ヨーグルトなどにトッピングをしても美味しく食べられますが、犬に食べさせても良いものなのでしょうか?
この記事では、はちみつに含まれる栄養素が犬に与えるメリットや、食べさせるときに注意したいポイントについて解説します。
与えても大丈夫!犬ははちみつを食べられる
結論からいうと、犬にはちみつを与えても大丈夫です。
美容や健康に良いといわれるはちみつは、犬の体にとっても多くのメリットがあります。
加熱せずに適量をそのまま与える
犬にはちみつを与える際には、加熱せずにそのまま与えても問題ありません。
はちみつには様々な成分が含まれていますが、最も多いのは糖分でビタミンやミネラルは微量です。
ただし、栄養補給にはちみつをあげたくても、年齢や体調によってはあげないほうが良い場合もあります。
また、与え過ぎは肥満の原因にもなるため注意しましょう。
犬に限らず、人でも注意しなくてはならないのがボツリヌス菌の混入です。
ボツリヌス菌中毒の発症には注意する
犬にはちみつを与える際には、ボツリヌス菌中毒に注意しなければなりません。
ボツリヌス菌とは、はちみつに含まれる細菌のことで、犬に感染すると筋肉や神経系に悪影響を及ぼす可能性があります。
人間の場合、1歳未満の赤ちゃんにはちみつを食べさせてはいけないことは広く知られていますが、これはこのボツリヌス菌が含まれていることが背景にあります。
ボツリヌス菌は土壌細菌で、腸内細菌がしっかりしている大人の場合は大きな問題にならないことがほとんどですが、腸内細菌の少ない乳児の体内に入ると、腸内で増殖して毒素を作ります。
これによって中毒症状が現れ、乳児ボツリヌス症を発症させることがあります。
人間の場合と同様に、腸内環境が整っていない子犬、シニア犬、病気療養中の犬には、蜂蜜を与えないように注意しましょう。
ちなみに、ボツリヌス菌の種の役割をする芽胞は、120℃で4分以上の加熱をしなければ死滅しません。
普通に加熱しただけではそこまで温度が上がらないため、一般的に行うのは難しいといえるでしょう。
咳の症状改善や服薬時に活用できる
はちみつを食べることで、喉を潤す効果が期待できます。
そのため、咳の症状が続いている犬には、はちみつが効くこともあるかもしれません。そのまま舐めさせても良いですが、少量の水と混ぜて与えても良いでしょう。
犬にはちみつを与えるメリット|はちみつに含まれる栄養素
犬にはちみつを与えることには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、はちみつに含まれる栄養素や、犬に与えるメリットについて解説します。
糖質
はちみつには、ブドウ糖や果糖などの糖質が多く含まれています。
糖質は、犬の身体や脳を働かせるために必要となるため、はちみつを与えることはエネルギーの補給になるでしょう。
特に果糖は糖質の中でも消化吸収が早いといわれているため、栄養補給としてもおすすめです。
また、食欲の増進や、疲労回復の効果も期待できるでしょう。
与えすぎると肥満や糖尿病の原因になる
はちみつに含まれる糖類は、砂糖ほどカロリーが高いわけではありません。
しかし、砂糖と同様に、与えすぎると肥満や糖尿病などを引き起こす原因にもなるため、注意しましょう。
カリウム
カリウムは、生命維持に重要な役割を担うナトリウムと共に働くミネラルの一種です。
ナトリウムとセットになって活動をすることで、犬の体内の水分を調整し余分なナトリウムや老廃物の排泄を促す役割があり、血圧を下げることにもつながります。
また、心臓の働きや筋肉の収縮を正常に保つ役割を担っており、運動量の多い犬にとって大切な栄養素といえるでしょう。
不足するとカリウム欠乏症を発症する恐れがある
犬の体内からカリウムが不足すると、カリウム欠乏症になる可能性があります。
カリウム欠乏症を発症すると、首が麻痺したようになり、立てなくなったりきちんと成長ができなくなったりしてしまいます。
カリウムは、ドッグフードにも含まれているため、日常的にドッグフードを食べている犬であれば、カリウム欠乏症の発症リスクは限りなく低いでしょう。
しかし、体調不良で食欲不振になったときなどは、カリウムを摂取する機会が少なくなるため、発症のリスクが高くなります。
ドッグフードにはちみつをトッピングすることで、食欲の増進やエネルギー補給として補うのもおすすめです。
一方で、カリウムを摂取しすぎることも良くありません。
カリウムの過剰摂取は、吐き気や筋肉の衰弱のほか、不整脈を起こし命にかかわる高カリウム血症の発症リスクが高まってしまうため、注意しましょう。
ポリフェノール
はちみつには、ポリフェノールも含まれています。
ポリフェノールには抗酸化作用があるため、犬の認知症予防に期待できるでしょう。
はちみつ以外に抗酸化作用の期待できる食品として、ほうれん草やトマト、リンゴなどが挙げられます。
