さっぱりとした酸味が美味しいキウイは、犬が食べてもいい果物のひとつです。
この記事では、キウイに含まれる栄養素が犬に与えるメリットや、食べさせるときに注意したい点について解説します。
与えても大丈夫!犬はキウイフルーツを食べられる
結論からいうと、犬にキウイを与えても問題ありません。
キウイには多くの栄養素が含まれているため、犬にとってメリットの多い果物といえます。
犬にキウイは、どのように与えれば良いのでしょうか?
加熱せずに生のまま与えていい!アレルギーの発症リスク低減は見込めない
犬にキウイを与える際には、加熱せずに生のまま与えるのがおすすめです。
加熱をすることによって、アレルギー発症の原因となるたんぱく質が減少するため、リスクを減らすことができるといわれていますが、これは正しくありません。
たんぱく質の構造は非常に丈夫であるため、加熱で壊されないこともあります。
また、加熱によってビタミンCなどの栄養素が壊されてしまうため、キウイを与えるメリットがなくなってしまいます。
そのため、犬の栄養補助を目的にキウイを与えるのであれば、加熱せずに与えたほうが良いでしょう。
ちなみに、キウイにはグリーンキウイやゴールデンキウイなどのさまざまな種類がありますが、いずれも犬が食べて問題がないとされています。
犬にキウイを与えるメリット|キウイに含まれる栄養素
テレビCMなどでキウイの栄養素が注目されていますが、具体的にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?
キウイに含まれる栄養素と、犬が摂取することによるメリットについてご紹介します。
消化酵素アクチニジン
キウイには、アクチニジンという消化酵素が含まれています。
アクチニジンには、摂取したたんぱく質を分解し消化を手助けする働きがあります。
消化酵素は胃酸に弱い特徴がありますが、キウイに含まれるアクチニジンは胃酸や腸液に強いという結果が得られていることから、フードと一緒に食べさせても効果が期待できそうです。
最近の研究では、キウイに含まれるアクチニジンは胃酸や腸液に強いという結果が得られています。フードと同時に食べても消化を助ける効果は期待できそうです。
ドッグフードにトッピングをすることで、消化の手助けをしてくれるでしょう。
参照元|駒沢女子大学・駒沢女子短期大学
キウイフルーツによるタンパク質消化促進効果について
アレルギー症状を起こす可能性
アクチニジンは、少量の摂取でも犬によってはアレルギー症状を起こすリスクがあります。
また、天然ゴムであるラテックスとたんぱく質の構造が似ていることから、ラテックスにアレルギー反応がある犬に与えるのは大変危険なため、食べさせてしまうことのないよう注意しましょう。
また、おもちゃのゴムボールなどで遊んだ後に口の周りが赤くなったり、咳き込むなどのアレルギー症状が起こった経験のある犬は、ゴムに対してアレルギーを持っている可能性があります。
天然ゴムであるラテックスとたんぱく質の構造が似ていることから、ラテックスにアレルギー反応がある犬に与えるのは大変危険なため、食べさせてしまうことのないよう注意しましょう。
また、グリーンキウイの方がアクチニジンがたくさん含まれるといわれていますので、特に注意しましょう。
栄養満点のキウイでも、犬にとっては有害となる可能性も考えられることから、犬に初めてキウイを与えるときにはしっかりと対策をする必要があります。
ビタミンC
キウイには、ビタミンCも豊富に含まれています。
ビタミンCは皮膚や被毛の健康の維持や、抗酸化作用に期待できるでしょう。
ちなみに、ゴールデンキウイのほうがグリーンキウイよりもビタミンCの含有量が多いといわれています。
犬は体内でビタミンCを合成できるため積極的な摂取は不要なことも
犬は、ビタミンCを摂取しなくても体内で合成することができます。
そのため、あえてビタミンCを積極的に摂取させる必要はありません。
ビタミンCの過剰摂取は排出される尿に含まれるシュウ酸の量を増やしてしまうため、シュウ酸カルシウム結石を引き起こしてしまうという見方もあります。
基本的には積極的に摂取させることはなく、加齢に伴い体内のビタミンCの合成量が減少してしまってから、少しずつ補ってあげる程度でも良いでしょう。
食物繊維
キウイには、腸内環境を整える食物繊維も含まれています。
そのため、便秘気味の犬にとってメリットの大きい果物だといえるでしょう。
食物繊維は、ゴールデンキウイよりもグリーンキウイのほうが多く含まれています。愛犬の便通に悩んでいるときには、グリーンキウイを与えてみるのも症状改善につながるかもしれません。
食物繊維の過剰摂取はお腹を壊す原因にもなる
便秘予防に効果が期待できる食物繊維ですが、過剰に摂取させることで、消化不良や下痢を引き起こしてしまうことがあります。
