本記事では、初心者の方に向けて、デグーの特徴や飼うために必要な準備、健康に過ごすための飼育時の注意点をお伝えします。
長いしっぽがチャームポイント!デグーの特徴
デグーは、チリの山岳地帯に生息している草食動物です。ハムスターと同じくげっ歯類に分類されていますが、夜行性ではなく人間と同じく昼間に活動します。
げっ歯類の中でも賢いといわれており、「おまわり」などの芸を覚えられることもあるようです。
しっぽは体長の約半分
大きさは約20cm前後ですが、特徴でもあるしっぽは体長の約半分、12cmほどの長さがあります。しっぽは体のバランスをとるだけでなく、他のデグーとコミュニケーションをとるためにも用いられているようです。
毛色はさまざま
一般的なのは「アグーチ色(黄みがかった茶色)」ですが、他にもブルー、グレー、ホワイト、ブラック、サンドなどさまざまな毛色のデグーがいます。
ペットショップで購入する場合、5,000円程度から購入することが可能ですが、珍しい毛色の子の価格は5万円以上することもあります。
寿命は5~8年程度
野生での寿命は1年以下と、非常に短いデグーですが、ペットとして飼われる場合には5~8年ほどといわれています。生後6ヶ月程度で大人になります。
長ければ10年以上生きることもあるようで、ハムスターなどの小動物のなかでは比較的長生きなペットといえます。
鳴き声で感情がわかる!
野生では群れで暮らしていたこともあり、社会性も身につけているデグーの性格は、好奇心旺盛です。コミュニケーションを取るためのデグーの鳴き声は15~20種類ほどあり、人間でもデグーの喜怒哀楽を理解することができるといわれています。下記に一例を紹介します。
- キュキュ|喜んでいる
- ピピピ|甘えたい
- クークー|穏やかな気分
- キーキー|怒っている
- プキュプキュ|お腹が空いた
鳴き声自体は小鳥が歌うような可愛らしいものです。注意深く鳴き声を聞いていると、デグーが何を欲しているか分かるようになるでしょう。
デグーの臭いの原因はトイレを覚えられないこと
実は、デグー自体から臭いがすることはほとんどありません。デグーは草食動物であり、強い臭いを発する液を分泌する臭腺もないこと、日頃から砂浴びをして皮膚を清潔に保っていることが理由として挙げられます。
デグーが臭う、といわれる最大の原因はおしっこです。デグーは決まった場所にトイレをするという習慣がないため、ところかまわずおしっこをしてしまいます。デグーが臭いと感じている場合、ほとんどのケースでは、この尿の臭いを「デグーの臭い」と感じてしまっていると思われます。
臭いは対策できる!
デグーのおしっこの臭いは、こまめな掃除で低減することができます。おしっこをよくする場所だけでも、こまめにウェットティッシュ等で拭いてあげると、臭いが大幅に緩和されます。
床材の汚れた部分はすぐに取り除き、ペットシーツは3日に1回程度交換してあげると良いでしょう。
ただしあらゆるものをかじってしまう癖がある場合、ペットシーツを食べてしまうと身体の中で膨張してしまう危険性があるため設置については検討が必要です。
また、ペットシーツを床材として使用している場合には、室内にアンモニア臭が拡がってしまう可能性もあるため、毎日変えてあげても良いでしょう。
デグーをお迎えするための準備
デグーと一緒に暮らすためには、どのようなものが必要になるのか、確認していきましょう。
エサは牧草を中心に
草食動物であるデグーの主食は牧草です。牧草にも種類がありますが、イネ科のチモシーという植物が主流となっています。
チモシーにも種類がある
チモシーは刈り取られる時期によって1番狩り、2番狩り、3番狩りに分かれます。子供のころは柔らかい2番狩り、3番狩りを、大人になったら歯の伸びすぎ防止のためにも硬めの1番狩りを与えると良いでしょう。
チモシーは1日中食べられるように、たっぷりと与えてください。
ケージは高さのあるものを用意
デグーは立体的な運動を好むため、ケージは高さのあるものを用意し、木製の足場をつけて上下に移動できるようにしてあげましょう。ただし、落下しないようレイアウトに工夫は必要です。
ケージには金属製のもの、ガラス製のもの、アクリル製のものがあります。金属製のものは通気性に優れている、掃除がしやすいといったメリットがありますが、保温性に乏しい、金属をかじることで騒音が発生する、嚙み合わせが悪くなるといったデメリットもあります。