ちなみに、ポリフェノールといえばブドウを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、犬はブドウを食べると中毒症状を起こしてしまうため、大変危険な食べ物です。
命にかかわる症状が現れることもあるため、絶対に与えてはいけません。

過剰摂取は下痢の原因になる
ポリフェノールの過剰摂取は、下痢の原因になります。
また、はちみつは糖度が高く水分量が少ないため、犬が体内で分解しにくい特徴があります。
犬にはちみつを与える際には、適量を守るようにしましょう。
犬にはちみつを与えるときの注意点
犬にはちみつを与えすぎると、肥満や糖尿病の原因となります。
そのため、はちみつを与えるときの注意点について、きちんと把握をしておくことが大切です。
ここからは、犬にはちみつを食べさせるときに注意したい与え方や、適量について解説します。
適量は犬の体重1kgに対して約1gが適量
犬にはちみつを与える適量は、犬の体重1kgに対して約1gです。
およそ、ティースプーン1杯程度を目安にして与えると良いでしょう。
しかし、体重によって比例し適量が増えていくとは限らず、個体差もあることから、基本的には少なめに与えることを心がけましょう。
ドッグフードやおやつに混ぜて与えるのがおすすめ
犬にはちみつを与える際は、そのまま与えるのではなくドッグフードやおやつに混ぜて与えるのがおすすめです。
また、水に薄めて与えるのも良いでしょう。
水に薄めて与えることで、少量のはちみつでも満足感を得ることができます。
独特の香りがするはちみつをドッグフードに混ぜることで、食欲増進の効果が期待できるでしょう。
初めて与えるときにはアレルギーの発症に注意する
犬に初めてはちみつを与える際には、アレルギーの発症に注意する必要があります。
はちみつを与えたあと、下痢や嘔吐、皮膚の発赤や痒みなどがみられた際には、アレルギー症状を発症している可能性があるため、早急にかかりつけの動物病院を受診してください。
犬がはちみつアレルギーでないかチェックするために、初めて与える際には水で薄めた少量のはちみつを与えてから、しばらく様子を見ることをおすすめします。
病気で通院している犬は与える前に獣医に確認する
持病があって通院をしている犬は、はちみつを与える前に獣医師に確認したほうが良いでしょう。
先述したボツリヌス菌中毒は、体調不良で免疫力や臓器の機能が低下している犬が発症する可能性があります。そのため、持病があるないにかかわらず、体調不良の際には、はちみつを与えるのが望ましくない場合もあります。
また、場合によっては、はちみつを与えることが治療の妨げとなってしまうこともあるため、注意しましょう。
はちみつを加工した食品は与えないように注意する
はちみつの独特の甘みは、さまざまな加工食品に利用されています。
どれも人間にとっては美味しい食べ物ばかりですが、犬に与えてはいけません。
ただし、物によっては犬が食べても良い加工食品もあるため、チェックしておきましょう。
はちみつクッキー・ヨーグルト
人間用に作られたはちみつクッキーやはちみつヨーグルトは、糖類や添加物などが加えられているため絶対に犬に与えてはいけません。
肥満をはじめ、さまざまな形で体調不良を引き起こす可能性があります。
無糖ヨーグルトに少量のはちみつを加えたものであればOK
最近では犬用のおやつにも豊富な種類がありますが、犬用のクッキーやヨーグルトであれば与えても問題がないでしょう。
また、人間用の無糖ヨーグルトに少量のはちみつを加えたものも、犬に与えることができます。もちろん、与えすぎは肥満や下痢の原因になるため、注意が必要です。
ヨーグルトが犬の体にとってどのようなメリットを発揮するかについては、下記記事で詳しく解説しています。

はちみつレモン
はちみつレモンは、少量であれば食べても問題はありません。
しかし、酸味があるため嫌がる犬も多いでしょう。
注意したいのはソラレンという成分です。レモンの可食部には少量しか含まれていませんが、皮には多量のソラレンが含まれています。
皮に含まれるソラレンが皮膚についてしまった場合、日光性皮膚炎を引き起こす可能性があります。
はちみつに数滴のレモン汁を垂らしただけの場合は、おおよそ問題ないと思われますが、犬に必要な食べ物ではありませんので無理にあげなくてもよいでしょう。
メープルシロップ
メープルシロップは、犬に与えても問題がない食品です。
カエデの樹液であるメープルシロップは、はちみつよりもカロリーが若干低く、ミネラルバランスも優れているため、ドッグフードのトッピングとして使う分には効果的な食品だといえます。
また、はちみつと異なり、ボツリヌス菌中毒のリスクがないのも安心できるポイントです。糖類は含まれるため、はちみつ同様に適量を守って与えましょう。
はちみつを食べさせて体調不良がみられたときの対処方法

犬にはちみつを与えてアレルギー症状がみられたという報告は多くありません。
ただ、花粉などが含まれる可能性があるため、アレルギー体質の犬の場合は注意が必要でしょう。
