症例編

【獣医師監修】猫の膀胱炎の症状や原因は?診療費事例や疑われる場合の対応をあわせて解説

膀胱炎は慢性化しやすい病気の1つです。悪化するとより重篤な病気を起こす恐れがあるため、深刻化する前に対処する必要があります。

本記事では、猫の膀胱炎の症状や原因、膀胱炎にかかる診療費を備え方とあわせて解説します。

膀胱炎が疑われる猫にみられる症状

上を見つめる猫
膀胱炎とは、一時的に尿を貯めておくための臓器である膀胱に、何らかの原因で炎症が起こる病気です。

放置すれば症状の悪化に繋がるため、以下に紹介するような症状がみられる場合は、速やかにかかりつけの動物病院を受診することをおすすめします。

排尿量が少なくトイレに行く回数が増加

膀胱炎が疑われる猫にみられる症状としてまず挙げられるのが、排尿量の減少とトイレに行く回数の増加です。

これは膀胱内の炎症によって尿が少し溜まるだけで違和感が生じるためで、排尿時には痛みを感じて声を上げることもあります。

また、膀胱炎によって排尿をうまくコントロールできずに、部屋の中でポタポタと尿が垂れてしまうこともあります。

陰部をよく舐める、落ち着かないなどの様子がみられる場合は、残尿感や炎症による不快感などがあるのかもしれません。

日頃から猫のトイレ事情をチェックして、異変を感じた場合は速やかに動物病院を受診してください。

ペット保険 腎不全
猫の腎不全|ペット保険の補償対象?腎不全でも入れる保険は?高齢の猫がかかりやすいといわれている慢性腎臓病は、発症すると完治が難しい病気です。「ペット保険で慢性腎臓病は補償対象?」「腎不全でも入れるペット保険はある?」などの気になるポイントを診療費やペット保険での補償事例とあわせて解説します。...

トイレに行ってもうまく排尿ができていない

トイレに行ってもうまく排尿ができないのも、膀胱炎の症状の1つです。

うまく排尿できていないということは、排出できない分の尿が溜まっていると考えられます。
特にオスは尿道が細く、結石や分泌物などが尿道に詰まってしまう恐れがあるため注意しましょう。
なお、オスが違和感から陰部を舐めることで腫大し、尿が出にくくなることもあります。

尿が出せない状態が続くと、本来捨てるはずの老廃物が体内に溜まることで膀胱破裂や急性腎不全、尿毒症などを引き起こしかねません。

1日以上排尿ができていない場合は命にかかわる大変危険な状態であるため、速やかに動物病院を受診してください。

参照元:猫の病院すとう|おしっこトラブルに要注意!(男の子の尿道閉塞を中心に)

尿の匂いや色が普段と異なる

尿の匂いや色が普段と異なる時も、膀胱炎の可能性があります。

特に、尿の匂いが普段よりもきつい場合は要注意です。尿とは思えないような匂いがする場合は、膀胱内が膿んでいる恐れもあるため、一刻も早く獣医師に相談しましょう。

また、排泄後の尿がキラキラと光っている場合は、結晶や結石が尿と一緒に出ていると考えられ、尿石症を患っている疑いがあります。

結晶や結石が尿道に詰まると排尿できない状態に陥るため、尿の匂いや色が普段と異なる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

