症例編

【獣医師監修】犬が鼻水を垂らす理由は?症状別の対処方法や診療費の備えとなるペット保険について解説!

犬が少し鼻水を垂らしていても、飼い主がすぐに気づくことは難しいかもしれません。しかし、ポタポタ垂れるほど症状が悪化している場合は、病気が潜んでいる可能性もあります。

本記事では、鼻水の原因や病院へ行くかの判断基準などを、急な診療費に対するペット保険での備え方と併せて解説します。

犬が鼻水を垂らしてしまう原因

子犬
犬が鼻水を垂らしてしまう原因には、異物混入や感染症、呼吸器疾患など様々な理由が挙げられます。

必ずしも病気が原因となっているわけではなく、生理的要因で発生する鼻水についてはあまり心配しなくても問題ないでしょう。

まずは、病気に該当しない生理的な現象として、犬が鼻水を垂らす理由をご紹介します。

基本的に犬の鼻は常に濡れている

健康的な犬の鼻は、体温調節をする役割を担っており、基本的にいつも濡れています。そのため、多少鼻水が出たくらいでは飼い主が気がつかない場合も多いです。

しかし、鼻が湿っている状態と多量の鼻水が出ている時とでは、原因が全く異なる可能性が高いため、ポタポタ垂れるほどの鼻水を見逃さないように、日頃から愛犬の様子をしっかりチェックしておきましょう。

散歩中に異物が入る

散歩の直後などは、犬の鼻水の量が増えやすくなります。好奇心旺盛な犬たちは、散歩中に草むらへ顔を突っ込むことも少なくないでしょう。

その際に、吸い込んでしまった草や砂などの異物を排出するために、生理的な現象として鼻水の量が増えることがあります。

もしも愛犬が散歩後に鼻水を垂らしていたら、鼻への異物混入が原因となっている可能性が高いでしょう。吸い込んでしまったものが小さな虫だった場合には、頭を振ってそれを出そうとするかもしれません。

いずれにしても、犬は鼻に異物が入ると何らかの方法で取り除こうとします。

散歩が終わってからしばらくの間、愛犬の身体や動作に先述したような異変がないか気にしておくことで、少しの変化でも気づいてあげやすくなります。

鼻水を飛ばしたいときに「フンッ」とすることも

人間が鼻詰まりの時に鼻をかみたくなるのと同じで、犬も鼻の通りを良くするためにフンッと鼻をならし、鼻水を飛ばすことがあります。

この症状は、主にフレンチブルドッグやボストンテリア、パグ、シーズーなど、鼻の短い犬種によく見られる症状です。

これらの犬種は、もともと鼻のつくりの関係で鼻水が出やすくなっているため、頻繁に鼻を鳴らすといわれています。

すぐに受診したほうが良い鼻水は色からも判断できる

寝ている犬
鼻水を垂らしている犬をすぐに動物病院へ連れて行くべきかどうかは、鼻水の色を見ることでも判断できます。

ここでは、鼻水の色ごとに動物病院を受診するかどうかを判断する方法や、自宅で行える対処法について解説します。

透明の鼻水

サラサラした透明な鼻水は、先述した生理的な要因で発生することが多いです。

時間が経つと症状が落ち着く可能性が高いため、呼吸状態など身体の他に症状がなければ、まずは自宅で様子を見るという判断でも問題ないでしょう。

様子を見ている間、垂れてきた鼻水はティッシュで優しく拭き取るなどして、鼻の周りを清潔に保ちましょう。稀にウイルス感染の前兆として確認されるため、症状が治まるまで油断は禁物です。

黄色や緑色の鼻水

犬の鼻から黄色や緑色で膿性の高い鼻水が出てきたら、体内に細菌が侵入した可能性が高いです。

放置すると、完治までに時間を要する「蓄膿症」になってしまう恐れもあるため、早めに動物病院で治療を受けるようにしてください。

重病に繋がるリスクを抑えるためには、獣医に見せるまでの間もこまめに拭いてあげることが大切です。

茶色の鼻水

茶色い鼻水は、犬の鼻の粘膜が出血した時に出るものです。

風邪などの症状が悪化すると、鼻の粘膜の血管は普段以上に傷つきやすくなるのですが、そのように弱った状態の血管は、激しいくしゃみなどで刺激を受けると簡単に切れてしまいます。

