中毒症状を起こす可能性のあるコーヒーを犬に与えてはいけません。犬や摂取量によっては、重篤な症状を起こし命に関わることもあります。
本記事では、コーヒーを飲ませてはいけない理由や、中毒によってみられる症状などを解説します。また、万が一の備えのひとつになり得る、ペット保険のメリットも紹介します。
犬にコーヒーを飲ませてはいけない!
コーヒーは犬に飲ませてはいけません。コーヒーに含まれるカフェインは、人間にとっては眠気覚ましやリフレッシュに効果をもたらしますが、犬にとっては中毒症状を引き起こしてしまう危険性のある成分です。
日常的に愛飲していれば、自宅で保管している方も多いですが、犬の届くところに置いたり、コーヒー豆のカスを放置してしまったりすることのないように注意をしましょう。
また、カフェインレスコーヒーであっても、犬に与えてはいけません。一般的に、カフェインレスコーヒーはカフェインを90%以上取り除いたコーヒーのことであり、カフェインの量は少ないですが、含まれないわけではないため、犬に飲ませないようにしましょう。
コーヒーを飲んだ愛犬の体調に異変がみられたら要注意
カフェインは「アルカロイド」という有機化合物のひとつで、中枢神経を刺激する効果があります。このカフェインの働きによって、個体差はありますが、早ければ摂取してから1〜2時間程度で中毒症状を起こす可能性があります。
実際に、海外では体重7kgの犬が3gのカフェインを摂取して、2時間後に死亡した例も報告されているといわれています。
カフェインを摂取すると、わずかな時間で命に関わるケースがあるため、万が一コーヒーを飲んでしまった場合は、速やかに動物病院に連絡して受診しましょう。
コーヒーによって起こりやすいカフェイン中毒の症状
カフェイン中毒を起こすと、どういった症状がみられるのかを把握しておくことも大切です。また、致死量や危険な量についても解説します。
カフェイン20mgを摂取したあたりから体調に異変が起こり始める
体重1kgあたり20mg程度のカフェインを摂取すると、中毒の症状が現れるといわれています。具体的には以下のような症状が挙げられます。
- 興奮(落ち着きがなくなる)
- 呼吸が早くなる
- 水をたくさん飲む
- 嘔吐
- 下痢
- 失禁
- 頻脈 など
ただし、中毒症状を起こしてしまう摂取量については個体差があるため、20mgより少ない量であっても注意が必要です。
また、上記のような症状がすでに現れている場合、カフェイン中毒を起こしている可能性が高いことから、速やかに動物病院で診てもらいましょう。
重篤な場合は命に関わることも!致死量は体重1kgあたり約100mgからとされている
個体差はあるものの、体重1kgあたりカフェイン40〜50mg程度で重度の症状がみられ、60mg程度までになると発作を起こすといわれています。
重度の症状として以下のような症状がみられます。
- 痙攣
- 硬直
- 高血圧
- 不整脈
- 呼吸不全 など
これらの症状がみられた場合、命に関わる危険な状態といえます。一刻も早く動物病院に連絡して、受診しましょう。
また、致死量に関しても個体差はありますが、約100mgからといわれています。食品安全委員会によると、コーヒーに含まれるカフェイン量は100mlあたり60mg、インスタントコーヒーでは57mgです。致死量を100mgとした場合、コーヒーでは約167ml、インスタントコーヒーでは約175mlになります。
ただし、カフェイン中毒を起こす量は犬によって異なる上、コーヒーの抽出方法によってカフェイン量も変わるため、中毒量や致死量には至らない少量しか摂取していなかったとしても、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
参照元:食品安全委員会|食品中のカフェイン
速やかに動物病院を受診して適切に処置してもらうことが大切
万が一、犬がコーヒーを飲んでしまった場合、速やかに動物病院で診てもらいましょう。カフェイン中毒は短時間でも症状が現れて、少し様子をみている間に症状が進行してしまう可能性もあります。
動物病院では、どのようなコーヒーをいつ頃、どのくらい摂取したのかを聞かれるため、正確に伝えられるようにしましょう。コーヒーのパッケージなどが残っている際は、持っていくことで治療に役立つこともあります。
すでに症状がみられている場合、どういった症状が、いつ頃から起きているのかも聞かれるため、犬の様子をよく観察しておくことも大切です。
また、獣医など専門家でない人が無理矢理に吐かせようすると、犬にとって負担になってしまうためやめましょう。
コーヒーを飲んだ事による体調不良の治療費はペット保険でカバーできる
犬がコーヒーを飲んでしまい、動物病院に連れていく際に、治療費がどのくらいかかるのか不安に思う方もいると思います。自由診療で動物病院によって治療費にばらつきがあることから、少しの体調異変であれば受診を躊躇してしまうかもしれません。
ペットにかかる治療費への備えにはさまざまな手段がありますが、治療費の一部または全てが補償されるペット保険もそのひとつとして挙げられます。コーヒーの誤飲による体調不良時の治療費も補償されるため、いざという時の負担を抑えられます。