アクリル・ガラス製のものは保温性に優れている、金属製と比べると静かなどのメリットがありますが、通気性が低い、レイアウトの自由度が少ないなどのデメリットがあります。どちらのケージを使う場合にも欠点を補う対策し、床材も敷いてあげましょう。
- 回し車
- 巣箱
- エサ入れ
- 給水ボトル
- かじり木
- 砂場
回し車
運動好きなデグーのために回し車は必須です。25cm程度の大きめのものを用意しましょう。音が気になる方はサイレントタイプのものがオススメです。
巣箱
チリの山岳地帯で天敵に見つからないよう隠れてくらしていたことから、デグーは隠れ家を好んでいます。木製もしくは布製の巣箱が一般的ですが、布製に関してはデグーが布に絡まってしまうことがないように気をつける必要があります。
餌入れ
主食であるチモシーに関しては1日中食べられるようにしておく必要があります。デグーがかじって壊してしまったり、ひっくり返さないように陶器の食器を餌入れとして使用することが多いようです。
かじり木
デグーの歯は何もしないと一生伸び続けます。歯が適切に削れるように、デグーがかじれる木製のおもちゃをいれておきましょう。
給水ボトル
デグーは脱水しやすいので、給水ボトルは2箇所用意すると良いでしょう。お皿で与えるという方法もありますが、デグーが濡れっぱなしにならないように注意が必要です。
砂場
デグーは綺麗好きな動物で砂浴びをして過ごします。砂浴びボトル等を用意し、1日に1回は砂浴びをさせてあげてください。
ケージに容器入れっぱなしにしておくと、容器内に糞や尿をして汚れが溜まってしまいます。砂浴びを終えたらケージから取り出しておき、汚れた砂を取り除きましょう。
初期費用は2〜3万円
ケージ内外に必要なものを全て揃えるのにかかる費用は2〜3万円程度となっています。
以降は毎月の消耗品代(エサ、床材、砂など)が2,000〜5,000円程度必要です。加えて、夏の暑い時期や冬の寒い時期は、エアコンやヒーターをつけるための電気代がかかります。
また、病気をしてしまったり、ケガをしてしまった際には、手術や入院、通院のための治療費が必要になります。
デグーがなつくコツは「ひたすら待つ」
げっ歯類のなかでも賢く、もともと群れで暮らしていたデグーは、飼い主さんになついてくれる可能性も十分にあります。なつくのにかかる期間には個体差があり、1週間程度でなつく子もいれば、半年ほどかかってようやくなついてくれる子もいるようです。
なつくまでに時間を要することは、デグーを飼う中で難しいことのひとつかもしれません。
デグーがなつくコツは「デグーから近づいてきてくれるまでひたすら待つ」ことです。特に、お迎えした直後はケージにも慣れておらず、ストレスがかかっているため、1週間ほどは触ったり、観察し続けたりせず、そっとしておくことが大切です。
スキンシップをしてみよう
おうちに慣れてきたなと感じたら、ケージの外からエサをあげることからはじめてみてください。手からエサを食べてくれるようになったら、外にだして直接あげる、手の上に乗せてあげるなどステップアップしていきます。手のひらに乗ってきてくれるようになれば相当なついた証です。
スキンシップのコツも「構いすぎない」こと。エサを無理やり顔に近づけたりせず、自分から食べてくれるまで待ちましょう。
デグーを飼うのは難しい?注意点を知っておこう
デグーが安全に暮らしていくために、いくつか注意点をご紹介します。
果物や野菜、糖分の多いものはNG
果物や野菜は、デグーにとっては糖分が多すぎるので、基本的には与えないようにしましょう。糖尿病になってしまう可能性があります。牧草で足りない栄養分に関しては、市販のペレットで補うようにしてください。
量に関しては、一般的には体重の5%程度が目安とされています。
室温管理が重要
デグーはもともとチリの山岳地帯に住んでいたこともあり、暑さや寒さに弱い動物です。
デグーの最適な飼育環境は、室温23℃〜25℃、湿度50%程度。夏の暑い時期はエアコンをつける、冬の寒い時期はヒーターを利用するなどして、ケージ付近の温度や湿度が適切に保たれているか確認してください。
しっぽは絶対に触らない
デグーを上から触るのは基本的にNGです。デグーが恐怖を感じてしまいます。デグーを移動させる必要があるときは下からすくいあげるように持ち上げましょう。
しっぽをさわることも絶対に避けてください。デグーのしっぽは切れやすく、誤って尾をつかんでしまうと、皮膚が剥がれてしまいます。
室内の「かじり」対策は万全に