食欲不振や嘔吐がみられる

食欲不振や嘔吐がみられる場合は、注意が必要です。

こうした場合、膀胱炎が悪化している、もしくは細菌が腎臓にまで感染拡大して腎盂腎炎などを患っている可能性が考えられます。

腎盂腎炎は猫種を問わず発症の可能性があり、急性腎盂腎炎の場合は食欲不振や嘔吐の他、発熱や下痢、膿汁や血液混じりの尿を何度も排尿します。

さらに症状が重くなると、腎臓機能の低下により慢性腎不全に繋がりかねません。

食欲不振や嘔吐などの症状に気づいた場合は、早めにかかりつけの動物病院を受診して治療を始めるようにしましょう。

猫の膀胱炎の原因

うとうとする猫
膀胱炎は猫がかかりやすい病気の1つですが、発症する原因はさまざまです。

ここからは、膀胱炎を発症する主な原因について解説します。

細菌感染

膀胱炎の原因として特に懸念されるのが、細菌感染です。ブドウ球菌や大腸菌などが尿道を伝って膀胱に侵入、繁殖することで炎症を引き起こします。

特にメスは肛門から尿道口までの距離が短く、下痢などで腸内細菌が侵入しやすいため、細菌性膀胱炎を発症しやすいとされています。

また、糖尿病や慢性腎臓病などの基礎疾患によって免疫力が低下している場合にも、膀胱内の尿に細菌が繁殖しやすくなるため、注意が必要です。

参照元:ALL動物病院行徳|犬も猫もかかる尿の病気、細菌性膀胱炎

結晶や結石

結晶や結石も、膀胱炎を生じる原因の1つです。

尿が酸性の場合はシュウ酸カルシウム結晶、アルカリ性ならストルバイト結晶が生じやすいとされ、それらが膀胱の粘膜に傷をつけることで炎症を起こします。

近年ではシュウ酸カルシウムの発生率が高まっており、特に以下の猫種に比較的できやすい傾向があるといわれています。

  • ブリティッシュショートヘア
  • ヒマラヤン
  • スコティッシュフォールド
  • ロシアンブルー
  • ペルシャ など

一度結石ができた猫は再発しやすいため、日頃から水分をしっかり摂取させたり、フードを切り替えたりと、結石の発生を防ぐための生活を心がけましょう。

また、尿路結石があると判断された場合には、定期的に動物病院で膀胱や尿の状態を検査しておくことをおすすめします。

ブリティッシュショートヘア ペット保険
ブリティッシュショートヘアにおすすめのペット保険を徹底解説!ペット保険にはさまざまな種類がありますが「うちの猫にどの保険がいいのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、ブリティッシュ・ショートヘアがかかりやすい病気やケガという観点からペット保険をご紹介します。...
ロシアンブルー ペット保険
ロシアンブルーにおすすめのペット保険を徹底解説!ペット保険にはさまざまな種類がありますが「うちの猫にどの保険がいいのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、糖尿病などロシアンブルーがかかりやすい病気やケガという観点からロシアンブルーにオススメのペット保険をご紹介します。...

参照元:日本獣医麻酔外科誌|猫の尿管結石症

原因がはっきりとしない特発性膀胱炎もある

猫の膀胱炎の中には、特発性膀胱炎という、発症の原因がはっきりとしないものもあります。

猫の膀胱炎の半分以上が特発性膀胱炎にあたるといわれ、特発性膀胱炎が生じる理由として、飲水量の少なさや多頭飼育などの生活環境などがリスクとして指摘されているものの、詳しい原因はまだわかっていません。

その他、猫自身の問題としてはストレスや神経質、肥満などが原因として膀胱炎が起こることもあるため、原因を突き止めるために獣医師の判断が欠かせないでしょう。

参照元:ペット栄養学会誌|猫の突発性膀胱炎とその対処法、特に栄養学的管理について

猫の膀胱炎治療にかかる費用にはペット保険が適用できるケースも

窓際で寝そべる猫
猫の膀胱炎治療にかかる費用について、ペット保険によっては適用されるケースがあります。
膀胱炎は再発することも多いため、診療費をカバーしてくれるペット保険の存在は、心強い味方となってくれるでしょう。

