入門編

【獣医師監修】犬はじゃがいもを食べられる!与えるときのメリットや注意点とおすすめのレシピを紹介

じゃがいもは犬に安心して与えられる野菜の1つですが、与えるときには注意しておくべき点があります。
そこで、じゃがいもの与え方や注意すべきポイント、与えてはいけない加工食品まで、わかりやすく解説します。
正しい知識を身につけて、ぜひ愛犬の健康維持の参考にしてください。

与えても大丈夫!犬はじゃがいもを食べられる

ご飯を食べる犬
じゃがいもは犬に与えても問題ありません。
栄養価の高いじゃがいもは、犬にとっても消化しやすく、食べさせることで愛犬の健康維持が期待できます

しかし、だからといって与え過ぎたり、間違った与え方をしたりしてしまうと嘔吐や下痢などを引き起こす可能性もあり、犬の健康を損ねかねません。

生はだめ!じゃがいもを与えるときは必ず加熱する

じゃがいもを与えるときの注意点は以下の通りです。

じゃがいもを与えるときの注意点
  • じゃがいもの皮や芽、変色部分を剥ぐ
  • 柔らかくなるまで茹でる
  • 食べやすいサイズにカットする

まずは、じゃがいもの毒性の成分をもつ部分を与えないために、芽や皮、変色部分を取り除きます。そして、与える前にはきちんと加熱をしましょう。じゃがいもに含まれるでんぷんは、犬の消化不良を起こしやすく、生のまま与えることで嘔吐や下痢などを引き起こす危険性があります。

茹で終わったら、犬が食べやすいサイズに切ってから与えますが、犬が高齢の場合や歯に疾患をもっている場合には、すり潰したり細かく切ったりした消化しやすい形で、フードなどと混ぜて与えると良いでしょう。

犬にじゃがいもを与えるメリット|じゃがいもに含まれる栄養素

じゃがいも

じゃがいもは犬にとって消化しやすい食材だといわれていますが、じゃがいもを与えることにはどのようなメリットがあるでしょうか。

ここからは、じゃがいもに含まれる栄養素が与えるメリットについて解説します。

ビタミンC

じゃがいもには、みかんにも匹敵するといわれるほどビタミンCが豊富に含まれています。

ビタミンCに期待できる効果
  • 皮膚の維持(アンチエイジング)
  • 免疫力の向上
  • コラーゲンの生成
  • 抗酸化作用

一般的に、ビタミンCは加熱によって損なわれやすいといわれていますが、じゃがいものビタミンCは比較的熱に強いという特徴があります。これは、でんぷんがビタミンCを守るためで、加熱調理後もビタミンCを効率よく摂取できることは、犬にとっても大きなメリットといえるでしょう。
ただし、長時間水にさらしたり煮込んだりすると、ビタミンCが減ってしまうため短時間で済ませましょう。 

不足すると皮膚や関節トラブルを誘発することも!

犬はブドウ糖などから体内でビタミンCを合成することができますが、高齢になると合成される量が減ってしまうため、食事で補う必要があります。
体内のビタミンCが不足すると、アレルギーや皮膚疾患、骨や関節などの疾患を誘発しやすくなります。また、病気の進行を早めてしまうともいわれており、人間同様に犬にとっても欠かせない栄養素のひとつだといえます。

また、ビタミンCの欠乏が原因とされる病気として代表的なものに「壊血病」が挙げられます。

壊血病とは、体のさまざまな箇所から出血が起こる病気で、ビタミンCが不足する状態が数か月続くと、コラーゲンなどの結合組織の生成がうまくいかず、血管を損傷し出血の原因になります。 
また、皮膚トラブルだけでなく貧血や免疫力の低下なども報告されています。
犬の壊血病の症例は少なくなってはいますが、予防するためにもビタミンCはきちんと摂取させましょう。

カリウム

じゃがいもは、ナトリウムを排出する働きをもつ栄養素である、カリウムが豊富に含まれていることでも知られています。

カリウムに期待できる効果
  • 高血圧を防止する
  • 筋肉の正常な収縮を維持する

特に老犬になると筋肉の収縮がうまくいかないことが多くなるため、健康な体を維持するのにカリウムは欠かせない成分だといえるでしょう。

不足すると低カリウム血症を誘発することも!