デグーは伸び続ける歯を削るために、いろいろなものをかじります。ケージの外に出すときは電気のコードなど、かじられてはいけないものは置かないようにしましょう。
片付けることが難しい場合には柵を立てるなど、デグーが近寄れないような工夫が必要です。
大きな音はたてない
デグーは音に敏感な動物です。大きな音がするとストレスを感じて、人になつきにくくなってしまうこともあります。
できるだけ物音のしないところにゲージを設置し、静かな環境で過ごせるようにしてあげましょう。
多頭飼いの際は必要に応じて去勢を
もともと群れで暮らしていた寂しがりやのデグーは、多頭飼いが好ましいとされています。メス同士、オスとメスの組み合わせだと仲良く過ごせることが多いようですが、それでも相性が悪いケースもあります。ケンカをしてしまうようであれば、別ケージで飼育しましょう。
オスとメスの組み合わせて飼育する場合には去勢手術も検討しましょう。デグーは1回の出産で5〜6匹ほど子どもを産みます。繁殖を望まない場合には完全に分けて飼育するか、去勢をすることも大切です。
こんなときは病院へ!デグーが見せる体調不良のサイン
飼い方の注意点を守っていても、時には病気やケガをしてしまうことがあります。そうなったとき、いち早く異変に気づいて病院に連れて行ってあげることが大切です。
ここでは、デグーが見せる体調不良のサインをご紹介します。
ご飯を食べなくなった
ご飯を食べなくなった場合、不正咬合になっている可能性があります。不正咬合とは、伸び続けるデグーの歯が適切に削れず、噛み合わせが悪くなった状態を指します。
噛み合わせが悪くなると、食欲が低下してしまうため、動物病院で歯を削るなどの処置が必要になります。
水を飲む量が多い、ご飯を食べているのに痩せる
「普段より給水ボトルの減りが早いな」「ご飯はきちんと食べているはずなのに痩せてきたな」と思ったら、糖尿病の可能性があるかもしれません。デグーはインスリンの働きが弱く、糖尿病になりやすいともいわれています。
日頃から糖分の多いものを与えないことが大切ですが、もしこのような症状がみられたら念の為病院に連れて行きましょう。
夏場にデグーがぐったりしている
デグーはもともと高原で暮らしていた動物なので、蒸し暑い日本の夏は苦手です。夏場にデグーがぐったりとして動かない場合には熱中症になりかけているかもしれません。
熱中症はデグーの命にかかわります。熱中症かもしれないと思ったら、すぐに涼しい部屋に移動させましょう。そのうえで、できる限り早く病院に連れて行くことが大切です。
いつも動いている時間にじっとしている
いつも動いている時間にじっとしていたり、歩き方がおかしい場合には、骨折が疑われます。デグーの骨は非常に細く、骨折が起こりやすいです。
ケガをする瞬間を見ていなくとも、「おかしいな」と思うことがあれば病院につれていきましょう。
愛玩動物飼養管理士より
長い尻尾とクリクリとしたつぶらな瞳が何とも可愛らしいテグーは、初めてペットを飼う方や小動物好きな方から大人気です。
ただ本来は野生環境下で暮らす動物の為、必ずしも家族の期待通りに懐くわけではありません。
テグーに限らず体の小さな動物は体調不良を起こすと、自衛本能から身を隠す習性があります。
テグーが姿を見せない、運動をしない、エサを置いてもエサ入れに近づいて来ないなどの異変がある時は、すぐに動物病院を受診した方が良いでしょう。
病院を受診すべきかどうか迷う時は、テグーのエサ皿の重量を数時間毎に計り、食欲の程度を確認することも大切です。
小動物は体調不良を起こした時の症状の進行がとても早いため、不安や気になることがある場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ|デグーの治療費に備えるためにペット保険も検討してみよう
かわいいデグーと一緒に過ごすためには、デグーの特徴や飼い方をきちんと理解している必要があります。本記事でご紹介した注意点を守ったうえで、是非デグーと仲良く楽しい生活を過ごしてください。
それでも、ときにはケガをしたり、病気をしてしまう可能性はあります。治療費は意外と高額になることもあるので、ペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
下記記事では、デグーがかかりやすい病気や治療費、おすすめのペット保険について詳しく解説しています。こちらの記事も併せて確認してみてください。