ここでは、ペット保険に加入する際の特徴やメリットについて解説します。

発症後は市販薬などの投与は控えて速やかに動物病院を受診する

膀胱炎を発症しているからといって、自己判断で市販薬などを投与することは控えましょう。
獣医師の指示なく市販薬を飲ませると、思わぬ作用を引き起こすことがあります。

また、市販薬は医療機関で処方される薬とは効能が異なるため、かえって症状を長引かせたり、悪化させたりする可能性も少なくありません。

特に、排尿痛や嘔吐、食欲不振などの症状もある場合は市販薬では対応できないことが多いため、速やかに動物病院を受診することをおすすめします。

猫の膀胱炎の主な治療方法

膀胱炎の治療方法は原因によってさまざまですが、主な方法は以下の通りです。

抗生物質 細菌が感染している場合に投与する
療法食 主に動物病院で処方される医療用フードへ切り替える
外科手術 結石の外科摘出を行う

膀胱炎の原因として細菌感染が疑われる場合は、一般的に抗生物質を投与して治療します。
飲み薬による治療の他、薬をうまく飲めない猫の場合は注射を用いて投薬する場合もあります。

炎症によって血尿が出ている場合、以前では止血剤を服薬する場合もありましたが、最新の知見では膀胱炎で出血している時に止血剤を使用すると、血餅を作ってしまい尿路閉塞を引き起こす可能性があるとされているため、現在は推奨されていません。

結晶が原因の膀胱炎には療法食や手術による治療が進められるケースも

また、結晶が原因で発症する膀胱炎については、療法食によって治療を進めることが多い傾向があります。
しかし、溶解できない結石や結晶がある場合には、手術で摘出することもあります。

受診する際に獣医師に正確に伝えられるよう、排尿時の様子や体調など愛猫の様子を日ごろから把握しておきましょう。

猫の膀胱炎の診療費事例

膀胱炎の疑いで動物病院を受診する場合、一般的には以下のような診療費が想定されます。

膀胱炎の疑いで受診する場合

  • 初診料……約1,000円
  • 血液検査……約4,000円
  • 尿検査……約1,000円
  • 皮下点滴……約1,000円

合計金額:約7,000円(薬代など除く)

参照元:日本獣医師会|家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

抗生物質が効きにくい細菌が原因の場合や、感染が腎臓にまで拡大している場合などは治療が長期化する場合があるため、診療費が高額になる傾向があります。

一方、膀胱結石が刺激となって膀胱炎を起こしている猫については、結石の大きさによって摘出手術が必要になるため、さらに高額な費用が想定されます。

結石を摘出する場合

  • 膀胱結石手術(検査から導尿、入院などを含む)……140,800円〜206,800円

参照元:銀座ペットクリニック|診療・手術料金表
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

結石摘出後も結晶などが再発する恐れがあるため、定期的に尿検査をすることをおすすめします。

発症してからでは保険加入できなくなる可能性が高いため要注意

膀胱炎を発症してからでは、保険会社によっては加入を断られることがあります。

仮に加入できた場合も、膀胱炎の治療にかかる費用は補償の対象外となるでしょう。

アニコム損保の家庭どうぶつ白書2019によると、猫の請求理由において膀胱炎は第3位になっていて、発症率の高さが伺えます。

年齢を重ねるごとに病気になるリスクが高まるため、ペット保険の加入を検討する際は愛猫が健康なうちから、最適な補償内容のものに加入しておくことをおすすめします。

なお、具体的な加入条件や内容は、ペット保険商品ごとに異なります。加入先を選ぶ際には、各保険商品の補償内容を比較することが大切です。

おすすめペット保険会社比較!初心者向け13社を短所も隠さず解説「ペット保険に加入しようと思うけど、どれにすればいいのかわからない…」という方に向け、13社のペット保険の特徴やメリット、気になる点やデメリットなどを解説!ペット保険を選ぶ際のポイントについても紹介します。...

