症例編

【獣医師監修】犬の胆嚢粘液嚢腫:診療明細書とリアルな口コミからわかる症状と治療

※ 本記事は全国の動物病院から収集した実際の診療明細書と、それに紐づいた飼い主様の口コミをもとに、獣医師が監修・分析し作成しています。

一般的なペット情報サイトでは、誰でも匿名で投稿できるため、その情報が本当に治療を受けた飼い主様の実体験なのか判断が難しいケースも少なくありません。当サイトでは、「診療明細書」という客観的な証拠に基づいた情報提供に徹底してこだわり、信頼できる情報だけを厳選しています。


詳細なデータソースについては、以下の調査概要をご確認ください。

調査概要

調査期間 2024年9月1日〜2025年10月31日
調査対象 期間中に動物病院を受診し、診療明細書を保有する飼い主
有効回答数 5,772サンプル(診療明細書の画像提出あり)
調査手法 実際の診療明細書画像の提出を必須とした、一次情報に基づくWeb調査
調査実施者 ペット保険のトリセツ(運営:株式会社アニマライフ)

本調査は、飼い主様より直接ご提供いただいた「診療明細書」の画像とそれに紐づく口コミを元に独自に集計や処置内容は、症状の進行度や動物病院、個体差によって異なりますので、あくまで参考情報としてご活用ください。


犬の胆嚢粘液嚢腫に関する口コミ・体験談

症状と通院の傾向をまとめた口コミ要約

🩺症状・いつから?
  • 「原因がわからずずっと元気がありませんでした」「嘔吐するような症状が一日中続いた」といった、非特異的な消化器症状や元気消失が来院のきっかけとなっている
  • 「胆泥症の再診」といった、診断後の経過観察のための受診も含まれている
🏥動物病院での診断・治療
  • 「超音波検査(エコー検査)」が診断や経過観察の中心となっている
  • 検査の結果で「胆泥」が発見されている
  • 「治療のお薬」が処方されている
🏠️その後の経過・自宅ケア
  • 経過の報告があった口コミ1件中、1件で「少し良くなっていた」という改善の報告があった
  • 再診時の超音波検査により、状態の改善が確認され、安心につながっている


獣医師が解説:胆嚢粘液嚢腫の診断と治療ポイント

監修獣医師|平松 育子 先生
山口大学農学部獣医学科卒業。日本獣医がん学会、日本獣医皮膚科学会、日本ペット栄養学会所属。皮膚科と内科、予防医療に注力する。

2006年~2023年 ふくふく動物病院 院長
2023年~ ペテモ動物病院 院長
2023年~ アイビー・ペットライディング 代表 ペット専門のライターとして執筆、監修を行う。
🩺 獣医師からのコメント

胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)は、胆嚢内にゼリー状の粘液(ムチン)が過剰に蓄積する病気で、中高齢の犬に多く見られます。

寄せられた声にある「胆泥(たんでい)」は、胆嚢粘液嚢腫の前段階や併発所見としてよく見られます。

初期段階では症状がない(無症状)ことがほとんどですが、進行すると「元気消失」「嘔吐」「食欲不振」といった非特異的な症状が現れます。

これらは病気がかなり進行しているサインである可能性もあります。

診断には、「超音波検査(エコー検査)」が最も重要です。

胆嚢の内部の状態や壁の厚さを評価します。

また、「血液検査」で肝酵素(ALT, ALP、GGTなど)の上昇がないかを確認することも不可欠です。

胆泥症の段階であれば、内科的管理(利胆剤や肝庇護剤などの「お薬」)で経過を見ることが多いですが、胆嚢粘液嚢腫が進行し、胆嚢が破裂する(胆汁性腹膜炎を引き起こす)リスクが高いと判断された場合は、胆嚢を摘出する手術が必要となります。

症状が出にくいため、定期的に健康診断を受け血液検査や超音波検査などによる早期発見・早期管理が非常に大切な病気です。

実際の口コミ・体験談事例一覧

2025.9

長引く元気消失と嘔吐、検査で胆泥発見

ペットの情報

ミックス犬

4歳

保険加入

症状

元気消失嘔吐

院内処置

糞便検査超音波検査血液検査尿検査注射

処方

利胆剤サプリメント

症状・いつから?

原因がわからずずっと元気がありませんでした。嘔吐するような症状が一日中続いたので見ていただきました。

動物病院での診断・治療

超音波検査と検尿検便、血液検査をしました。心音に雑音と胆泥が見つかりました。治療のお薬をいただきました。

明細書提出済医療費:

13,160

2025.9

胆泥症の再診、超音波検査で改善を確認

ペットの情報

チワワ

5歳小型犬

保険加入

症状

胆嚢粘液嚢腫

院内処置

超音波検査

処方

利胆剤抗菌薬

症状・いつから?

