ただし、適量を守って与えないとかえって体調を崩す原因にもなりかねません。
この記事では、ブルーベリーに含まれる栄養素が、犬に与えるメリットや、食べさせる時の注意点について解説します。
ブルーベリーは犬に与えても良いが中毒症状の例もある
ブルーベリーは、基本的には犬に食べさせても問題がない食べ物です。
犬が食べると中毒を起こしてしまうブドウと見た目が少し似ていることもあり、与えても大丈夫か心配になるかもしれませんが、与えても問題がないとされています。
ただし、最近の研究では中毒症状があらわれたとの報告もあるため、無理に与える必要がない果物のひとつでもあります。
ここでは、ブルーベリーの与え方について解説します。
海外で中毒症状の報告も!犬用のサプリで補うのもおすすめ
海外では、最近、犬にブルーベリーを与えると中毒症状を引き起こす可能性があると示した研究があります。
ニュージーランドのマッセー大学獣医学部ニック・ケイブ准教授による研究で、ブルーベリーを食べた後の犬に下痢や嘔吐などの中毒症状がみられ、その症状は1週間ほど続いたそうです。
ブルーベリーが犬の健康に及ぼす影響については、まだ確定されたものではありません。
症例もまだ少なく、ブルーベリーのなにが中毒症状を引き起こしているかもわかっていない状況です。
一般的には与えても良い果物のひとつではありますが、少なからず注意は必要といえるでしょう。
そのため、不安な方はブルーベリーに含まれている栄養素を、犬用のサプリメントで補うのもいいでしょう。
ただし、薬を処方されている場合は飲み合わせも考えなければならないため、かかりつけの獣医に必ず相談してください。
ブルーベリーを与える場合は加熱せず生のままがおすすめ
もし犬にブルーベリーを与える場合は、加熱しないで生のまま与えることをおすすめします。
なぜなら、ブルーベリーに豊富に含まれるポリフェノールや水溶性ビタミンは熱に弱く、加熱すると失われてしまうためです。
また、ブルーベリーは皮に食物繊維が多く含まれているため、皮をむかずにそのまま与えるといいでしょう。
ブルーベリーに含まれる栄養素が犬の体に与えるメリット
ブルーベリーにはビタミンや食物繊維、ミネラル、ポリフェノールなどの栄養素や成分が豊富に含まれています。ここからは、特筆すべき栄養素を3つ取り上げ、その働きについて解説します。
アントシアニン
ブルーベリーには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが多く含まれています。アントシアニンには抗酸化作用があり、細胞の老化や免疫機能の低下を抑えるとともに、血管を拡張したり、血液をサラサラにしたりする働きがあります。
また、ブルーベリーは目の疲れに良いと聞いたことがある人は多いと思いますが、それはアントシアニンが目の網膜にある細胞の再生を促進するためです。
以上のことから、犬にブルーベリーを与えることで、免疫力アップや眼病予防等への効果が期待できます。
アントシアニンは不足によるデメリットもあまり多くありませんが、気になる場合にはブルーベリーでなく犬用のサプリメントでも補えます。
ルテイン
ルテインは、目の黄斑に多く存在する成分です。黄斑には、色彩や形を見分ける重要な機能があります。
ルテインには、紫外線やブルーライトなどを吸収して眼球の組織を保護する働きがあるほか、アントシアニンと同じく抗酸化作用があります。目の老化や眼病リスクを減少させるため、目の健康には欠かせない成分です。
不足すると白内障のリスクが高まる可能性
抗酸化作用のあるルテインが不足すると目が老化し、視力が弱る黄斑変性や、水晶体が白く濁る白内障などにかかるリスクが高まります。
ルテインは体内で生成できない成分で、加齢とともに減少します。そのため、食べ物やサプリメントで補給することが大切です。ルテインはほうれん草やブロッコリー、レタスなどの緑黄色野菜に多く含まれています。ただし、生のほうれん草には尿路結石症の原因となるシュウ酸が多く含まれているため、茹でてから与えましょう。

食物繊維
食物繊維には整腸作用があり、便通を改善したり腸内環境を整えたりします。犬は人間と同様に、栄養バランスの乱れや運動不足、生活環境の変化によって便秘になるため、適切に食物繊維を摂取させることが大切です。