特に便秘改善に効果のある不溶性の食物繊維は、摂りすぎると便秘を悪化させてしまうこともあるため、与える量には注意が必要です。
カリウム
キウイに含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを体外に排出してくれる効果が期待できます。またこれによって、血圧を下げ、心臓の働きを正常に保つ役割も担っています。
しかし、カリウムはキウイ以外のさまざまな食材にも含まれているため、カリウムの摂取だけを目的として与える必要はありません。
例えば、バナナやほうれん草は、犬が食べられてカリウムを摂取できるおすすめの食べ物です。

多量のカリウムは腎臓に負担をかけることも
カリウムの過剰摂取は、高カリウム血症を引き起こしてしまう可能性があるため注意しましょう。高カリウム血症は四肢のしびれや、不整脈を招き、最悪の場合は命を落としてしまうこともある重篤な病気です。
特に腎臓に疾患のある犬はカリウムを十分に排出することができないため、過剰に摂取をさせていなくても高カリウム血症を発症してしまうことがあります。
反対にカリウムの摂取量が少ない場合もカリウム欠乏症を発症してしまいますが、カリウムはドッグフードをはじめ、さまざまな食材に含まれているため、深く気にする必要はありません。
体調不良時などに、うまく食事が取れていない場合には気にかけてあげると良いでしょう。
犬にキウイを与えるときの注意点
次に、犬にキウイを与えるときの注意点について解説します。
愛犬が美味しく健康的にキウイが食べられるように、注意点は必ず守りましょう。
適量は体重4kgに対して約20g
犬に与えるキウイの適量の目安は、体重4kgに対して約20gです。これは、だいたい1cm×1cmにカットしたキウイの重さと同じくらいです。
ただし、これはあくまでも適量の目安であり、必ずしも体重に応じて比例していくわけではありません。少量ずつ様子を見ながら与えるようにしましょう。
皮は与えずに果肉をなるべく細かくカットして与える
キウイの皮は消化が良くないだけでなく、農薬など犬にとって有害な物質が残っている可能性があるため、丸ごと与えるのは控え、皮を取り除いて果実のみを与えるようにしましょう。
果実も丸々とした大きいものを犬に与えると、喉や食道に詰まってしまうことが考えられるため、細かくカットして与えることをおすすめします。
また、キウイをすり潰して、果汁をドッグフードに混ぜて与えるのも良いでしょう。
初めて与えるときにはアレルギーの発症に注意する
先述した通り、キウイを食べるとアレルギーを起こすことがあります。
キウイを食べて、口や目のまわりを痒がったり嘔吐や下痢をしたりする犬もいるでしょう。
そのため、犬に初めてキウイを与えるときには、様子を見ながら少量ずつ与えることが大切です。
不安であれば、キウイを絞った果汁を少し犬に舐めさせて、体調の様子を見てみるのも良いでしょう。
腎臓病で通院している犬は与える前に獣医に確認する
先述した通り、腎臓に疾患をもつ犬は、過剰な量でなくともカリウムがうまく排出できずに、高カリウム血症を発症するリスクがあります。
もしも犬にキウイを食べさせたいのであれば、必ず事前に獣医師へ確認しましょう。
栄養素が豊富に含まれているため、キウイを愛犬に与えたいという気持ちはあるかもしれませんが、腎臓への負担から獣医師に止められてしまうことも十分に考えられます。
キウイを加工した食品は与えないように注意する
キウイを加工した食品にはさまざまなものがありますが、基本的に人間用に加工された食品には、犬の体にとって負担の大きいものが含まれていることが多く、どれも与えることはおすすめできません。
ここからはキウイを加工した食品について、犬に与えてはいけない理由を解説します。
ドライフルーツ
キウイのドライフルーツは、キウイの甘味が濃縮されてとても美味しいですが、犬に与えてはいけません。
人間用に加工されたドライフルーツには、砂糖がまぶしてあります。
ドライフルーツにまぶしてある砂糖の量は犬にとってはかなり多く、肥満や糖尿病のリスクが高くなるでしょう。
しかし、犬用に加工されたドライフルーツであれば与えても問題ありません。
犬用のドライフルーツは無添加や無着色であることが多いため、おやつとしてキウイを犬に与えることができるでしょう。
キウイジュース
キウイジュースにも、甘味料や保存料など多くの添加物が含まれているため、犬に与えてはいけません。
しかし、絞りたての果汁100%のキウイジュースであれば問題ないです。
濃縮還元100%のジュースは果汁100%に見えますが、添加物が含まれているため与えないようにしましょう。
キウイアイス、キウイジャム、キウイソース
