入門編

【獣医師監修】犬はスイカを食べられる!栄養素が与える犬へのメリットや与え方の注意点について解説

みずみずしいスイカは、犬が食べられる野菜です。スイカの約90%は水分でできているので、犬にとっても良い水分補給となるでしょう。
この記事では、犬にスイカを与える際のポイントや、含まれる栄養素について解説します。

犬はスイカを食べられる!与えるときのポイント

カットされたスイカ
犬はスイカを食べられますが、与える際にはいくつかのポイントがあります。
まずは、スイカの犬への基本的な与え方について解説します。

皮と種を取り除けば生のまま与えてOK

犬にスイカを与える際は、皮と種を取り除けば果肉をそのまま与えても問題ありません
皮と種は硬くて消化に悪いため、食べてしまうことがないよう注意しましょう。

また、特に加熱をする必要もないため、生の状態で与えましょう。

常温に戻してから小さくカットしたものを与える

スイカはキンキンに冷やしてから食べると美味しいですが、犬は下痢をしてしまう可能性があるため、常温に戻してから与えることをおすすめします。

また、スイカの果肉は柔らかいため細かくカットしたりすり潰したりする必要はありません。
犬が食べやすいように1~2cmくらいのサイコロカットにしてあげると良いでしょう。

1日あたりの適量は体重4kgに対して約15g程度まで

犬に与えるスイカの量の目安としては、1日あたり体重4kgに対して約15g程度です。
スイカを2cm×2cmの大きさにカットすると、約15gになります。

おやつとして食べていいのは、1日のカロリー総摂取量の10%程度が理想といわれています。
計算上では20から30g程度まで食べられますが、栄養素や糖分を考えると、15g程度に抑えた方が良いでしょう。

与え過ぎは、下痢を引き起こす可能性が高くなるため注意が必要です。

また、犬によって個体差があるため、単純に体重が5倍の20kgだからといってスイカの量も5倍にあたる約75gを与えても良いかというと、そうではありません。
愛犬の適量を探るために、はじめのうちは少量ずつ与えて、便が緩くならないか様子を見るようにしましょう。

犬にスイカを与えるメリット|スイカに含まれる栄養素

スイカ
スイカの約90%は、水分でできています。
しかし、スイカ特有の栄養素も含まれているため、犬に与えることでメリットも多いでしょう。
ここでは、スイカに含まれる栄養素が犬に与えるメリットについて解説します。

シトルリン

シトルリンは、1930年に日本でスイカから発見されたアミノ酸の一種です。
スイカやメロンなどのウリ科の植物に含まれており、利尿作用があります。
また、血管を拡張させて血流を促す作用もあるため、血液が循環しやすくなり、むくみの予防効果も期待できるでしょう。
ちなみに、シトルリンは果肉と皮の間の白い部分に含まれます。

シトルリンが含まれている野菜は少ない

先述した通り、シトルリンには利尿作用やむくみの予防が期待できますが、シトルリンが含まれている食べ物は少ないです。
シトルリンが含まれる野菜はスイカが主で、ウリ科以外のほかの野菜には含まれていません
その中でも100g中の含有量が最も多いスイカは、シトルリンを効率良く摂取できる貴重な食材といえるでしょう。

カリウム

カリウムは、体内のナトリウムを排出する作用があります。
余分なナトリウムを排出することで、血圧が高くなるのを予防してくれるでしょう。

カリウムとナトリウムは相互に作用しながら体内のpHを調整する働きがあるため、ナトリウムを摂取すると血圧が高くなりますが、カリウムは逆に血圧を下げてくれるでしょう。
また、神経の伝達や筋肉の収縮にも、カリウムは深い繋がりがあります。

ちなみに、カリウムはドッグフードはもちろん、牛肉や鶏肉などの肉類からほうれん草やトマトなどの野菜まで、多くの食材に含まれています。
そのため、カリウムを意識して与える必要はありませんが、ドッグフードへの食いつきが悪いときにトッピングとして与えると良いでしょう。

不足するととカリウム欠乏症を発症する恐れがある

カリウムが不足すると、カリウム欠乏症を発症してしまう可能性があります。
カリウム欠乏症の症状としては、首の筋肉が麻痺のようになったり、最終的には立てなくなったりすることが挙げられます。

しかし先述した通り、カリウムはドッグフードにも十分に含まれているため、日常的にドッグフードをきちんと食べていれば発症するリスクは低いでしょう。

一方で、犬が体調不良による食欲不振を起こしているときには、カリウム欠乏症のリスクも高まります。
そんなときに甘みのあるスイカを犬に与えることで、水分補給と同時にカリウムも補給することができるためおすすめです。

βカロテン

βカロテンは、犬の体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。
ビタミンAには、皮膚や被毛の健康を保ち、丈夫な歯や粘膜を作る作用があります。
また、βカロテン自体には抗酸化作用もあるため、犬のボケ予防にも繋がるでしょう。