そのほかにも食物繊維には、血糖値を調節したり、血中コレステロールや中性脂肪を低下させたりする働きがあることから、高血圧や肥満など生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。
不足すると便秘や体調不良の原因に
食物繊維が不足すると、便秘などお腹の不調を招きます。
便秘は放置すると、脱水や食欲不振等を起こす可能性があるほか、大腸内で毒素を過剰に吸収してしまうと重症化してしまう恐れもあります。
食物繊維は、サツマイモやキャベツ、小松菜、にんじんなどの野菜や、りんごやいちごなどの果物に多く含まれています。
しかし、犬は食物繊維を大量には消化できないため、与えすぎには注意が必要です。

犬にブルーベリーを与えるときの注意点
これまでブルーベリーに含まれる栄養素の効能について紹介しましたが、ブルーベリーは与え方や量によっては体調不良を招きかねません。
ここでは、犬にブルーベリーを与える際に注意したいポイントについて解説します。
与えすぎは消化不良やドッグフードを食べない原因になる
ブルーベリーの皮には食物繊維が多く含まれています。犬にとって食物繊維は欠かせない栄養素ですが、消化されにくいため、与えすぎることで消化不良や下痢などを引き起こす恐れがあります。
また、犬は味覚の中で一番甘味を強く感じるといわれています。ブルーベリーは甘味があるため、与えすぎると癖になってドッグフードを食べなくなる恐れもあります。
ドッグフードを食べなくなると栄養が偏ってしまうため、ブルーベリーのあげすぎには注意しましょう。
与えるときは生でOK!消化しやすいよう細かくカットする
ブルーベリーは生のまま与えることで、効率よく栄養を摂取できますが、特に小型犬は気管が狭く、そのまま与えるとのどに詰まらせてしまう恐れがあります。
できるだけ小さくカットして、のど詰まりを防ぎましょう。また、消化しやすくなるようにすりつぶして与えるのもおすすめです。
初めて与えるときには体調の異変やアレルギーの発症に注意する
ブルーベリーが犬の体に合わない場合には、体調不良やアレルギーを発症する可能性があります。
食べ物アレルギーを発症すると、個体差はありますが皮膚のかゆみや下痢、嘔吐の症状が出る恐れがあります。
特に以下のような症状がみられた場合には、注意が必要です。
頻繁に体を掻く
皮膚が赤くなっている
排便が多い(または柔らかい)
病気で通院している犬は与える前に獣医に確認する
消化機能が低下している場合や、尿路結石をはじめとした腎臓病を患っている犬は、飼い主の自己判断でブルーベリーを与えずに、必ず事前にかかりつけの獣医に与えても問題ないか確認しましょう。
ブルーベリーは犬が消化しづらい食物繊維が豊富なため、消化機能が落ちている犬に与えると胃腸に負担をかけてしまう恐れがあります。また、ブルーベリーはマグネシウムやマンガン、鉄分などのミネラルも多く含みます。尿路結石や腎臓病などの療法食は、ミネラルを細かく制限する必要があるため、気をつけましょう。
ブルーベリーを加工した食品は与えないように注意する
ブルーベリーには多くの加工品がありますが、いずれも犬にとって有害なため与えないようにしましょう。
ここでは代表的な加工品として、ブルーベリージャム、ブルーベリーヨーグルト、ドライフルーツについて、与えてはいけない理由について解説します。
ブルーベリージャム
ブルーベリーは低カロリーで低糖質な食品です。しかし、ジャムに加工する際に大量の砂糖が必要になるため、ブルーベリージャムは犬にとって砂糖の過剰摂取となってしまいます。
肥満や高血圧を引き起こし、心臓への負担も増えてしまうため、与えないようにしましょう。
加えて市販のジャムには保存料や着色料などの添加物も含まれているため、犬の健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。
ブルーベリーヨーグルト
ブルーベリーヨーグルトもジャムと同様、犬にとって砂糖が多く含まれています。また、犬は牛乳に含まれている乳糖の分解が苦手で、乳糖不耐症による下痢などを起こす可能性もあります。
乳糖はヨーグルトの加工過程で減少しますが、全て無くなるわけではないため、少量の乳糖でも犬によっては過敏に反応してしまう可能性があります。
ドライフルーツ
人間にとってはヘルシーでダイエット中のおやつとしておすすめなドライフルーツですが、犬にとっては糖質や食物繊維の摂りすぎになってしまうため、与えてはいけない加工食品となっています。
