ただし、皮や種は取り除く必要があるなど、与え方には注意点があります。
本記事では、犬にマンゴーをあげる栄養面のメリットや正しい与え方、食べてはいけないマンゴーの加工食品など、犬にマンゴーをあげる前に知っておきたい知識をご紹介します。
与えても大丈夫!犬はマンゴーを食べられる
基本的に、マンゴーは犬に食べさせても大丈夫な食材です。犬にマンゴーをあげることで、水分補給や腸内環境を整えるといった効果を期待することができます。
ただし、適切な与え方をしないと体調不良を起こしてしまうこともあるので、ポイントを押さえていきましょう。
皮や種を取り除いてから与える
皮は消化しにくく、農薬がついていることもあるため、かならず取り除いてから与えるようにしましょう。
種を与えるのも厳禁です。マンゴーの種は大きく、犬がまるごと飲み込んでしまうと、喉につまらせてしまう可能性があります。
犬にマンゴーを食べさせるときは、皮や種を取り除いた上で、果実も食べやすいサイズに小さくカットしてから与えるようにしましょう。
犬にマンゴーを与えるメリット|マンゴーに含まれる栄養素
マンゴーには、以下のような体に良いさまざまな成分が含まれています。それぞれの栄養素に期待できる効果を見ていきましょう。
マンゴー(100gあたり) | |
---|---|
エネルギー | 68 kcal |
ビタミンC | 20 mg |
βカロテン | 610 μg |
カリウム | 170 mg |
参照元:文部科学省|食品成分データベース
ビタミンC|老化の防止
ビタミンCは、がんや老化の原因にもなる活性酸素を取り除く抗酸化作用によって、若さの維持をサポートしてくれる栄養素です。そのため、シニア犬のケアにも役立つと考えられています。また、コラーゲンの生成にも関わっており、肌を健康に保つ効果もあります。
通常であればビタミンCを過剰摂取したとしても、排出されるので問題ありませんが、腎臓病の場合は注意が必要です。腎臓の機能が低下した状態でビタミンCを過剰摂取すると、排出が上手くいかずに体に異常をきたしてしまう恐れがあります。
腎臓病を患っている場合は、マンゴーを食べても良いか事前に獣医師に確認しておきましょう。
ビタミンCが豊富な他の果物|いちご
ビタミンCが豊富な他の果物として、いちごが挙げられます。マンゴーのビタミンCの含有量が100gあたり20mgなのに対し、いちごは62mgと約3倍も摂取することができます。
マンゴーよりもいちごの方が手に入りやすい場合には、シニア犬にいちごを与えてみるのはいかがでしょうか。
いちごは犬が食べても大丈夫な果物ですが、適量を守ることが重要です。与える前に獣医師等に確認するようにしてください。

βカロテン|肌や粘膜を健康に保つ
βカロテンには体内でビタミンAに変換され、肌や粘膜を健康に保つ働きがあります。ビタミンA自体は過剰摂取すると健康を害してしまうため注意が必要なのですが、βカロテンからは体に必要な量のみがビタミンAに変換されるので安心です。
βカロテンが豊富な他の果物|メロン
メロンはβカロテンが豊富な果物として知られています。特に身が赤いメロンだと100gあたりのβカロテンの含有量は3600μg、マンゴーの約6倍となっています。
メロンも犬が食べられる果物ですが、与え方にはいくつか注意点があるので、下記の記事を確認してみてください。

カリウム|塩分のとりすぎ防止
マンゴーに豊富に含まれているカリウムには、おしっこによるナトリウムの排出を促す作用があり、塩分のとりすぎを調節してくれます。
また、血圧を下げる効果もあります。人間と同様に、犬にとっても高血圧は体に悪いため、カリウムを適切な量摂取することは病気の予防にも役立つでしょう。
ただし、腎臓病を患っている犬の場合、高カリウム血症になってしまう可能性があるので注意が必要です。高カリウム血症は不整脈や心臓病の原因になるといわれています。
腎臓の機能に不安がある場合には、マンゴーを与える前に必ず獣医師に相談しましょう。
カリウムが豊富な他の果物|バナナ
マンゴー以外のカリウムが豊富な果物として、バナナがあります。バナナのカリウムの含有量は360mgであり、マンゴーの約2倍です。
バナナは手に入りやすく、犬も食べれる果物ですが、糖分が多いため与えすぎには注意が必要です。事前に適量を獣医師等に確認しておきましょう。
