この記事では、健康を損ねない適切な与え方について詳しく解説します。
犬はグレープフルーツを食べられるが与え方には注意も

グレープフルーツは、犬が食べても大丈夫な果物のひとつです。
ビタミンCが豊富に含まれており、手軽に手に入る食材でもあるため、日常的に愛犬とグレープフルーツを楽しんでも良いでしょう。
ただし、グレープフルーツは犬に与えられる果物の中でも注意しなければならない食材で、適切な与え方を守らないと、かえって健康を損ねてしまう可能性もあるため注意が必要です。
皮には有害物質のソラレンが含まれる
グレープフルーツの皮には、有害物質のソラレンが含まれています。
犬に与えてしまうと、下痢や嘔吐、目の充血や皮膚の湿疹などの症状がみられるソラレン中毒を引き起こしてしまう可能性があるため、注意してください。
ちなみにソラレンは、グレープフルーツだけでなくみかん、レモン、オレンジなど柑橘類の皮にも含まれているといわれています。
服薬中の犬に与えるのはNG!治療を妨げてしまうことも
持病があり、動物病院などで処方されている薬を服用している犬の場合、グレープフルーツは与えないようにしましょう。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンという成分は、薬と相性が悪く、分解を遅らせる作用があります。
そのため、薬の効果が強くなったり弱くなったりする可能性があり、治療の妨げとなってしまうため、服薬中の犬にはグレープフルーツを与えないようにしてください。
服薬中の犬がグレープフルーツを食べてしまった際の対応
万が一、服薬中の犬がグレープフルーツを口にしてしまった場合、薬を処方されたかかりつけの病院に相談をしましょう。
また、夜間や休日などでかかりつけの病院が空いていない際やかかりつけ以外の病院に行く場合は、服用している薬がわかるように薬袋やメモを持参することも大切です。薬がわかることで、スムーズに診察を受けることができるでしょう。
与える際は少量にとどめる
グレープフルーツに含まれるソラレン、リモネン、フラノクマリンなどの成分に中毒を起こす可能性があります。また、中毒反応の出る可能性のある量や致死量などがはっきりしていないため、与える際は少量にとどめた方が良いでしょう。
特に、はじめて犬に与えるときは、体調に異変を起こす可能性もあるためごく少量にとどめることが大切です。
犬に与える場合は、グレープフルーツの皮は取り除き、白い筋も取ってグレープフルーツの果肉だけを与えるようにしましょう。
少量であればホワイトもルビーも種類を問わず与えて良い
グレープフルーツには、ホワイトやルビーなど果肉の色が異なる種類があり、市販もされているため一般的ですが、少量であればいずれも与えて問題ありません。
ルビーの果肉が赤いのはβカロチンによるもので、摂取により体内でビタミンAに変わり、皮膚の活性化や抵抗力を高めたり目に良い作用があるとされ、緑内障予防や白内障予防、皮膚トラブルの予防に効果的です。
グレープフルーツの加工食品は犬に与えてはいけない

先述した通り、与え方に気をつけさえすれば食べさせてもいいグレープフルーツですが、加工食品は犬に与えてはいけません。
グレープフルーツを使用した加工食品に関する注意点について解説します。
グレープフルーツジュース
グレープフルーツジュースは、香料や砂糖などの添加物が含まれている可能性があるため、犬に与えてはいけません。
100%のグレープフルーツジュースだとしても、有害物質を含んだ皮ごと絞られている可能性もあるため、市販されているものを与えるのは避け、ジュースとして与えたい場合には自身で絞ったものを与えるようにしましょう。
グレープフルーツジャム
グレープフルーツジャムも犬に与えてはいけない加工品のひとつです。
グレープフルーツジャムには、大量の砂糖が含まれており、愛犬が糖分を過剰摂取すると糖尿病や肥満などの原因となります。
グレープフルーツゼリー
グレープフルーツゼリーも大量のゼラチンと砂糖が使用されているため、犬に与えてはいけません。
グレープフルーツゼリーの果肉のみだとしても、ゼリーには皮の成分が含まれていることがあるため、ソラレンの中毒症状をおこす危険性があります。
グレープフルーツに含まれる栄養素が犬に与えるメリット