犬にはちみつを与えてアレルギー症状がみられたときには、命にかかわる場合もあるため、早急な対処が求められます。ここからは、与えた食品の影響で体調不良を引き起こしてしまったときの対処法について解説します。
速やかにかかりつけの動物病院で検査を行う
はちみつを与えた犬に、体調不良やアレルギー症状が見られたときには、早急に動物病院へ連れて行く必要があります。
動物病院では、より適切な処置をしてもらうためにも、与えたはちみつの量や、タイミングについてきちんと伝えられるようにしましょう。
また、事前に動物病院へ電話して、犬がはちみつを食べたことで体調不良を起こした旨を伝えておくことで、スムーズに診察を受けることができるでしょう。
緊急時には救急対応している動物病院へ
急な体調不良やアレルギーなどの症状は、夜間や休日などに急に発症してしまうケースも少なくありません。かかりつけの動物病院へすぐに足を運ぶことのできない状況下においては、救急対応をしている動物病院で診てもらう必要があります。
愛犬に万が一のことがあっても対応できるように、日頃から救急対応している動物病院を調べておくことをおすすめします。
また、住所と電話番号のメモを冷蔵庫などの目につきやすい場所に貼っておくことで、愛犬の緊急時にも慌てずに対処できるでしょう。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ
与えた食品がきっかけで発症してしまうアレルギー症状に限らず、愛犬が急に体調を崩してしまった場合、治療費が高額になってしまうこともあります。
特に、夜間救急で診察を受けた場合や、手術が必要になった場合には、日常的な診療費よりも高額になりやすい傾向にあります。
そこで、将来的に発生し得る事態に備える手段のひとつとして、ペット保険への加入を検討してみるのも良いでしょう。
当然ながら、毎月の保険料負担が発生しますが、それ以上にペット保険には多くのメリットがあります。
異変を感じたときにすぐ受診できる
まず、愛犬に異変を感じたとき迷わずすぐ受診できるという点がメリットとして挙げられます。
愛犬に違和感があったとき、症状が軽いようであれば受診費用の負担のことも考えて、様子を見ようと思うこともあるかもしれません。
しかし、ペット保険に加入しておくことで、費用負担を抑えられることから動物病院を受診するハードルが下がり、愛犬の少しの異変でも気軽に動物病院へ連れて行けるようになることで、早期発見・早期治療につなげることができます。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
ペット保険は、通院や入院、手術の補償はもちろん、付帯してさまざまなサービスが提供されています。会社によってその内容は異なりますが、中には獣医師が24時間体制で電話応対してくれる相談ダイヤルを設けている会社もあります。
愛犬の異変があった際に取るべき適切な対応について案内を受けることができるため、いざというときにもサポートを受けながら落ち着いて行動が取れるでしょう。
このように、ペット保険には会社ごとにさまざまな特徴があります。
下記記事では、犬が加入できるペット保険について詳しく比較をしています。あわせてご確認ください。

獣医師からみた犬とはちみつの関係
はちみつは、栄養のある食べ物として以前から使われています。
今回は、犬が食べても問題がないのかということと、栄養面を中心に解説しました。
基本的に犬が食べても問題ありませんが、量や健康状態には注意が必要です。
はちみつには糖質が多く含まれていますので、与えすぎると肥満の原因になります。
ボツリヌス菌が混入している可能性がありますので、人でも1歳未満の赤ちゃんにはあげないようにとの指示がありますが、それは犬の場合も同じです。
子犬やシニア犬、体調不良の場合はあげてはいけません。
犬は甘いものを好む傾向がありますので、与えすぎず、注意事項を守って有効利用しましょう。
万が一体調不良を起こしてしまった場合は、いつ、どの商品を、どのくらいあげたのかを動物病院でしっかり伝えましょう。
検査が必要になったり、予想以上に体調不良がひどい場合は治療費が高額になることがあります。
家族に迎えたら保険加入についても検討し、万が一に備えましょう。
まとめ
犬にはちみつを与えることで、糖類による疲労回復やポリフェノールの抗酸化作用などが期待できるでしょう。
しかし、ボツリヌス菌中毒のリスクがあることから、子犬やシニア犬にはちみつを与えてはいけません。
はちみつを与えたいのであれば、健康的な成犬に限って与えるようにしましょう。
肥満や糖尿病のリスクも懸念されるため、ドッグフードのトッピングなど食欲増進をさせる目的で少量を与えることをおすすめします。
急激な痒みなどの症状がみられた場合には、なるべく早めに動物病院へ連れて行きましょう。ペット保険を活用することで、将来的に発生し得る治療費に備えるのもおすすめです。
