方法と診療費は?

パテラ ペット保険
パテラの治療方法や実際にかかった診療費をみていきましょう。
アニコム損保の家庭どうぶつ白書2019によると、手術での1回あたりの平均診療費は22万711円です。また、犬の手術理由の第5位がパテラのため、パテラで手術をしている犬が多いことがわかります。 

パテラの治療方法

膝蓋骨の脱臼の程度によってグレード1からグレード4まで分類されていて、グレードによって治療方法が変わってきます。
歩行検査(身体検査)、触診、レントゲン検査を行い診断したのちに、犬の状態や年齢を踏まえて最適な治療方法を選択します。
治療方法は外科的治療として手術を行うか、保存療法として内科的治療を行うかのどちらかになります。

パテラの診療費例(手術なしの場合)

手術を行わずに、内科的治療(内服薬やサプリメント)、理学療法(半導体レーザー)などを行った場合の診療費例をみていきましょう。

診断名 年齢 犬種 通院日数 診療費
外傷性膝蓋骨脱臼 2歳6ヵ月 ミックス 2日 6,804円
右膝蓋骨脱臼 1歳4ヵ月 ポメラニアン 4日 32,343円

パテラの診療費例(手術ありの場合)

次に手術を行った際の診療費例をみていきましょう。片足脱臼か両足脱臼かであったり手術の内容や入院の期間などによって異なりますが、手術は入院が必要になることも多く診療費が高額になりやすいです。

診断名 年齢 犬種 通院日数/入院日数 診療費
左膝蓋骨脱臼 6ヵ月 ミックス 5日/8日 190,710円
右膝蓋骨脱臼 11ヵ月 トイプードル 4日/3日 229,711円
膝蓋骨脱臼 9ヵ月 チワワ 2日/15日 438,040円

参照元:アクサダイレクト|愛犬の歩き方を要チェック!小型犬に多い膝蓋骨脱臼の症状~予防対策まで

膝蓋骨脱臼(パテラ)は補償される?

パテラが補償されるかどうかは、各保険会社で対応がわかれています。なかにはパテラを補償対象外としているペット保険もあるようです。
当サイトに掲載しているペット保険のなかでパテラを補償対象外としている保険会社は以下のとおりです。

  • SBIプリズム少短
  • SBIいきいき少短

※補償対象外となる全ての病気・ケガを記したものではありません。詳細は、重要事項説明書および約款でご確認ください。
※実際の保険金の支払いについては、「補償開始前からの症状か」などを含め保険会社が審査・査定を行ったうえでの判断となります。また、前提条件の相違等により補償内容が異なる場合があるので、実際に適用される補償内容について保険会社に問い合わせたうえで商品選択を行ってください。
※ここには保険商品の内容の全てを記載しているものではありませんので、あくまで参考情報としてご使用ください。
※ここに記載されている保険商品の詳細な内容については、重要事項説明書および約款にて必ず全般的にご確認ください。

各社の重要事項説明書等

・アニコム損保/重要事項説明書
・アイペット損保/重要事項説明書
・FPC/重要事項説明書
・PS保険/重要事項説明書
・楽天ペット保険/重要事項説明書
・ペット&ファミリー損保/重要事項説明書
・SBIプリズム少短/重要事項説明書
・SBIいきいき少短/ご契約に際しての大切な事柄(契約概要、注意喚起情報 等)
・イーペット少短/重要事項説明書

膝蓋骨脱臼(パテラ)の保険金支払事例

パテラ ペット保険
実際にペット保険に加入していた場合、どのくらい保険金が支払われたのか保険金支払事例を確認してみましょう。

<手術費用>1歳のトイ・プードルがパテラと診断され、手術・入院を行った例(手術1回・入院6日)

診療項目 金額
診察 800円
入院(5泊6日) 15,000円
検査 25,000円
全身麻酔 15,000円
手術 165,000円
点滴 14,400円
処置 10,500円
注射 6,000円
お薬 2,300円
合計 254,000円
ペット保険の補償額
(うちの子70%プランの場合)
177,800円
飼い主の自己負担額 76,200円