体内のカリウムが足りない場合、「低カリウム血症」を発症してしまう恐れがあります。
低カリウム血症が引き起こす疾患には、下記のようなものがあります。

  • 筋力の低下
  • 元気の消失
  • 多尿
  • 高血圧
  • 食欲不振

そのほか、腎臓病や糖尿病、心臓病や高血圧などにも関わってくるため、カリウムは犬にとって重要なミネラルの1つだといえるでしょう。

食物繊維

じゃがいもを与えることで、食物繊維も摂取できます。
食物繊維はエネルギーにはなりませんが、摂取することで糖質やコレステロールの吸収を抑える働きや、整腸を促す効果が期待できます。

犬の腸内環境を整えてくれるため、便秘改善や肥満の犬なら体重の減量効果も期待できるでしょう。

不足すると便秘や下痢を誘発することもある

食物繊維が不足すると便秘や下痢、消化不良などを引き起こす可能性があります。
これらの症状が続くと、食欲の低下や嘔吐などにつながることもあります。じゃがいもの他に、ブロッコリーやさつまいもを使ったおやつもおすすめです。

とくに老犬になると運動量や筋肉量、飲水量が減ることで便秘になりやすいといわれているため、食物繊維不足には注意しましょう。

犬にじゃがいもを与えるときの注意点

顔を隠す犬
犬の健康維持にとってもメリットの多いじゃがいもですが、与え方についてはきちんと確認しておくことが大切です。ここからは、じゃがいもを与えるときの注意点について解説します。

1日の目安量を守る

じゃがいもを与えるときは、「1日の目安量」を守りましょう。
じゃがいもは犬にとって消化しやすい炭水化物である一方で、食べると血糖値が上がりやすいという特徴があります。
そのため、糖尿病の犬だけでなく、健康な犬に与えるときも量については十分に注意しましょう。

5kgの小型犬なら1日あたり20g程度が目安

与えるじゃがいもの適量は体格やライフスタイルによって異なりますが、1日に与えるおやつの量は、必要なカロリーの10〜20%ほどに留めることが推奨されています。じゃがいもの量の目安としては下記の通りです。

与えていい量の1日あたりの目安

体重5kgの場合……約20〜50g
体重10kgの場合……約40〜80g

参照元|犬・猫のエネルギー要求量

ただし、これはあくまで目安で、必ずしも体重と適量が比例するわけではありません。犬の様子を見たり、1日のカロリーを調節したりしながら、少量ずつ与えるよう注意しましょう。

芽の部分は深く取り去り、厚めに皮を向いて与える

じゃがいもを与えるときは、芽の部分を深く取り去り、厚めに皮を剥いてあげましょう。
じゃがいもの芽や葉、茎や皮の部分には「ソラニン」、緑色・未成熟のじゃがいもには「チャコニン」と呼ばれる毒性の強い成分が含まれています。

これらが含まれる部分をそのまま与えると、少量でも下痢や嘔吐、症状が重い場合には痙攣や呼吸困難などを引き起こしてしまう可能性があるため、注意しましょう。

万が一、誤って食べてしまった場合には、早急にかかりつけの動物病院へ受診してください。

初めて与えるときにはアレルギーの発症に注意する

犬にじゃがいもを与えるときには、少量ずつ与えながらアレルギーの発症に注意することも大切です。

嘔吐や下痢、痒がる様子や発疹などの症状がみられた場合には、じゃがいもに対してアレルギーをもっている可能性があります。すぐに与えるのを中止して、動物病院へ連れていきましょう。

病気で通院している犬は与える前に獣医に確認する

通院している犬の場合は、獣医に確認してから与えるようにしましょう。
じゃがいもは栄養素が豊富に含まれている一方で、炭水化物が多いために高血圧や肥満につながる恐れがあります。