出血してすぐの血液は、通常赤色です。その後、時間の経過と共に黒っぽく変色し、それが鼻水と混ざり合うことで茶色っぽく見えるようになります。

基本的に血はすぐ止まり、鼻水も長くは続きません。回復の兆しがない場合には、より重症な病気にかかっている恐れがあるため、動物病院へ連れて行く必要があります。

出血や膿のような鼻水

犬の鼻の奥に腫瘍ができたり、歯の病気が悪化することで、出血や膿を伴う鼻水が見られることがあります。

鼻血や膿のような鼻水が出ると、最悪の場合は命に関わる重病にかかっている恐れもあるため、早急に獣医の診療を受けるようにしましょう。

犬の鼻水を引き起こす病気

本を読む犬
犬の鼻水は、何らかの病気の症状の一つとして引き起こされる場合もあります。進行すると重症化するリスクがあるため、早めに気づいて対処することが肝心です。

ここで、鼻水を引き起こす主な病気や、具体的な症状をご紹介します。

鼻炎

鼻炎とは、ウイルスやカビ、ホコリ、香水の匂いなどに刺激された鼻の粘膜が、炎症を起こしている状態のことです。鼻水以外にくしゃみが出る場合もあります。

花粉症も同様の症状が見られるため、愛犬のアレルギーを理解するためにも早い段階で獣医の診断を受けて、原因を突き止めておくと安心です。

鼻詰まりで苦しそうな症状には要注意

犬が鼻水を垂らしている時、併発して他の症状が引き起こされることもあります。

もしも、「プスプス」や「ズーズー」、「プシュプシュ」など、鼻詰まりのような呼吸音が聞こえたら、鼻の内部に異常があるかもしれません。

呼吸音の異常が頻繁に起こったり、一回の症状が長くなった場合は、すぐに動物病院を受診するようにしてください。

犬ジステンパーウイルス感染症

犬の鼻水の原因が、「犬ジステンパー」というウイルスへの感染によるものであれば、次第に咳やくしゃみ、嘔吐、下痢などの症状を併発し始めることが多いです。

症状が進行してしまうと、麻痺や痙攣などの神経症状を発症する危険性もあります。

死亡リスクが高く、回復後も後遺症が残る恐れのある病気ではあるものの、ワクチンによって予防することが可能です。

犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)

伝染性の呼吸器疾患の総称で、ウイルスや細菌の感染によって起こります。

膿状の鼻水や乾いた咳など、人の風邪に似た症状が特徴的な疾患です。
人へうつることはありませんが、犬同士は接触によって感染する可能性があります。

治療が遅れてしまっても重篤化するリスクは低いですが、病原体の数が多いため国内ではワクチンを打っても完全に予防することは難しいとされています。
特に子犬は感染リスクが高いため、他の犬との接触を避けるなどして対策するようにしてください。

参照元:Richard W.N., C. Guillermo Couto.(長谷川篤彦、辻 本元監訳)|「Small Animal Internal Medicine. 4th ed. 上巻」

歯周病

歯周病とは、歯垢に含まれる細菌によって引き起こされるもので、食欲不振、口臭、よだれがだらだらと流れるなどの症状がみられることがあります。

酷くなると鼻の内部まで炎症が広がり、鼻水やくしゃみといった鼻炎のような症状が出ることもあります。
鼻水の状態は水状や膿状および出血を伴う鼻水などさまざまです。

歯周病の治療では抜歯や歯石除去が必要になることがあるため、予防のためにも日常的に口腔内の様子を確認しておくことが大切です。

参照元:Richard W.N., C. Guillermo Couto.(長谷川篤彦、辻 本元監訳)|「Small Animal Internal Medicine. 4th ed. 上巻」