胆泥症の再診でした。

動物病院での診断・治療

超音波検査を受けました。

その後の経過・自宅ケア

少し良くなっていたので安心しました。

明細書提出済医療費:

8,096

ペット保険で胆嚢粘液嚢腫の医療費に備えるメリット

上記事例の通り、胆嚢粘液嚢腫の治療費は検査や手術が必要になると数万円~十数万円に達することがあります。

高額な検査・手術費用をカバー

胆嚢粘液嚢腫の診断には超音波検査(エコー検査)検査や血液検査が必要です。

体験談でも「超音波検査で診断」「血液検査で異常発見」といった、複数の検査を受けるケースが見られました。

重症化した場合は外科手術が必要になることもあり、ペット保険があれば高額な医療費も補償対象となります。

継続的な投薬治療の負担を軽減

胆嚢粘液嚢腫は長期的な投薬管理が必要な場合があります。

定期的な通院と投薬で、年間の医療費が積み重なります。

ペット保険があれば、継続的な治療費用の負担を軽減できます。

経済的な安心が早期受診につながる

ペット保険に加入する最大のメリットは、経済的な安心感です。

治療費の心配が軽減されることで、獣医師の提案する検査や治療をためらわずに受けられるようになります。

胆嚢粘液嚢腫は早期発見・早期治療が重要な病気です。ペット保険で備えておくことで、大切なペットの健康を守る選択肢が広がります。

💡 ペット保険を検討中の方へ

胆嚢粘液嚢腫は重症化すると手術が必要になることもあります。
健康なうちに加入しておくことで、万が一の時も安心して治療に専念できます。

獣医師が回答!よくある疑問(Q&A)

飼い主さん
飼い主さん
症状/見分け方
Q.1 どんな症状が出たら、胆嚢粘液嚢腫を疑うべきですか?
獣医師
獣医師
実は、この病気は初期には症状がほとんど出ないことが多いんです。元気がなくなったり、食欲が落ちたり、時…
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A.1 実は、この病気は初期には症状がほとんど出ないことが多いんです。元気がなくなったり、食欲が落ちたり、時々吐いたりといった、はっきりしない症状が続くことが多いですね。進行して胆嚢が破裂したりすると、急にぐったりしたり、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、激しい腹痛や嘔吐といった重い症状が出て、命に関わる状態になります。

飼い主さん
飼い主さん
症状/見分け方
Q.2 胆嚢粘液嚢腫かどうか、家で判別する方法はありますか?
獣医師
獣医師
飼い主様がご自宅で判別することは困難です。症状が出ないことが多いため、健康診断の超音波(エコー検査)…
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A.2 飼い主様がご自宅で判別することは困難です。症状が出ないことが多いため、健康診断の超音波検査で偶然見つかるケースが非常に多い病気なんです。先ほどのような食欲不振や嘔吐などの症状が出た時には、すでにかなり進行している可能性もあります。

飼い主さん
飼い主さん
症状/見分け方
Q.3 胆嚢粘液嚢腫と間違いやすい病気はありますか?
獣医師
獣医師
症状がはっきりしないため、食欲不振や嘔吐は「胃腸炎」や「膵炎」、「肝炎」などと間違われることがありま…
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A.3 症状がはっきりしないため、食欲不振や嘔吐は「胃腸炎」や「膵炎」、「肝炎」などと間違われることがあります。黄疸が出た場合は、他の原因の肝臓病や、胆管が詰まる「胆管閉塞」などと区別する必要があります。また胆嚢が破裂すると腹膜炎を発症する可能性があり、命に係わる危険な状態となります。

飼い主さん
飼い主さん
対処/予防
Q.4 疑われる時、家でできる応急処置はありますか?
獣医師
獣医師
この病気に対する飼い主様ができる応急処置はありません。むしろ「沈黙の臓器」の病気なので、症状が出た時…
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A.4 この病気に対する飼い主様ができる応急処置はありません。むしろ「沈黙の臓器」の病気なので、症状が出た時点で緊急性が高い可能性があります。特に、元気消失、繰り返す嘔吐、黄疸(白目が黄色い)が見られたら、様子を見ずにすぐに動物病院を受診してください。