食物繊維|腸内環境を整える
マンゴーは食物繊維も豊富な果物です。食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ちます。
人間と同じように、ときには犬も便秘になることがあります。便秘になると犬も苦しい思いをしてしまうため、普段の食事から食物繊維を取り入れることで予防をしましょう。
水分|熱中症を予防する
マンゴーは100gのうち82gが水分でできており、水分補給に適した果物です。
夏など暑い日には、犬は舌を出すことで体の熱を外に放出するため、普段よりも早く体内の水分が減っていきます。そんなときにマンゴーを少量を与えることは、熱中症の予防にも役立つでしょう。
犬にマンゴーを与えるときの注意点
犬にマンゴーを与える前には、いくつか知っておくべき注意点があります。
正しいあげ方をしないと、犬が体調を崩してしまう可能性があるので、必ず守ってください。
マンゴーは食べすぎに注意!小型犬の適量の目安は一切れ
マンゴーには糖分が多く含まれており、カロリーも高いため、与えすぎには注意が必要です。食べすぎは肥満に繋がります。目安として、以下の量を参考にしてみてください。
- 小型犬(5kg~10kg)|10g〜30g、マンゴー1切れ程度
- 中型犬(10kg~20kg)|30g〜50g、マンゴー3切れ程度
- 大型犬(20kg~)|50g〜80g、マンゴー5,6切れ程度
なお、カロリーの取りすぎを防ぐという観点からも、犬にマンゴーを与える際は、皮・種を取り除いたうえで実の部分だけを小さくカットするようにしましょう。
初めて与えるときには体調の異変やアレルギー発症に注意する
マンゴーにはウルシオールという成分が含まれているため、人間でも人によっては皮膚がかぶれることがあります。初めて与えるときは小さくカットしたものを少しだけ与え、下記のようなアレルギーの症状がでないかしばらく様子を見てみましょう。また、アレルギー以外にも体調不良を引き起こしてしまう可能性があるため、動物病院を受診できる時間帯に与えると安心です。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚炎
- 体をかゆがる
アレルギーの症状がみられない場合でも、食べ終わったあとは口の周りを拭いて、皮膚を清潔に保つようにしましょう。
腎臓病をはじめ通院している犬は与える前に獣医に確認する
前述したように、マンゴーにはビタミンCやカリウムなど、腎臓病の場合には注意が必要な成分が含まれています。
腎臓病以外に、糖尿病や消化器疾患、結石症などでも、療法食以外のものを与えてはいけなかったり、食物繊維や糖分が悪い影響を与えてしまったりする体質の場合もあります。
そのため、通院中の場合には、マンゴーを与えてもよいかを必ず獣医師に確認するようにしましょう。
マンゴーを加工した食品は与えないように注意する
人間用にマンゴーを加工した食品には、糖分が多く含まれているため、犬に与えてはいけません。犬に与えるのは、加工していないものだけにしておきましょう。
ドライマンゴー
ドライマンゴーは基本的には与えないようにしましょう。砂糖を使用せずに、生のマンゴーをそのまま乾燥させてものに限って、ごく少量であれば与えることができますが、ドライマンゴーの糖分は生のマンゴーよりも濃縮されているため、肥満には充分に気をつける必要があります。
冷凍マンゴー
マンゴーをそのまま凍らせた冷凍マンゴーであれば、犬に与えることができます。夏の暑い日には冷たいマンゴーを喜んで食べてくれるワンちゃんもいるでしょう。
ただし、冷たいものを食べ過ぎるとお腹を壊してしまう恐れがあります。与えるときにはごく少量にする、念の為常温にしばらく置いておくなどの対策をし、下痢には注意しましょう。
マンゴープリン
人間用に市販されているものは糖分が大量に含まれているので、与えてしまうと下痢や肥満などの原因となり、体調不良を引き起こす可能性が高いです。決して犬には与えないようにしてください。
マンゴーヨーグルト
人間用に市販されているものは糖分が多いため、犬に与えることはできませんが、生のマンゴーを無糖のヨーグルトに混ぜたものであれば、少量を犬に与えることはできます。