糖質の摂りすぎは肥満につながり、食物繊維の摂りすぎは、胃腸に大きな負担をかけて消化不良や下痢、嘔吐などを引き起こします。
ブルーベリーを食べさせて体調不良やアレルギー症状がみられたときの対処方法
犬にブルーベリーを与えた後に下痢や嘔吐、さらに皮膚を痒がるなどの症状が見られた場合には、早急な対処が求められます。
ここからは、万が一のときに慌てないよう、犬に体調不良がみられたときの対処法について解説します。
速やかにかかりつけの動物病院で検査を行う
下痢や嘔吐などの症状が出た場合、しばらく家で様子を見ようと考える飼い主も少なくないでしょう。しかし、食物アレルギーは数日から数ヶ月の間、症状が続く場合があります。
できるだけ早くかかりつけの動物病院に連れていき、診察してもらいましょう。
動物病院では、食べたブルーベリーの量や、時間、体調の様子など詳しい説明ができるよう、メモなどを取っておくことをおすすめします。
緊急時には救急対応している動物病院へ
アレルギー症状は数日経ってからみられるケースも少なくありません。
夜間や休日に犬の体調に異変があった場合には、救急対応をしている動物病院を受診しましょう
尚、いざという時に慌てないためにも、あらかじめ救急対応をしている動物病院を調べておくことをおすすめします。
急な体調不良に備えてペット保険の加入もおすすめ
急にアレルギーを発症した場合にも、慌てることなく病院を受診できるよう、ペット保険へ加入して備えておくのもおすすめです。
最後に、ペット保険に加入しておくメリットについてご紹介します。
異変を感じたときにすぐ受診できる
愛犬を動物病院に連れていき、検査が複数重なった場合は、治療費の負担も心配になるでしょう。
ペット保険に加入しておくことで、治療費の負担を抑えることができます。
動物病院を受診するハードルが下がることから、少しの異変でも気兼ねなく動物病院を受診できるようになり、それによって病気の早期発見・早期治療につなげられる点が大きなメリットとして挙げられます。
緊急時の問い合わせに対応してもらえるペット保険も
飼い主の中には、「愛犬の体調が悪そうだけど、病院に連れて行ったほうが良いのか、家で様子を見るべきなのか分からない…」と悩んだ経験がある方は多いのではないでしょうか。
ペット保険を提供する各社はさまざまなサービスを提供しており、中には、そうした飼い主の緊急時の問い合わせに、獣医師が電話やチャットで対応するサービスを設けているものもあるため、不安が解消できるでしょう。
その他にもペット保険は、補償内容や付帯サービスなど各社でさまざまな商品が提供されています。
自分と愛犬に合ったペット保険が選べるよう、じっくりと比較検討してみると良いでしょう。
下記記事では、補償内容をはじめ、さまざな観点から犬のペット保険について比較しています。

また、獣医師の専門的な知見からペット保険の必要性や、加入をおすすめするケースについて解説している記事も合わせてご確認ください。

獣医師からみた犬とブルーベリーの関係
ブルーベリーは人間の目にも良いとされる成分が含まれていることは有名です。
今まで食べても大丈夫とされてきたブルーベリーですが、新たに中毒症状の出る個体がいるという研究も報告されました。
ご自身の愛犬がどのような体質か、初めて食べる場合どのような反応が出るかもわからないため、心配な点もありますよね。
目にいいとされる成分を多く含む犬用のサプリメントは多く開発されています。
心配な場合は、サプリメントでの摂取にとどめることをおすすめします。
また、どうしても与えてみたいという場合は、中毒を起こす可能性があると言うことを理解した上で数粒程度に抑えること、そして体調の変化を注意深く観察して万が一の時に備えることが大切です。
またそのような場合にも、ペット保険の加入は変化が起こって不安になった際の飼い主さんの心の支えになり得ると思います。
まとめ
今回はブルーベリーを犬に与えるメリットや、与える場合の注意点について解説しました。
ぶどうと比較するとまだまだ症例は少ないものの、海外では中毒症状の報告もあります。
アントシアニンを摂取させたい場合には、犬用のサプリで補うのも良いでしょう。
万が一、食べ物アレルギーを発症する可能性も考えてペット保険に加入しておくのもおすすめです。