猫に膀胱炎らしき症状がみられた時の対処法と予防策

ぐっすり眠る猫
猫に膀胱炎らしき症状がみられた時、以下のような方法で対処すると改善が期待できることがあります。

普段の生活を見直すことで、膀胱炎の発症リスクを抑えることにも繋がるでしょう。

与える食事やおやつなど、食生活を見直す

膀胱炎らしき症状がみられた時は、食生活を見直すことが大切です。
食事やおやつに含まれる尿石の原因となる成分を減らし、膀胱炎が生じにくい生活を整えましょう。

例えば、ストルバイト結石の予防なら過剰なマグネシウムの摂取を抑える、シュウ酸カルシウム結石の予防なら過剰なカルシウムの摂取を抑えるなど、各バランスを調整した食生活がおすすめです。

なお、療法食を獣医師から指示された場合は、そちらの療法食を食べさせてください。

また、結晶や結石の発生への対策として、水分の摂取も大切なポイントです。
飲水量が少ないほど尿の濃度も濃くなり、膀胱炎の原因ともなる結晶や結石ができやすくなります。

猫が思うように水分を取ってくれない場合は、以下のような工夫がおすすめです。

  • 水を頻繁に取り替えて、新鮮な状態を保つ
  • 給水場所を増やす
  • 愛猫好みの水や温度にする
  • ウェットフードを増やす

一度膀胱炎になると再発を繰り返すことが多いため、獣医師と相談したうえで、健康な食生活を整えましょう。

参照元:インターズー|動物栄養管理学

トイレの環境を清潔に保つ

膀胱炎の対処法では、いかに排尿を促せるかという点がポイントです。
そのため、排泄物などをこまめに掃除して、トイレの環境を清潔に保つことも重要になります。

また、トイレを常に掃除して綺麗な状態にする他に、以下のようなトイレ対策もおすすめです。

  • ゆったりとした大きさのものを用意する
  • 静かで薄暗い場所に設置する
  • トイレの数を増やす
  • 好みの猫砂を入れる

ストレスなくトイレができる環境を用意して、猫が落ち着いて排尿できるよう促してあげましょう。

監修担当の獣医師より

小島 麻里 先生

膀胱炎は無症状の事も多く、原因の一つである尿石症は健康診断でたまたま発見されることもあります。
尿石症は放置すると大きな結石が膀胱内にできて手術が必要になりますが、早期に発見できれば食事療法でコントロールできることもありますので、定期的な検査がおすすめです。

特に純血種の猫ちゃんは、尿石症をはじめとする尿トラブルを起こしやすいので早めの保険加入を検討してもいいですね。

尿トラブルは生活環境が原因の一つになっていることもあります。猫に適切なトイレの数はいくつですか?と相談を受けることがありますが、よく言われているのは猫ちゃんの数プラス1がおすすめです。

一度、おうちのトイレ環境を見直してもいいかもしれません。

まとめ


猫の膀胱炎はよくみられる疾患ですが、重症化すると尿毒症や慢性腎不全など深刻な状況に陥りかねません。

普段から愛猫のトイレ事情をよく観察して、飲水量や尿量に変化があった場合はなるべく早く動物病院を受診することをおすすめします。

また、万が一診療費が高額になった場合でも安心して治療に専念できるように、愛猫が健康のうちに、ペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
記事監修|小島 麻里 先生
酪農学園大学獣医学部獣医学科を卒業後、10年間小動物臨床に従事。 地域密着型の1次病院で経験を積み、東京大学動物医療センターで内科系研修医と並行して臨床研究を行う。 潜水士およびペット管理栄養士取得。7歳になる保護猫2匹(おもち・だんご)と暮らす。 めい動物病院
ABOUT ME
トリセツ編集部(アニマライフ)
トリセツ編集部(アニマライフ)についてはこちら>>

ペット保険のスペシャリストである少額短期保険募集人資格保有者が記事の執筆・監修をしています。ペット保険の情報をわかりやすくお伝えすべく、日々最先端のペット保険情報をチェックしています。犬や猫の「もしものとき」に備えるためのペット保険選びを正しい情報でサポートします。
×