この記事では、ほうれん草に含まれる栄養素が犬に与えるメリットや、与え方に関する注意点について解説します。
犬はほうれん草を食べられるため与えても大丈夫!
ほうれん草は、犬に食べさせても問題のない食材です。
さまざまな栄養が含まれているほうれん草は、私たち人間と同様に犬に与えても多くのメリットをもたらします。
ただし、犬に与える際には下処理が必要になるため、あらかじめ確認しておきましょう。
加熱してから与えるのが望ましい
ほうれん草を犬に食べさせる際には、必ず茹でて加熱をすることでアク抜きをしてください。ほうれん草にはシュウ酸が含まれており、体調不良を引き起こしやすくなるため、加熱することでシュウ酸の量を減らす必要があります。
ただし、茹でることでビタミンCをはじめとした水溶性ビタミンが流れ出てしまうため、2〜3分程度に留めましょう。
犬にほうれん草を与えるメリット|ほうれん草に含まれる栄養素
ほうれん草に含まれる栄養素が、犬の体に与えるメリットは少なくありません。
ここからは、栄養素ごとのメリットや、不足することで懸念されるリスクについて解説します。
また、ほうれん草以外で同じ栄養を補うことができ、犬に与えても良いとされている食材も合わせて紹介します。
ビタミンC
ほうれん草にはビタミンCが含まれています。抗酸化作用があり、がんのリスクを抑えるともいわれるビタミンCは、犬の体にとっても欠かせない栄養素だといえます。
実は人間以外の多くの動物は、ブドウ糖などを元にして体内でビタミンCを合成することができるため、あえて摂取させる必要はないとの見方もあります。しかし、犬は他の動物と比べて合成能力が低いことから、生活環境やストレスなどによっては補ってあげることが必要になる場合もあります。
不足すると免疫力低下や関節疾患、骨折を招くことも
犬の体からビタミンCが不足すると、免疫力が低下してしまうため、風邪をはじめとしたさまざまな病気を引き起こしやすくなってしまう恐れがあります。
他にも、ビタミンCの働きのひとつにはコラーゲンの生成があり、これが皮膚や関節、骨の健康維持に重要な働きを担っているため、不足すると関節トラブルや骨折を招いてしまうこともあります。
また、体内でビタミンCを合成できる犬にとっては非常に稀ではありますが、体の至るところから出血が起こる「壊血病」を引き起こす可能性もあります。
ほうれん草の他にも、キウイやいちご、メロンなどの果物でも補うことができますが、それぞれ与え方には注意しましょう。
こちらの記事では、メロンを犬に与えるときのポイントや注意点について詳しく解説しています。

ビタミンB
ビタミンBは、犬の白内障の防止や、被毛をきれいに保つことに作用するため、犬の体にとっても重要な栄養素です。また、炭水化物の消化を促すなど代謝にかかわる働きを担っています。ビタミンC同様に水溶性ビタミンであることから、基本的には毎日摂取させるのが望ましいといえるでしょう。
不足すると筋力の低下や心臓肥大などを引き起こしてしまう
犬の体からビタミンBが不足してしまうと、成長の阻害、筋力の低下などを引き起こす恐れがあります。
先述した通りビタミンBは、体内に蓄積されにくい特徴がありますが、さまざまな食材に含まれており、日常的に総合栄養食のフードを与えていれば摂取できます。
そのため、不足することを心配する必要はありませんが、気になるようであれば、ほうれん草をはじめ、豚肉やレバーなどの食材を少量与えて補うのも良いでしょう。
鉄分
鉄分は、体内に酸素を運搬するほか、体内に鉄分酸素を貯蔵し、運動をするときに必要なエネルギーを供給する役割を担っています。成犬が1日に必要とする鉄分量は1.4mg程度とされており、基本的に総合栄養食のドッグフードを食べていれば不足してしまうことはありません。
鉄分は肉や魚に多く含まれる「ヘム鉄」と、ほうれん草をはじめとした野菜や穀物などに多く含まれる「非ヘム鉄」にわかれ、「ヘム鉄」のほうが吸収率は高いといわれています。
不足すると足取りがフラフラしたり被毛トラブルを招いたりする
犬の体内から鉄分が不足すると、人間と同様に貧血状態となり、めまいやふらつきの症状が現れます。また、免疫力の低下によりさまざまな病気を招いたり、酸素が不足することで疲れやすく息切れが多くなったりしてしまいます。
