日本人の食卓に欠かせないお米は、犬にも与えることができる食材です。ただし、生米はNGなため、ごはん・おかゆにするなど、与える際には注意点もあります。
本記事では、犬に米を与えるメリットや注意点、与える際の適切な量や犬用レシピなど、犬にお米を与える時に知っておきたい知識をご紹介します。
与えても大丈夫!犬はお米を食べられる
基本的に、お米は犬に食べさせても大丈夫な食材です。犬にお米をあげると、効率良く栄養補給を行うことができます。
ただし、適切な与え方をしないと体調不良を起こしてしまう可能性があるので、注意点も確認していきましょう。
生米はNG、必ず火を通してから与える
消化不良により下痢を起こす可能性があるので、生米を犬が食べることはできません。お米は炊いたもの、もしくはおかゆ状にしたものを与えるようにしましょう。
その際、火傷には注意が必要です。人間にとってちょうどいい熱さでも、犬にとっては熱すぎることがあります。調理したあと、必ず冷ましてから与えるようにしてください。
消化しやすいのは白米>玄米>雑穀米
玄米とは、稲穂からもみ殻のみを外した状態のお米です。白米と異なり、表面のぬかや胚芽が残ったままになっています。雑穀米とは、白米の他に、玄米、あわ、押し麦などを混ぜ合わせたものです。
栄養的には、白米よりも多くの栄養素を摂取することができる玄米や雑穀米を与えるほうがいいのですが、消化はしづらくなります。特にシニア犬や子犬に与える際は注意が必要です。白米よりも柔らかい状態で与えるようにしましょう。
犬にお米を与えるメリット|白米に含まれる栄養素
白米には、体に良いさまざまな栄養が含まれています。それぞれの栄養素に期待できる効果を見ていきましょう。
白米(100gあたり) | |
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エネルギー | 156 kcal |
炭水化物 | 37.1 mg |
タンパク質 | 2.5 g |
ビタミンB1 | 0.02 mg |
参照元:文部科学省|食品成分データベース
炭水化物(でんぷん・糖質)|効率の良いエネルギー源
お米にはでんぷん・糖質といった炭水化物が豊富に含まれているため、効率よくカロリーを摂取することができます。シニア期に入り、食が細くなってきた老犬には、充分なエネルギーを確保する目的で与えることもオススメです。
一方で、通常のドッグフードを食べている場合には与える必要はありません。与えすぎは肥満に繋がるため、あくまでも通常の食事の代替として、適切な量をあげることが大切です。
植物性タンパク質|筋肉や皮膚、被毛のもと
タンパク質は筋肉や皮膚、被毛など犬の身体を構成する様々な組織の原材料となる栄養素です。不足すると被毛のツヤがなくなる、体力が落ちるといった症状が見られることがあります。
タンパク質には、植物性タンパク質と動物性タンパク質がありますが、植物性タンパク質を含む食材は脂質が少ないため、ダイエット向きだといわれています。一方で動物性タンパク質は植物性タンパク質よりも多くの必須アミノ酸(犬が体内で生成することのできないアミノ酸)が含まれています。
必須アミノ酸を全て摂取するためには、タンパク質を含む食材を適切な量でバランスよく与えることが大切です。
植物性タンパク質が豊富な他の食材|豆腐
お米から犬が摂取できる植物性タンパク質が豊富な食材として、豆腐があります。豆腐は白米の1/3ほどのカロリーでありながら、豊富なタンパク質を含むヘルシーな食材であるため、肥満が気になっている場合には、白米よりもオススメなタンパク源です。
与える際の注意点や、適切な量については下記の記事をご覧ください。