ヨーグルトは犬が食べても大丈夫な食品ですが、量など注意点もあります。詳しくは下記の記事をご確認ください。

マンゴーを食べさせてアレルギー症状がみられたときの対処方法
可能性は低いものの、犬がマンゴーを食べてアレルギーになってしまうこともありえます。そんなときどうしたらいいのかを知っておくことで、いざというとき適切な対処ができるように準備しておきましょう。
速やかに動物病院で獣医師に相談
下痢・嘔吐など、アレルギーの症状がみられた場合には、速やかに動物病院に連れて行くことが大切です。
その際、マンゴーを食べた日時、食べた量をきちんと伝えると、スムーズな治療につながります。初めての食べ物を与える際は、メモをとっておくと良いでしょう。
緊急時には救急対応している動物病院へ
犬が突然痙攣し始めた場合など、緊急で対応が必要な場合には、すぐに救急対応している病院へ連れて行ってください。必要に応じて、胃の中に残っているものを吐かせたり、胃の中を洗浄する処置を獣医師が行います。
夜間・休日には受け入れてくれる病院は少なくなるため、日頃から緊急時に受け入れてくれる病院を探しておくことが大切です。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ
食物アレルギーに限らず、突然犬の具合が悪くなってしまうことがありますが、動物病院は自由診療となっており、治療費は全額自己負担となります。
ただし、ペット保険に加入していれば、治療費の一部を補償してもらうことができます。
アレルギーなど異変を感じたときにすぐ受診できる
犬にアレルギーの症状が出た場合に、その原因が何であるかを突き止めるための検査費用は、内容にもよりますが4万円〜7万円と非常に高額です。また、アレルギーはすぐに治るものではなく、治療には長い期間を要することが多くなっています。
愛犬には最適な治療を受けさせてあげたいと願うのはもちろんですが、治療費の負担は重くなるのもまた事実です。
そんなとき、ペット保険で治療費の一部を負担してもらうことができれば、金銭的な不安を少なくできるため、積極的に病院に連れて行くことができるでしょう。
異変を感じたとき、すぐに病院に連れて行くことは、病気の早期発見・早期治療に繋がり、結果的に愛犬の命を守ることになります。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
ペット保険の中には、治療費の補償だけでなく、獣医師に相談できるサービスが付帯しているものもあります。
獣医師相談サービスは、病院に行くかどうか迷った時にも適切なアドバイスをしてもらえるので、心強い味方になるでしょう。また、緊急時のみに限らず、しつけの仕方など普段の生活で困ったことがある場合も利用することができます。
ペット保険を比較する際は、補償内容はもちろんですが、付帯サービスの有無も確認してみるといいでしょう。
下記の記事では、他にも犬の保険を比較する際に見るべきポイントを紹介しています。大切な愛犬のために、ぴったりの保険を探しましょう。

獣医師からみた犬とマンゴーの関係性
マンゴーに限らず愛犬も食べられるものであれば、「美味しいものは共有したい」と考える飼い主さんも多いのではないでしょうか。
万が一何かあったときのための対策を取っていても、そこで予想外の体調変化が起こる可能性はあります。
ましてや、それがお出かけ先や夜間であればより不安になるでしょう。
治療費は、保険に加入しておけば、受診できる保険対応の病院にも絞れて対策が取りやすいかもしれません。
近くの動物病院を調べたら、お電話にて保険加入時の受診の対応について予め聞いておくと、窓口での支払い対応外の場合でも必要な書類のやり取りや、場合によってはその際に持参をして必要書類の記載が可能かなど、保険の具体的な利用方法を教えてもらえるかもしれません。
動物病院にもそれぞれのルールがあります。慌てないためにも保険加入や事前の確認はおすすめです。
まとめ
マンゴーは犬が食べても大丈夫な果物ですが、与える際は皮や種を取り除き、小さくカットするようにしましょう。糖分が多いので、食べすぎには注意が必要です。
また、万一具合が悪くなった場合の対策として、普段から夜間や休日でも対応している病院を探しておき、ペット保険の加入も検討してみてはいかがでしょうか。