特に糖尿病や肥満、心臓疾患などで通院している場合には悪い影響を与えてしまう恐れがあるため、事前に獣医に確認しましょう。

じゃがいもを加工した食品は与えないように注意する

ポテトチップス
人間にとって身近な食材であるじゃがいもは、ポテトチップスやフライドポテトなどさまざまな加工食品が売られています。しかし、私たちが食べて美味しいからといって、犬に与えるのは控えましょう。

人間が食べる加工食品には、犬にとって毒になる成分が含まれているものもあります。
じゃがいもの加工食品について、いくつか紹介します。

ポテトチップス

ポテトチップスは、たとえパッケージに「塩味」と表記されていなくても、その多くが人間の嗜好に合わせて塩で味付けをしています。
そのため、犬が食べてしまうと、過剰な塩分摂取によって塩中毒を引き起こす危険があります。血中のナトリウム濃度が高く続くと、心臓や腎臓に負担がかかり、心疾患などの引き金となりかねません。

また、ポテトチップスによっては犬にとって有害なオニオンパウダーやオニオンエキスが含まれている場合もあります。
愛犬にポテトチップスを与えることは、デメリットしかないと覚えておきましょう。

ポテトサラダ

人間用のお惣菜のポテトサラダの中には、玉ねぎや香辛料など犬にとって悪影響な食材が使われている可能性があります。

とくに玉ねぎには、血液中の赤血球を酸化させて壊してしまう「アリルプロピルジスルファイド」という中毒物質が含まれています。この成分が犬の体内に入ることで、急性の貧血や血尿、嘔吐などを引き起こしてしまうのです。

また、一般的なマヨネーズは約70%が脂質であり、少し与えるだけでも肥満につながる恐れがあります。食べた量によって下痢や嘔吐、アレルギー症状を引き起こす可能性もあるため、ポテトサラダは与えないようにしましょう。

肉じゃが

家庭の味である「肉じゃが」も、犬には与えないようにしましょう。

肉じゃがにも玉ねぎが含まれていることが多いと思いますが、玉ねぎを避けてじゃがいもだけを犬に与えたとしても、肉じゃがを煮込んでいるうちに溶け出した玉ねぎの成分が含まれている可能性が高いため、与えてはいけません。

また、玉ねぎの他にもしょうゆや砂糖などの調味料が使われていることが多く、犬の健康を害してしまう恐れがあるため、肉じゃがを与えることは避けましょう。

犬にじゃがいもを与えるときにおすすめのレシピ

じゃがいもと鍋
じゃがいもは茹でてそのまま与えるのが望ましいですが、トッピングやおやつとして与えるのもおすすめです。
ここでは、簡単にできるじゃがいもレシピを2つ紹介します。

じゃがいもと小麦だけで作る簡単クッキー

じゃがいもと小麦粉だけを使用したシンプルなクッキーは犬に与えるのにもおすすめです。レンジで温めたじゃがいもを潰し、小麦粉と混ぜたものを好きな形に整えて焼くだけで完成します。

じゃがいもとササミの野菜スープ

野菜の消化があまり得意ではない犬にとって負担にならないよう、少量のブロッコリーや野菜とササミをあわせた、じゃがいもスープもおすすめです。ササミの茹で汁にみじん切りした野菜と合わせ入れ、柔らかくなるまで煮込み、細かく切ったササミを入れたら完成します。

スープにすることで匂いも立ちやすく、食欲増進が期待できるだけでなく、栄養分と水分の両方を摂ることができるため、高齢の犬にもおすすめのレシピです。

じゃがいもを食べさせてアレルギー症状がみられたときの対処方法

横たわる犬
犬にじゃがいもを食べさせた際にアレルギーがみられた場合には、早急な対処が求められます。
ここからは、緊急時の対応についてご紹介します。

速やかにかかりつけの動物病院で検査を行う

アレルギーの症状が少しでもみられた場合は、まず速やかにかかりつけの動物病院を受診することが大切です。

アレルギー症状の例
  • 体を痒がる
  • フケや抜け毛
  • 下痢や嘔吐
  • 排便の回数が増える
  • 足の裏や指の間を舐める

なお、アトピー性皮膚炎を持っている犬は食物アレルギーを併発することも多いため、与える食材には細心の注意が必要です。

緊急時には救急対応している動物病院へ

動物の食物アレルギーは、人のように食べたことに起因するアナフィラキシーショックは稀だと言われています。
食物アレルギーは数日遅れて起こる遅発性アレルギーがメインですが、痒みがあまりにもひどい場合は、掻きむしってしまいひどい状態になってしまうことがあります。