グレープフルーツには、たくさんの栄養成分が含まれています。
ここからは、グレープフルーツに含まれる栄養素が犬に与えるメリットについて解説します。
ビタミンC
グレープフルーツには、ビタミンCが豊富に含まれています。犬は、体内でビタミンCを生成できますが、老犬や運動量が多い犬、ストレスを感じているときなどは体内でビタミンCを上手に生成できないことがあります。
ビタミンCの生成能力が衰えつつある場合は、食べ物から摂取すると良いでしょう。
・疲労回復
・皮膚トラブルの防止
・関節疾患の防止
・免疫力向上
・抗ストレス効果
不足するとビタミンC欠乏症になる可能性も
犬の体内で、ビタミンCが不足するとビタミンC欠乏症になることが考えられます。
ビタミンC欠乏症の中でも特に気を付けたい病気が、壊血病(かいけつびょう)です。
発症すると、コラーゲンの合成ができなくなることで皮膚病や貧血、免疫力の低下が起こる可能性があります。
ビタミンC欠乏症にならないためにも、適度に補うことをおすすめします。
ビタミンCが含まれている食材として、グレープフルーツの他にいちご、ブロッコリー、ほうれん草などを与えることができます。



ポリフェノール
グレープフルーツにはポリフェノールも含まれています。ポリフェノールが犬の健康に与えるメリットとしては、抗酸化作用があることや老化防止に役立つ点が挙げられます。
・ビタミンCの代わりとなる
・抗酸化作用
・老化予防
・がん抑制効果
不足すると認知症になる可能性
ポリフェノールは、脳神経の酸化をケアする栄養素でもあるため、不足すると犬の認知症や老化が進むことがあります。
アントシアニンやルチン、イソフラボンなどさまざまな種類がありますが、これらの栄養素を含む食材は、犬に積極的には与えない方が良いとされているものも少なくありません。
そのため、犬用のサプリメントなどを活用して摂取させると良いでしょう。
クエン酸
クエン酸は体内に入ってきた糖分をエネルギーに代えて、カルシウムやミネラルを吸収しやすくする働きをもつ栄養素です。
ビタミンCと同様、犬の体内でも作られている成分ですが、老犬や運動量が多い犬、ストレスを感じている犬などは、上手に生成できないことがあります。
・中枢神経の抑制
・泌尿器系の病気予防
・疲労回復
不足すると腎臓の病気になる可能性
クエン酸が不足すると、尿路結石や腎臓病、股関節疾患になる可能性が高くなります。
主食としてドッグフードを与えている場合は、それで充分補えている可能性もありますが、グレープフルーツの他にみかんなどからも豊富に摂取できます。