反対に過剰に摂取してしまうと、食欲低下や下痢などを引き起こすこともあるため、注意が必要です。
鉄分は、ほうれん草のほかにもレバーや卵黄からも摂取させることができるため、日常的に与えている餌だけで鉄分の補給に不安があるときには、様子をみながら少量ずつ与えてみるのも良いでしょう。
犬にほうれん草を与えるときの注意点
犬にほうれん草を与えるときに、加熱するのが望ましいことは先述した通りですが、その他にもほうれん草を与えるときに注意したいことがあります。
ここからは1日あたりに食べさせてもいい量の目安をはじめ、犬にほうれん草を与えるときの注意点について解説します。
体重1kgに対して5g前後が適量の目安
犬にほうれん草を与えるときは、体重1kgに対しておよそ5g前後が適量とされています。例えば10kg程度の小型犬の場合、50g前後が1日に与えていい量の目安になります。
ただし個体差もあり、必ずしも体重と与えてもいい量が比例していくとは限らないことや、その子の胃腸の状態や消化器の状態に応じて適量は変わってくるため、便の状態などを見ながら与える量を調整することが大切です。
与えすぎによる尿路結石や繊維の過剰摂取に注意
ほうれん草には、豊富なシュウ酸が含まれています。このシュウ酸を摂りすぎてしまうと、シュウ酸カルシウム結石を引き起こし、尿路閉塞を発症してしまうと腎不全による命の危険性も高まってしまいます。
また、不溶性の食物繊維も含まれていることから、過剰に摂取させてしまうと便秘になりやすくなってしまうため、こちらも合わせて注意しましょう。
茹でて加熱し細かく切ってから与える
冒頭にご紹介した通り、ほうれん草は生ではなく、2分から3分程度茹でてから与えるようにしてください。そして消化管に詰まらせてしまうことのないよう、細かく切ってから与えることをおすすめします。
冷凍食品のほうれん草の場合、塩ゆでしてあるものがあり、犬にとっては過剰な塩分摂取になってしまうこともあり得るため、事前にきちんと確認をしましょう。
水に溶けやすい特性を活かしてシュウ酸の摂取を抑えられる
先述した通り、尿路結石の原因にもなってしまうシュウ酸は、水に弱い溶けやすい特性があります。
そのため、ほうれん草を食べさせる際、茹でた後に水にさらすことで、心配される病気のリスクを抑えることができるでしょう。
初めて与えるときにはアレルギーの発症に注意する
初めてほうれん草を与える際には、アレルギー症状が出てしまう可能性を考えて、少量ずつ様子を見ながら与えるようにしましょう。
また下痢や嘔吐、体をかゆがる様子や発疹などがみられた場合、アレルギー症状の可能性があります。すぐに与えるのを中止して、動物病院を受診しましょう。
病気で通院している犬は与える前に獣医に確認する
持病があって通院している場合や、服薬を続けている場合には、ほうれん草を食べさせる前に必ずかかりつけの動物病院へ相談をしましょう。場合によっては、治療に影響が出てしまう可能性があるため、自己判断で与えてしまうと犬の健康を害してしまう可能性もあります。
また、すでに尿路結石を発症している犬にとってほうれん草はリスクの高い食べ物であるため、なるべく与えないほうが良いでしょう。
犬におすすめのほうれん草を使ったレシピ
基本的には茹でたほうれん草をそのまま与えれば良いのですが、手作りで毎日の食事を作っている方は、ほうれん草を使った犬用のレシピも気になるのではないでしょうか。
犬の体に負担がなく、おいしく食べてもらうことのできるレシピを紹介します。
お腹を壊しているときにおすすめ!ほうれん草のおかゆ
炊いたご飯とほうれん草を、お水で煮込み、ほうれん草に火が通ったら完成するかんたんレシピです。お腹の調子が良くない日などにも活用すると良いかもしれません、
ほうれん草とトマトのリゾット風
こちらはほうれん草とご飯に、トマトや鶏肉をあわせてリゾット風にアレンジしたレシピです。トマトにも犬の体にとって有効な栄養素が豊富に含まれているため、栄養素を補いたいときに良いでしょう。
なお、犬にあげる食事に関しては、調味料を使わず、生のまま調理するようにしてください。
ほうれん草を食べさせてアレルギー症状がみられたときの対処方法