βカロテンはメロンなどの果物にも豊富に含まれています。

犬メロン食べる
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ビタミンA中毒に注意

βカロテンは犬の皮膚や被毛の健康を保つのにメリットの多い栄養素ですが、過剰摂取には注意しなければなりません。
βカロテンを摂取しすぎてしまうことで体内のビタミンAが過剰となり、嘔吐や食欲不振のほか、肝臓への強い負担から肝臓病を発症するなどの症状がみられる、ビタミンA中毒になってしまうことがあります。

犬に与える適量の、15mg程度であれば起こる可能性は高くありませんが、ほかの哺乳動物に比べてβカロテンをビタミンAに変換する能力が高いため、与えすぎには注意しましょう。

リコピン

リコピンは、スイカの果肉を赤くしている天然カロテノイド色素です。
ビタミンEの100倍以上ともいわれる強い抗酸化作用があるため、犬の老化予防に役立つことが期待できます。

ガン予防にも効果が期待できるといわれているため、犬が若いうちからスイカを与えても良いでしょう。ちなみに、果肉が黄色いスイカにはあまり含まれていません。

リコピンの含有量はトマトの約1.5倍

リコピンと聞くと、トマトを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
実は、スイカはトマトの約1.5倍のリコピンが含まれているため、トマトよりも効率良くリコピンを摂取することができます。
そのため、犬にリコピンを摂取させたいのであれば、トマトよりもスイカのほうが効果的だといえます。

スイカを加工した食品は与えないように注意する

メロンジュース
基本的に、犬にスイカを加工した食品は与えてはいけません。
犬にスイカの加工食品を与えると、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、犬にスイカの加工食品を与える危険性について見ていきましょう。

スイカジュースやスイカゼリー

市販で販売されているスイカジュースは、糖類や保存料などが添加されているため与えてはいけません。
しかし、生のスイカを絞ったスイカジュースであれば与えても良いでしょう。
もちろん、スイカゼリーに関しても同様に、スーパーなどで販売されているものは避ける必要があります。
水と寒天のみで作られたスイカゼリーであれば、与えても問題ないでしょう。

スイカアイス

スイカアイスも、もちろん犬に与えてはいけません。
多くの糖類や保存料の添加物はもちろん、犬の身体を冷やす原因にもなってしまいます。
下痢を避けるためにも犬にアイスなどの冷たいものは与えないようにしましょう。

ドライフルーツ

甘みがあるスイカは、ドライフルーツとしても販売されていることがあります。しかし、皮や種ごと乾燥させたものが多く、消化不良の原因にもなるため与えないほうが良いでしょう。

また、市販のドライフルーツには砂糖がまぶしてあるものもあります。
砂糖は肥満や糖尿病のリスクが高くなり、犬の健康に大きな悪影響を及ぼす可能性があるため、ドライフルーツを与えるのは避けたほうが良いでしょう。

スイカを与えてはいけない犬の特徴

後ろを向く犬
犬にとってメリットの多いスイカですが、犬によっては与えてはいけないこともあります。ここからは、スイカを与えてはいけない犬の特徴について紹介します。

腎臓に持病があり通院をしている

カリウムを摂取することにより排出されるナトリウムは、腎臓から排出されます。
健康な犬であればカリウムの摂取量が多少多くても問題ありませんが、腎臓に不安のある犬がカリウムを過剰摂取してしまうとカリウムをうまく排出することができなくなり、高カリウム血症を発症してしまう可能性があります。
高カリウム血症は命にかかわる不整脈を起こしてしまうことがあるため、注意が必要です。
これらのことから、腎臓に持病がある犬には、スイカを与えないほうが良いといえるでしょう。

通院・服薬をしている場合には事前に獣医へ必ず確認する

βカロテンやカリウムのほか、スイカにはシトルリンやリコピンなどさまざまな栄養素が含まれています。
犬によっては、それらの栄養素が治療に思わぬ影響を及ぼしてしまうこともあるでしょう。

そのため、通院や服薬をしている犬にスイカを与える際には、事前に獣医師に確認することをおすすめします。スイカに含まれる栄養素を踏まえた上で、犬に与えても良いかどうか判断してくれるでしょう。

消化器官が弱くお腹をこわしやすい犬

約90%が水分のスイカは、消化酵素を薄めてしまう可能性があることから、消化器官が弱い犬には与えないほうが良いでしょう。
お腹をこわしやすい犬は、スイカによる水分で下痢になってしまう可能性が高いです。
特に、トリミングなど事前に用事が入っているときには、スイカを与えないほうが良さそうです。

肥満気味の犬

甘みのあるスイカには果糖が含まれているため、肥満気味の犬には与えないほうが良いでしょう。
犬の肥満は糖尿病や足腰への負担など、健康面でのリスクが高くなります。
そのため、肥満気味の犬には基本的にドッグフードのみを与えるようにしましょう。

初めて与えるときには体調の異変やアレルギーの発症に注意する

凛々しいヨークシャテリア
犬によっては、スイカを食べることでアレルギーを発症してしまうことがあります。
特に、ウリ科であるメロンやきゅうりなどでアレルギー症状がみられたことがある犬は、注意が必要です。