ビタミンB1|皮膚や粘膜を健康に保つ
チアミンともよばれる水溶性ビタミンであるビタミンB1は、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。また、ビタミンB1はエネルギーの産生にもかかわっているため、不足すると元気がなくなり、夏バテのような症状を引き起こすことがあります。たくさん運動をした後や疲れているように見えるときは、意識して補ってあげると良いでしょう。
ビタミンB1はぬかの部分に多く含まれるため、摂取したい場合にはぬかを取り除いた白米よりも玄米がオススメです。
犬にお米を与えるときの注意点
犬にお米を与える前に、注意点を確認しておきましょう。正しい与え方をしないと、犬が体調を崩してしまう原因にもなります。
適量は普段の食事の10%程度
先述したように、通常のドックフードを食べている場合には、カロリーが充分摂れているため、お米を与える必要はありません。ドッグフードの代わりとして与えたい場合は、普段の食事の10%程度のカロリーに留めると良いでしょう。その分、ドックフードは減らしてください。
- 小型犬(5kg)|20g程度
- 中型犬(15kg)|50g程度
- 大型犬(30kg)|90g程度
- 小型犬(5kg)|50g程度
- 中型犬(15kg)|120g程度
- 大型犬(30kg)|200g程度
お米の加工食品は与えない
お餅やコンビニのおにぎりなど、お米の加工食品は基本的に与えてはいけません。お餅は成分自体は問題ないものの、小さく切ったとしても犬が喉に詰まらせてしまう恐れがあるため、絶対に与えないようにしてください。
また、コンビニのおにぎりには人間向けに味付けをしており、塩分や添加物が含まれているため、犬に与えてはいけません。
念の為アレルギーの発症に注意する
犬はお米のアレルギーを起こすことは少ないとされているものの、絶対にないとは言い切れません。お米に限らず、他の食材でも同様ですが、初めての食べ物を与える際は少量にし、下記のようなアレルギーの症状がでないかしばらく様子を見てください。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚炎(体のかゆみ) など
病気で通院している犬は与える前に獣医に確認する
お米は糖質が多く、比較的カロリーも高いため、病気の治療で食事制限を行っている場合には注意が必要になる可能性もあります。何らかの病気で通院中の場合には、お米を与える前に必ず獣医師に確認するようにしましょう。
お米を使った犬用レシピ
炊いたごはんを与える以外にも、おかゆを作る、米粉を使ったお菓子を作るといったアレンジをすることも可能です。ここでは、犬が食べられる食材だけを用いた、犬用お米レシピを紹介します。
基本のおかゆのレシピ
お米とだし汁を3:7の割合で炊きましょう。犬用に調理する際は、調味料を使用してはいけません。市販のだしの素を使用する際は、塩分などが含まれていないか確認するようにしてください。また、必ず冷ましてからあげるようにしましょう。
食材を加えたい場合には、野菜:肉:米を1:1:1の割合にするとバランスよく栄養を摂取することができます。
卵雑炊
基本のおかゆレシピでお粥を作った最後に、溶き卵を上から回しかけたあと火を止め、蓋をしてしばらくすると卵雑炊の完成です。
卵には動物性タンパク質が豊富に含まれているため、お米の植物性タンパク質とあわせてより多くの種類の必須アミノ酸を摂取することができます。
米粉のレシピ
米粉を使用すると、犬用のお菓子を作ることができます。誕生日やクリスマスなど、特別な日に手作りしてみてはいかがでしょうか。ただし、人間用のお菓子とは異なり、バターなど油は使ってはいけません。また、お菓子のカロリーは1日に必要なカロリーの10%程度に収めるようにしましょう。
米粉クッキー
米粉と卵を混ぜて好きな形に成形し、オーブンで焼くと米粉クッキーができます。米粉は卵1個に対し50g程度、焼き時間は170℃で20分を目安に様子を見ながら焼きましょう。
生地にふかしたかぼちゃやじゃがいもを加えて、アレンジすることもできます。
米粉ケーキ
愛犬の誕生日におすすめなのが、こちらの米粉ケーキ。材料は米粉、卵、犬用ミルク(もしくは成分無調整の豆乳)の3つだけで作ることができます。
まず、卵を卵黄と卵白に分け、卵白でメレンゲを作ります。メレンゲに卵黄と米粉、犬用ミルクもしくは豆乳を加え、混ぜたものをオーブンで焼いて完成です。
水切りヨーグルトをスポンジ上に塗ったり、いちごを飾りつけると、愛犬の誕生日にふさわしい、写真映えするとても豪華なケーキに仕上がります。


犬にお米を与えてアレルギー症状がみられたときの対処方法
可能性はほとんどないものの、犬がお米を食べてアレルギーになってしまうこともありえます。いざという時に適切な対処ができるように、何をすべきか理解しておきましょう。
速やかに動物病院で獣医師に相談
下痢・嘔吐など、アレルギーの症状がみられた場合には、速やかに動物病院に連れて行ってください。
その際、アレルギーが疑われる食材を食べた日時、食べた量をきちんと伝えると、スムーズな治療につながります。初めての食べ物を与えた時は、記録に残しておきましょう。
緊急時には救急対応している動物病院へ
犬が突然痙攣し始めた場合など、緊急で対応が必要な場合には、すぐに救急対応している病院へ連れて行く必要があります。胃の中に残っているものを吐かせたり、胃の中を洗浄する処置が行われます。
夜間・休日には受け入れてくれる病院は少ないため、何か起こる前に探しておくことが大切です。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ
動物病院は自由診療であるため、基本的に治療費は全額自己負担となります。時には思っているよりも高額な治療費がかかるかもしれません。そのようなリスクを軽減してくれるのがペット保険です。
アレルギーなど異変を感じたときにすぐ受診できる
犬にアレルギーの症状が出た場合に、原因を突き止めるための検査費用は高額になりがちです。内容にもよりますが4万円〜7万円ほどかかることもあります。また、アレルギーの治療には長い期間を要することが多く、1回の治療費は少額でも、積み重なることで負担が重くなるかもしれません。
ペット保険に加入していれば、治療費の一部を負担してもらうことができます。金銭的な不安が軽くなるため、より抵抗なく病院に連れて行くことができるでしょう。
人間よりも小さい犬の病気は、急速に進行することがあります。愛犬の命を守るためには、異変を感じた時、すぐに病院に連れて行くことが大切です。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
ペット保険の中には、治療費の補償に加え、獣医師に相談できるサービスが付帯しているプランがあります。
獣医師相談サービスは、愛犬の具合が悪そうな時にも利用できるので、心強い味方になるはずです。また、正しいしつけの方法など、普段の生活で分からないことを専門家に尋ねることができるものもあります。
このようなサービスを受けたい場合は、ペット保険の補償内容だけでなく、付帯サービスの内容も確認してみるといいでしょう。
下記の記事では、他にも犬の保険を比較する際に見るべきポイントを紹介しています。大切な愛犬のために、ぴったりの保険を探しましょう。

まとめ
犬はお米を食べられます。ただし、生米は与えてはいけません。必ず炊いたもの、もしくはおかゆ状にしたものを冷ましてから与えましょう。糖質が多いので、食べすぎによる肥満には注意が必要です。
また、食物アレルギーに関わらず、万一具合が悪くなった場合に備えて、ペット保険の加入も検討してみてはいかがでしょうか。