キウイアイスやキウイジャム、そしてヨーグルトのトッピングであるキウイソースなどの加工食品は、当然ながら犬に与えてはいけません。
これらの加工食品には多くの砂糖や添加物が含まれているため、絶対に与えないようにしましょう。
暑い時期にはクールダウンのために冷たいアイスなどをあげたくなるかもしれませんが、下痢の原因にもなります。
熱中症対策にはアイスではなく、エアコンなどで室温を下げて対処しましょう。
キウイを食べさせてアレルギー症状がみられたときの対処方法
キウイを犬に与えてアレルギー症状が現れた場合には、早急な対処が求められます。
アレルギー反応のリスクが高いキウイを与える前に、しっかりと対処方法についてチェックしておくことが大切です。
速やかにかかりつけの動物病院で検査を行う
犬がキウイを食べてアレルギー症状を起こしてしまった際は、早めに動物病院へ向かいましょう。
重度の症状で意識がなくなってしまったときにはもちろん、下痢や嘔吐などのアレルギーの疑いがあるだけでも獣医師に診せることをおすすめします。
また、動物病院ではキウイをいつどれくらいの量を食べたかを明確に伝え、嘔吐した時間や量も伝えましょう。
緊急時には救急対応している動物病院へ
動物病院の診察時間外で体調に異変が起きた場合には、救急対応している動物病院にすぐに連絡しましょう。
キウイによるアレルギー反応に限らず、犬がいつ怪我や体調不良を起こしてしまうかわかりません。
そのため、いつ愛犬に何かあっても良いように、救急対応している動物病院を調べておくことをおすすめします。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ
愛犬に急な体調不良があっても対処できるように、ペット保険への加入もおすすめです。
ペット保険会社はさまざまありますが、どれも動物病院での治療費を軽減してくれます。
愛犬にいつまでも健康で長生きしてもらうためにも、ペット保険への加入を検討してみると良いでしょう。
最後に、ペット保険加入によるメリットをご紹介します。
異変を感じたときにすぐ受診できる
ペット保険の大きなメリットとしては、犬に異変を感じたときにすぐ受診できる点が挙げられます。
「いつもと少し様子が違うな?」と感じていても、動物病院の受診費用の負担が気になり、気軽に動物病院へ行けない人もいるでしょう。
ペット保険に加入していれば、受診費用を抑えることができるため受診のハードルが下がります。
気軽に動物病院へ行けるようになると、さまざまな病気の早期発見にも繋がるはずです。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
ペット保険会社によっては、24時間体制で問い合わせに対応している会社もあります。
獣医師による電話対応は、愛犬が夜中に突然異変が見られたときにも、気軽に電話相談をすることができるでしょう。
各社によってさまざまな特徴があるため、それぞれを照らし合わせて検討することをおすすめします。

また、以下の記事ではペット保険に加入したほうがいいケースについて獣医師が詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

獣医師からみたキウイと犬の関係
ビタミンやミネラルが多く含まれるキウイは人気のフルーツです。
また、タンパク質の消化酵素でもあるアクチニジンが含まれ、消化を助ける働きもあります。わんちゃんにとって有害となる成分が含まれていないのでキウイの種類を問わず食べることができます。
注意点としては、アレルギーを引き起こす可能性があるのでいきなりたくさんあげないようにしましょう。
アクチニジンは、ゴム製品に含まれる成分に類似した構造をしています。ゴム製のおもちゃのボールで痒みが出たわんちゃんにはあげてはいけません。
また、腎不全を患っている場合や、尿路結石になったことのあるわんちゃんは控えましょう。悪化の恐れがあります。体に良いフルーツですがほどほどにしておきましょう。
万が一体調不良を引き起こした場合は早めに動物病院を受診しましょう。治療費が高額になってしまうこともあります。いざというときに慌てないように保険加入しておくと安心ですよ。
まとめ
みずみずしくさっぱりとした酸味が美味しいキウイは、犬にとってもたくさんのメリットがありますが、アレルギー発症のリスクもあります。
そのため、犬に初めてキウイを与える際は、必ず少量を与えて様子を見るようにしましょう。
もしも犬にアレルギー反応が疑われる症状が見られた場合には、すぐに動物病院へ連れて行くようにしてください。
また、愛犬に何かあったときのためにペット保険への加入もおすすめです。
ペット保険に加入することで、愛犬に異変があった際にも冷静に対処することができるでしょう。