アレルギー症状としては、軽度であっても下痢や嘔吐などが挙げられます。
そのため、犬にはじめてスイカを与える際は、必ず少量を与えてしばらく様子を見るようにしましょう。

また、カバノキ科やイネ科、ブタクサ花粉に対してアレルギーを持っている犬は、スイカを食べることで交差反応によるアレルギー症状がみられる可能性が考えられます。

また、アレルギーの発症がなくても、電解質などの影響もある腎疾患の悪化や、消化器疾患の下痢・嘔吐などの症状にも注意しましょう。
尿量の変化や食欲の変化がみられた場合には、速やかに動物病院を受診しましょう。

スイカを食べさせて体調不良やアレルギー症状がみられたときの対処方法

目をつぶるコーギー
犬にスイカを食べさせて、万が一アレルギー症状がみられたときにはどのように対処をすれば良いのでしょうか?
アレルギー反応に対しては早急な対応が求められるため、事前にきちんと確認をしておきましょう。

速やかにかかりつけの動物病院で検査を行う

犬にスイカを食べさせた後に、少しでも様子がおかしければ早急に動物病院へ連れて行きましょう
原因がスイカかどうかわからなくとも、検査を行うことで犬の異常が特定できるはずです。
また、スイカによるアレルギー症状でなくほかの病気であったとしても、早期発見や早期治療に繋がるでしょう。

緊急時には救急対応している動物病院へ

犬にスイカを与えてから、アレルギーの重篤な症状がみられた場合には、夜中であっても救急対応している動物病院へ連れて行きましょう。
犬に急な体調不良があったときには、何かと慌ててしまうはずです。
犬に何かあったときにも冷静に対処できるように、事前に救急対応している動物病院を調べておくことをおすすめします。

急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ

頬を寄せる犬
アレルギーに限らず、犬が急に体調を崩してしまうこともあります。
そんなときにペット保険に加入していれば、悩まずにすぐに対処することができるでしょう。
最後に、ペット保険に加入するメリットをご紹介します。

異変を感じたときにすぐ受診できる

ペット保険に加入することのメリットとしては、犬に異変を感じたときにすぐ受診できる点が挙げられます。
ペット保険に加入していなければ、犬の簡単な診察でもそれなりの費用がかかってしまいますが、ペット保険に加入していれば費用負担を軽減することが可能です。

受診費用の負担が少なくなれば、犬に異変を感じたときにも動物病院へ通いやすくなり、早期治療につながるでしょう。

緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も

ペット保険会社によっては、犬に何か異変があったときに24時間いつでも問い合わせを対応している会社もあります。
24時間の問い合わせ窓口があれば、「これって動物病院へ連れて行くべき?」という飼い主の不安を、解決に導いてくれるでしょう。
このように、ペット保険会社ごとにさまざまな付帯サービスを設けていることもあるため、加入をする前には何社か比べてみることをおすすめします。

下記記事では、犬のペット保険について具体的な補償内容や毎月の保険料などを比較しています。合わせてご覧ください。

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また、そもそも本当に自分と愛犬にとってペット保険が必要なのか疑問に思う方は、獣医師が専門的な知見からペット保険の加入をおすすめするケースについて解説している下記記事をご覧ください。

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獣医師からみた犬とスイカの関係性

葛野 莉奈 先生

暑い夏に食べるスイカはみずみずしく、好物である飼い主さんも多いのではないでしょうか。
水分も多く採れるスイカは、夏バテ気味の愛犬にもおすすめです。

ただし、電解質に影響を与える成分や食物繊維、糖分を多く含むスイカを与える際は、持病や体質に十分注意しなければなりません。
また、好んで食べるからといって、大量に食べることもおすすめできません。

良かれと思って与えていたら、体調が変化してしまった場合、飼い主さんも慌ててしまいますよね。

初めて与える場合もですが、夏場は暑さなどで体力や消化能力も低下していて、普段は大丈夫なことも体調不良として現れてしまう場合もあります。
この記事で起こり得ることなど知っておいていただき、万が一の時のために保険の加入なども検討しておくと、いざというときの対策になりますので、さらに安心と思います。

まとめ

スイカは、犬にとって夏バテ予防をはじめ、健康維持に効果を期待できる食べ物です。
しかし、約90%が水分であるスイカを犬に与えすぎると、下痢の原因になることもあるため、必ず適量を守り、持病などで不安がある場合には必ず事前に獣医へ相談してください。

また、スイカを食べることでアレルギー症状が見られた際には、すぐに動物病院へ連れて行くことが大切です。急に必要となる治療費に備えて、ペット保険へ加入しておくのもおすすめです。

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ABOUT ME
記事監修|葛野 莉奈 先生
かどのペットクリニック院長。
麻布大学獣医学部獣医学科を卒業後、神奈川県内動物病院にて勤務、ペットショップ巡回などを経て2015年に開業。
普段の診療では皮膚科や産科、新生児診療に力を入れています。私生活ではミニチュア・ダックスフントたちと生活しています。
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