かかりつけの動物病院が望ましいものの、夜間や休日の場合には、救急対応している動物病院に連絡をいれましょう。
電話越しに指示をもらい、可能な限り夜間でも動物病院で受診することをおすすめします。

急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ

飼い主に抱かれる犬
アレルギー症状に限らず、犬は急に体調不良を起こすことがあります。
ペットは公的な健康保険制度がないため、動物病院を受診する際の診療費は全額が飼い主の負担になります。症状によっては高額な治療費がかかることもあることから、日頃から備えておくことが大切です。

ペットの治療費負担を抑えることができる手段の1つに、ペット保険が挙げられます。

ここからはペット保険に加入しておくメリットについてご紹介します。

異変を感じたときにすぐ受診できる

ペット保険の補償内容は保険会社によって異なりますが、一般的にはペットの通院や入院、手術費用をカバーするものが多いです。

犬や猫の場合、1日診察が遅れるだけで症状がかなり進行することも少なくありません。ペット保険に加入していれば、異変を感じた際にすぐ動物病院へ連れていけるため、早期発見・早期治療にもつながります。

もしものときに愛犬を守るためにも、万が一の備えとしてペット保険に入っておくと安心です。

緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も

ペットとの暮らしでは、予測できない事故や病気などによって、急な通院や手術が必要となることもあります。特に夜間などの診療になると、時間外診療費や救急管理費がかかり、普段以上に高額になるケースも少なくありません。

こうした事態に対し、保険の適用範囲を休日・夜間にかかる時間外診療まで広めたプランや、獣医師による電話相談サービスを受けられるプランを用意するペット保険もあるため、会社ごとによく比較することをおすすめします。

ペット保険への加入は、診療費用の負担を減らすことに加え、家族の一員である愛犬の治療の選択肢を増やしてあげることにもつながるでしょう。

こちらの記事では、ペット保険を具体的な補償内容などから詳しく比較しています。
あわせてご確認ください。

ペット保険 犬 比較
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獣医師から見た犬とじゃがいもの関係性

平松 育子 先生

ジャガイモは栄養が豊富で手に入りやすい食材です。

私たちの食事として調理している最中に、犬用のトッピングも作りやすく手軽に調理できます。
芽の部分を残さないことや緑色に変色している皮の部分は使ってはいけない点などは私たちがジャガイモを食べるときに気を付けるポイント同様です。

最近では、皮膚の痒みなどを引き起こすアレルギーの原因としてジャガイモが挙げられることが増えました。
アレルギーというと肉や魚が思い浮かびますが、このような植物が原因になることもあります。

初めて与えるときには少量にして様子をよく見ましょう。アレルギーや中毒などを引き起こしてしまった場合は治療費が高額になることが予測されます
保険に加入しておくと万が一の場合も安心です。
発症後は加入が難しくなりますので、元気なうちから保険加入を検討しておくことが大切です。

まとめ

じゃがいもは、栄養が豊富で犬の健康増進にも繋がる食材です。一方で、与え過ぎは健康状態の悪化を招く恐れがあるため、体重や体調を踏まえて量を調節してあげましょう。特に糖尿病などの病気をもつ犬に与える場合は、獣医の指示をよく聞く必要があります。

じゃがいもをうまく取り入れて、愛犬との健康的な暮らしを守っていきましょう。

ABOUT ME
記事監修|平松 育子 先生
山口大学農学部獣医学科(現在 山口大学共同獣医学部)卒業後、山口県内の複数の動物病院に勤務。その後2006年にふくふく動物病院開業。 年間約6000頭の診療に従事。得意分野は皮膚病です。YIC情報ビジネス専門学校ペット総合科の講師も務め、動物看護師の育成にも携わっています。 https://fukufukuvet.com