飼い主さん
飼い主さん
対処/予防
Q.5 この病気は予防できますか?
獣医師
獣医師
発症そのものを確実に予防するのは難しいです。ただ、高脂血症(血液中の脂肪分が多い状態)や、クッシング…
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A.5 発症そのものを確実に予防するのは難しいです。ただ、高脂血症(血液中の脂肪分が多い状態)や、クッシング症候群、甲状腺機能低下症といった他の病気が関係していることが多いため、それらの病気をしっかり管理することが予防につながる可能性はあります。何より、症状が出る前に見つける「早期発見」が重要ですので、中高齢になったら定期的な健康診断(特に腹部超音波検査(エコー検査))をお勧めします。

飼い主さん
飼い主さん
対処/予防
Q.6 食事で何か気をつけることはありますか?
獣医師
獣医師
はい、食事管理は非常に重要です。胆嚢は脂肪の消化を助ける「胆汁」を貯める場所なので、負担をかけないよ…
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A.6 はい、食事管理は非常に重要です。胆嚢は脂肪の消化を助ける「胆汁」を貯める場所なので、負担をかけないよう「低脂肪食」にすることが基本です。これは、お薬での内科治療を選択した場合も、手術後も継続する必要があります。おやつなども含めて、脂質の管理が求められます。

飼い主さん
飼い主さん
病気について
Q.7 胆嚢粘液嚢腫は完治しますか?
獣医師
獣医師
根本的な治療(完治)は、胆嚢を摘出する「外科手術」しかありません。お薬で胆汁の流れを良くする「内科治…
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A.7 根本的な治療(完治)は、胆嚢を摘出する「外科手術」しかありません。お薬で胆汁の流れを良くする「内科治療」もありますが、粘液(スライム状のもの)を溶かしきることは難しく、いつ破裂するかわからないというリスクを抱えたままになります。ただし、手術自体も、胆嚢が破裂してしまうと全身状態が悪化し、手術のリスクが非常に高くなります。最悪の場合、手術をしても命を落としてしまう可能性があります。

飼い主さん
飼い主さん
病気について
Q.8 胆嚢粘液嚢腫になりやすい犬種はありますか?
獣医師
獣医師
はい、「好発犬種」がいます。特に報告が多いのは、シェットランド・シープドッグ(シェルティ)、ミニチュ…
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A.8 はい、「好発犬種」がいます。特に報告が多いのは、シェットランド・シープドッグ(シェルティ)、ミニチュア・シュナウザー、アメリカン・コッカー・スパニエルですね。他にもチワワやポメラニアンなどで見られることもあります。

飼い主さん
飼い主さん
費用/ペット保険
Q.9 治療費はどれくらいかかりますか?
獣医師
獣医師
治療費は、内科治療か外科治療かで大きく変わります。内科治療の場合は、定期的な超音波検査(エコー検査)と血液検査…
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A.9 治療費は、内科治療か外科治療かで大きく変わります。内科治療の場合は、定期的な超音波検査(エコー検査)と血液検査、そして生涯続く可能性のある内服薬(利胆剤など)の費用がかかります。外科手術(胆嚢摘出術)を選択した場合は、専門的な技術が必要な開腹手術となり、数日間の入院も必要になるため、治療費は高額になる傾向があります。

飼い主さん
飼い主さん
費用/ペット保険
Q.10 胆嚢粘液嚢腫はペット保険に対応していますか?
獣医師
獣医師
はい。胆嚢粘液嚢腫は「病気(疾患)」ですので、一般的にペット保険の補償対象となります。診断のための検…
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A.10 はい。胆嚢粘液嚢腫は「病気(疾患)」ですので、一般的にペット保険の補償対象となります。診断のための検査費用、手術費用、入院・通院費用、お薬代などが対象になることが多いです。(※ただし、保険加入前に診断されている病気や、加入後の待機期間中に発症した場合は対象外となります。)

飼い主さん
飼い主さん
費用/ペット保険
Q.11 診断された後に、保険に入ることは可能ですか?
獣医師
獣医師
保険に「加入」すること自体は可能な場合が多いですが、その「胆嚢粘液嚢腫」は補償対象外(不担保)となる…
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A.11 保険に「加入」すること自体は可能な場合が多いですが、その「胆嚢粘液嚢腫」は補償対象外(不担保)となるのが一般的です。ペット保険は「加入前の病気(既往症)」は補償されません。この病気は手術になるリスクが非常に高いため、加入時に告知をすると、将来にわたって胆嚢や肝臓、胆管など関連する疾患は補償されなくなる可能性が非常に高いと考えてください。

本記事は2025年12月時点の医学的知見に基づき監修されています。


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