※上記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります。
※お支払いさせていただく保険金は、各商品の支払限度額・支払限度日数(回数)等の補償範囲までとなります。
参照元:アイペット損保|ペット保険「うちの子ライト」の補償内容

<手術費用>4歳のトイ・プードルが片側パテラと診断され、手術・入院を行った例

診療項目 金額
入院(3泊4日) 20,000円
レントゲン検査(6枚) 36,000円
全身麻酔 20,000円
手術費用 75,000円
留置処置 2,000円
静脈点滴(2日) 8,000円
注射料(4日) 20,000円
内服薬 7,000円
合計 188,000円
ペット保険の補償額
(どうぶつ健保ふぁみりぃ
70%プランの場合)
131,600円
飼い主の自己負担額 56,400円

参照元:アニコム損保|どうぶつ健保ふぁみりぃ 保険金請求の事例

加入するプランの補償割合にもよりますが、ペット保険に加入していると自己負担を少なくすることができています。
パテラは手術が必要な場合も多く、診療費が高額になることが珍しくありません。

ペット保険に加入していると、かかった診療費の一部が補償されるため、万が一の場合でも安心して治療を受けさせてあげることができます。もしもに備えるための選択肢のひとつとして、ペット保険の加入を検討してみても良いかもしれません。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の予防法は?

パテラ ペット保険
先天的な理由が原因の場合には予防することができません。そのため、症状が悪化しないようにこまめに様子を見て、定期的に健康診断に行くことが大切です。特に成長期(生後3ヶ月~12ヶ月)では急に状態が悪化することがあるので注意が必要です。

後天的な理由のパテラを防ぐためには、膝関節への負担をなるべく減らすように心がけましょう。太りすぎに気を付ける・自宅の床にマットを敷いて滑らないようにする・高いところからの飛び降りや激しい回転運動はさせないなど、日常生活をする上で十分に気を付けてあげましょう。

すでにパテラを患っている場合にもこのような点に気をつけてあげることが大切です。

まとめ

パテラ ペット保険
犬がかかりやすいといわれているパテラは、日ごろから予防をしていても防ぐことが難しい関節疾患です。いざというときに十分な治療を受けさせてあげられるように、ペット保険で備えることを検討してみてはいかがでしょうか。

パテラ以外の補償対象外項目は?

ペット保険ではパテラ以外にも補償対象外項目に定められている犬の病気があります。
他の病気や健康診断、去勢・避妊手術等に関して保険が適用されるか知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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獣医師から見た膝蓋骨脱臼(パテラ)とペット保険

川田 優貴 先生

膝蓋骨脱臼は先天性の発生も多く、好発犬種には若い時から症状が出ている子も多くみられます。またそういった場合には片足だけでなく両足に症状がよくみられるため、トータルの診療費がかさんでしまう事も珍しくありません。

近年の保険制度には、そういった高額の診療費にも補償対応している内容がありますので、飼い主様にとってとても助かることだと思います。費用の事を心配せずに治療に専念できる環境を整えてあげることで、手術やその後のリハビリなどの闘病期間を支えてくれることでしょう。

膝蓋骨脱臼は早期の外科手術を選択することで、関節軟骨や靭帯などを傷める前に機能を温存できる場合があります。そういった治療選択の際に高額の費用で躊躇われる方も多いと思いますが、こういった保険をうまく活用していると有事の際に心強いですね。飼い主様と犬にとってより良い治療や、選択の機会があるように保険制度を一度検討されてみると良いでしょう。

【募集文書番号】アニコム損害保険株式会社:W2303-0024/SBIプリズム少額短期保険株式会社:JACAP202300043

ABOUT ME
記事監修|川田 優貴 先生
北里大学を卒業後、10年間犬猫の臨床業務に従事。 令和元年から夜間病院にて救急対応を行なっています。動物の状態を飼い主様にも分かりやすく伝え、飼い主様とその子にとって最善の治療ができるように日々努力しています。 最近子猫を保護したのですが、とてもやんちゃで困らされています。 日本獣医がん学会、日本獣医画像診断学会所属。 https://doubutsuyakan.jp

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