※保険会社や発症のケースによって補償対象外となる場合もあります。詳細は加入中または加入を検討しているペット保険会社へお問い合わせください
高額になることもあるカフェイン中毒の治療費が補償される
コーヒーを飲んでしまいカフェイン中毒になった場合、催吐処置や血液検査、尿検査などさまざま検査や治療が行われます。治療費の例は以下です。
- 初診・・・2,200円
- 催吐処置・・・3,850円
- 血液検査・・・9,350円
- 尿検査・・・2,200円
- 合計・・・17,600円
参照元:ベックジャパン動物病院|代官山動物病院 料金表
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります。
状況によっては、投薬や点滴、胃洗浄なども必要になるケースがあり、その場合、治療は高額になってしまう可能性があります。また、摂取した量や症状によって、入院が必要となった場合、治療費はより高額化するでしょう。
上記の金額であれば、貯蓄で備えることもできるでしょう。しかし、ペット保険は治療費が補償される以外にもメリットがあります。次からはペット保険のメリットについて解説します。
※保険会社や発症のケースによって補償対象外となる場合もあります。詳細は加入中または加入を検討しているペット保険会社へお問い合わせください
受診ハードルを下げるための備えのひとつとしてもおすすめ
ペット保険への加入は、金銭面に不安がある人にとって動物病院の受診ハードルを下げるでしょう。治療費の負担が抑えられることで、動物病院を受診しやすくなると、少しの異変から大きな病気の早期発見、早期治療に繋げられるというメリットもあります。
また、病気の治療費の負担を抑えられれば、さまざまな形で高度化している獣医療において、治療の選択肢を増やすことにも繋がります。
異変を感じたらすぐに獣医師へ相談できる保険もある
ペット保険の中には、愛犬の体調が悪そうな際などに獣医をはじめとした専門家に相談することができる付帯サービスを提供しているものもあります。
例えば、体調が悪そうだが、すぐに動物病院に連れていくべきなのか、もう少し様子をみるべきなのかといったことが相談できます。
愛犬と生活する上で、獣医などの専門家に相談できるのはとても心強く、安心です。
以下の記事では具体的な補償内容などから、ペット保険会社を比較しています。ペット保険への加入を検討する際は参考にしてください。

コーヒー以外でもカフェインが含まれているものは与えない
カフェインが引き起こす中毒症状の危険性は、コーヒー以外の飲み物においても注意が必要です。日常的に飲むものに含まれていることの多い成分でもあるため、どういった飲み物に含まれているのか把握しておきましょう。
体重1kgあたり20mgのカフェインで、中毒が現れ危険とした場合の体重1kgあたりの危険な量は以下になります。
100mlあたりのカフェイン量 | 危険な量 | |
---|---|---|
コーヒー | 60mg | 約33ml |
インスタントコーヒー (顆粒製品) |
57mg | 約35ml |
玉露 | 160mg | 約13ml |
紅茶 | 30mg | 約67ml |
せん茶 | 20mg | 100ml |
ウーロン茶 | 20mg | 100ml |
エナジードリンクまたは 眠気覚まし用飲料 |
32〜300mg | 約7〜63ml |
また、飲みもの以外でもチョコレートなどにもカフェインは含まれています。チョコレートは商品によって異なりますが、100gあたり25〜120mgのカフェインを含みます。テオブロミンも含有されているため、犬に与えてはいけない食べ物です。以下の記事では犬にチョコレートを与えてはいけない理由を解説しています。

参照元:食品安全委員会|食品中のカフェイン
独立行政法人 国民生活センター|高カカオをうたったチョコレート(結果報告)
獣医師からみた犬とコーヒーの関係
中毒症状から死につながる可能性の高いコーヒー中毒は、受診の緊急性が高いです。よりすみやかに吐かせる処置や中毒症状に対する投薬などをする必要があるため、すぐに診てもらえる病院を選ぶことが犬のためにも必要です。
夜間などの場合、救急病院やかかりつけの動物病院以外での受診の可能性も高く、普段とは異なる環境や状況で焦ってしまい、飼い主も不安に感じることも多いでしょう。焦っている時に、慣れない病院で治療費のことを聞くのも難しいかもしれません。
どんなご家庭でも、犬がコーヒーに触れる可能性があり、コーヒーの誤飲をする可能性はあります。コーヒーを触れられない場所に置くなどの対策もとても大切ですが、万が一の備えとして、保険への加入もしておくと緊急で受診をした際に、不安が少し軽減されるかもしれません。
まとめ
犬にコーヒーは飲ませてはいけません。カフェインによって中毒症状を起こし、重篤な場合は命にも関わることがあります。普段から、犬が届く場所にコーヒーを置かないなど注意をしましょう。
また、万が一の備えとして、ペット保険への加入も検討してみましょう。ペット保険に加入しておくことで、治療費の負担を軽減することができます。