犬にほうれん草を食べさせた際に、万が一アレルギーと疑われる症状がみられたときには、早急な対処が求められます。急な体調不良で慌ててしまうことのないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
速やかにかかりつけの動物病院で検査を行う
まず、ほうれん草に限らず与えた食べ物を原因に体調不良がみられた場合には、すぐにかかりつけの動物病院を受診することをおすすめします。
また、獣医により適切な処置をしてもらうためにも、食べた時間や量、調理方法についてメモをとっておき、診察の際に伝えられるようにしておくと良いでしょう。
対処の時間が早ければ、吐き出させることが可能な場合もあります。
ただし、素人がやるとかえって犬の体調を悪化させてしまうことも考えられるため、必ず獣医にお願いするようにしましょう。
緊急時には救急対応している動物病院へ
犬の体調不良は夜間や休日など、動物病院が開いていない時間に突然起こることがあるかもしれません。そのような場合には、救急対応をしている動物病院を探して受診してください。
いざというときのために、近隣の救急対応している動物病院について情報を集めておくことも大切です。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ
犬の突然の体調不良で動物病院へ連れて行くと、治療費が高額になってしまうこともあるかもしれません。特に救急で診察を受けた場合や、急な手術が必要になった場合は高額になりやすいでしょう。
ペットの体調不良の際の急な出費に備えるひとつの手段として、ペット保険を検討するのも良いかもしれません。最後に、ペット保険の便利な活用方法についてご紹介します。
異変を感じたときにすぐ受診できる
犬の体調に異変を感じた際、そこまでひどくなければしばらく様子を見るということも少なくないと思われます。しかし、犬の病気は目に見えない形で進行してしまうものもあるため、なるべく早いタイミングで動物病院を受診できるのが望ましいでしょう。
ペット保険に加入しておくことで、治療費の負担を抑えることができるため、動物病院を受診する心的ハードルも下がりやすくなり、早期発見・早期治療に繋がるメリットがあります。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
ペット保険は提供している会社によって、さまざまな特徴があり、補償内容に留まらず、サービス内容などに違いがあります。そして、その中には問い合わせサービスを設置している会社もあり、獣医師に愛犬の体調について相談することができます。
相談サービスがあると、なんとなく異変を感じているとき、動物病院を受診したほうがいいか、しばらく様子を見たほうがいいか判断するときの心強い味方になってくれるため、治療費の補償とあわせて便利に活用することができるでしょう。
なお、犬が加入できるペット保険について、補償内容などを具体的に比較しています。あわせてご確認ください。

獣医師から見た犬とほうれん草の関係とペット保険
飼主さんと犬が一緒のものを食べることで、おいしいものを共有でき、手作りご飯を作ってあげることは愛情を伝える良い方法になります。
しかし、アレルギーや尿石症など、療法食を食べ続けなければならない子の場合は、症状が悪化したり、致命的になってしまう可能性があります。
もしすでに持病がわかっている場合は、事前にかかりつけの先生に相談してから与えましょう。
また、これらの疾患はどんな子でもなる可能性があり、罹患した場合は一生のお付き合いになります。
そうなったときのために、保険に加入しておき治療の選択肢が増やせれば、手作りのご飯を作ってあげる代わりに幅広い選択肢でケアをし続けてあげられるという新たな愛情表現が可能になるでしょう。
まとめ
ほうれん草は、加熱すれば犬に食べさせても問題がない野菜のひとつです。
しかし、ほうれん草に含まれる栄養素の中には、摂取させすぎてしまうと体調不良や、病気を引き起こしやすくしてしまうものもあるため、与えすぎには注意しましょう。
日常的な食事をきっかけに、犬が急に体調を崩してしまうこともあるかもしれません。
ご紹介したペット保険をはじめとして、日頃から万が一のときに備えておくことが大切です。