グレープフルーツを与えた犬に体調不良がみられたときの対処法

はじめて犬にグレープフルーツを与える場合、アレルギーや体調不良がみられることがあります。
少しでも普段と様子がおかしいと感じたら様子を見るのではなく、すぐに動物病院を受診しましょう。
ここからはグレープフルーツを与えた犬に、体調不良がみられた場合の対処法について解説します。
速やかにかかりつけの動物病院で処置を受けることが大切
犬の食べ物をきっかけにした主な体調不良には、下痢や嘔吐などが挙げられます。
これらに加えて、以下のような症状がみられる際には、アレルギーの症状である可能性もあるため注意しなくてはなりません。
・体を痒がる
・皮膚が赤くなる
・下痢
・嘔吐
・体のふるえ
・落ち着きがない
アレルギー症状が出た場合、多くの犬は体がかゆくなったり、明らかに落ち着きがなくなります。
アレルギーらしき症状が出た際には、すぐにかかりつけの動物病院へ行きましょう。
夜間などの緊急時には救急対応している動物病院へ
夜間や休診日など、かかりつけの動物病院が開いていない時間に体調を崩してしまった際には、すぐに救急動物病院へ連絡し受診することをおすすめします。
普段から愛犬の体に異変があったときに救急動物病院へ連絡できるように、事前に救急病院の連絡先や住所などは調べておくと良いでしょう。
グレープフルーツを食べてすぐは異変がみられなくても、グレープフルーツの成分を吸収して時間が経ってから体調が悪化することもあるため覚えておきましょう。
食べた時間帯や量について落ち着いて伝えられるようまとめておく
グレープフルーツを食べた時間帯、食べた量、皮を食べたかどうかなど、必要な伝えるべき情報を先にまとめておきましょう。
動物病院へ着いた際に、素早く適切な処置を受けるためにも非常に重要です。
室内のアロマの匂いなどで体調を崩す可能性もある
人にとっては良い空間を作り出してくれるアロマにも、グレープフルーツ系の香りが使用されていることは多いです。
犬の嗅覚は人の数十倍にもなるため、香りだけでも体調を崩す可能性があります。
犬にとっては刺激物となるため、強い香りをずっと嗅いでいると嘔吐やストレスから自傷行為である自分の尻尾を追いかけ続ける、手足を舐めたり嚙むような仕草をすることがあります。
部屋でアロマを使用する際には、成分表をよく確認しましょう。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ

動物病院は自由診療で、犬や猫の診察費は病院や治療内容によってさまざまです。
さらに、高度な診療を要する治療は、費用も高額になりやすい傾向にあります。
こうした予期せぬペットの治療費に対して、負担を抑える手段の1つがペット保険です。
ペット保険に加入しておくメリットをご紹介します。
異変を感じたときにすぐ受診できる
ペット保険に加入しておく最大のメリットは、犬の体調に異変を感じたとき、すぐに動物病院を受診できることです。
歳を重ねれば重ねるほど犬や猫の病気やケガのリスクは高まる傾向にあります。
ソファーから飛び降りただけで骨折したなど、予期せぬ事故による治療費も、ペット保険に加入しておくことで負担を軽減できるでしょう。
治療費負担に対する不安が和らげば、動物病院が受診しやすくなり、病気の早期発見や早期治療に繋げられるでしょう。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
食べ物をきっかけに急な体調不良を起こした際などに、獣医師に適切な処置について相談できるサービスを設けているペット保険もあります。
ペットのケガや病気が起こるタイミングに予測はつきません。
予期せぬタイミングで高額な診察費が発生し、愛犬のために診察費を払えないかもしれない…という不安を感じる前に、ペット保険に加入しておくのもおすすめです。
以下の記事では犬が加入できるペット保険を詳しく比較しています。
合わせてご確認ください。

獣医師からみた犬とグレープフルーツの関係
グレープフルーツは水分が多く含まれますが、苦みもあるため、好んで口にする犬は少ないかもしれません。
もし与える場合は、服薬の有無など注意をして与える必要があります。誤食してしまう可能性も高く、その際はおそらく中毒を起こすことのある皮の部分も食べてしまうことが多いでしょう。その際は速やかな受診と処置が必要です。
誤食の場合、緊急性があるので診察をしてもらえる病院を探したときに、かかりつけの動物病院以外になってしまうかもしれません。
その際に食べてしまった量や時間を的確に伝えられるようにしておくこと、そしてもし服用中の薬があるようであれば、伝えられるようにしておくことはスムーズな治療を行うためにとても大切です。
また、かかりつけの先生以外の場合だと、治療費についても不明な点も多く不安なまま受診をすることになるケースも多いです。万が一の備えとして保険に加入していると安心です。
まとめ
グレープフルーツは、犬に与えても問題はありません。
スーパーなどでも手軽に購入することができるグレープフルーツは、ビタミンCやポリフェノールなど、犬の健康を維持するための栄養素が豊富に含まれています。
おやつやフードのトッピングとして与えることもおすすめです。
どんなに体に良い食材だとしても与えすぎは犬の体調を崩す原因にもなるため、気を付ける必要があります。
また、急な体調不良の備えとして、ペット保険への加入もぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