がん

犬の鼻腔には、扁平上皮がんと呼ばれる腫瘍が出来ることがあり、その炎症によって膿や出血を伴う鼻水が見られる場合もあります。
がんに罹患しやすいといわれている犬種は以下の通りです。

鼻腔腫瘍のリスクが高い犬種
  • コリー
  • シェットランドシープドッグ
がんのリスクが高い犬種
  • エアデールテリア
  • バセットハウンド
  • ジャーマンシェパード
  • ジャーマンショートヘアードポインター
  • キースホンド
  • オールドイングリッシュシープドッグ

ただし、上記以外の若い犬でも発症するリスクはゼロでないため、日頃から鼻水が出ていたら都度色や見た目を気にしておきましょう。

参照元:NEW LLL PUBLISHER|「犬と猫の癌 内科と外科管理 第2版」

犬の鼻水にかかわる病気の診療費はペット保険が適用できることも!

寝転がる犬
犬の鼻水にかかわる病気は、診療費の一部を「ペット保険」で補償してもらえるものもあります。

具体的に補償対象となる疾患は、ペット保険各社で異なるため注意が必要ですが、飼っている犬種がかかりやすい病気に備えられる保険を選ぶのも良いでしょう。

犬の鼻水は放置すると重症化するリスクもあるため、異常を感じたらまずは動物病院で診てもらうことをおすすめします。

しかし、治療が長期化するなどの理由で、高額な費用がかかってしまうケースも少なくありません。そんな時への備えとして、保険に加入しておくと愛犬も飼い主も安心です。

※保険会社や発症のケースによって補償対象外となる場合もあります。詳細は加入中または加入を検討しているペット保険会社へお問い合わせください

実際の治療にかかった費用の事例

ここでは、具体的に犬の歯周病と犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)を治療する上で、実際にかかった費用の例をご紹介します。

治療にかかる費用は病気によってさまざまですが、中には高額な費用がかかるケースもあるため、備えるための手段を持っておくことが重要です。

歯周病の治療にかかった費用の事例

歯周病の治療にかかる、費用相場は非常に幅広いです。

歯石の除去のみだと半日程度、抜歯まで必要になるほど重症化していた場合にはおよそ1泊の入院が必要になるため、病気の進行度によって費用に大きな違いが生じます。

歯周病の場合
7歳のチワワ(小型犬)

  • 診察・・・800円
  • 半日入院・・・1,500円
  • 検査・・・16,000円
  • 全身麻酔・・・15,000円
  • 歯科処置・・・35,000円
  • 抜歯・・・24,000円
  • 点滴・・・3,000円
  • お薬・・・2,000円
  • 合計・・・97,300円

参照元:アイペット損保|ペット保険の必要性 診療費ケーススタディ
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

日常的に歯磨きを行うことが少ない犬たちは、高確率で歯周病を発症しやすいと言われます。毎日歯磨きをする、歯につきにくいドライフードを与えるなど、普段から口内環境の観察・管理をしっかり行い、愛犬の大切な歯を守りましょう。

犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)の治療にかかった費用の事例

犬伝染性気管気管支炎の治療は、およそ1週間に渡る抗生剤の投与と吸入処置をメインに行われ、その費用は5,000円〜8,000円ほどです。

診療費としては高額ではありませんが、6週〜6か月齢の子犬や免疫力が落ちている犬や、多頭飼いの環境下において、犬同士の感染による発症リスクが高いといわれています。

多頭飼育をしている場合は、多頭割引が適用されるペット保険もあります。飼育環境や備えておきたい病気によって、向いているペット保険が異なるでしょう。

参照元:和歌山動物病院|犬のケンネルコフとは?症状や治療法を解説
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

動物病院を受診するハードルが下がるから早期発見につながる

ペット保険に加入すれば、毎月支払う保険料で診療費の一部が補償されるため、未加入の方に比べて動物病院を受診するハードルが下がります。

全額自己負担だといくらかかるのか不安に感じてしまい、一旦は様子を見てしまう飼い主も気軽に愛犬を通院させやすくなり、結果的に犬の病気の早期発見に繋がることもあるでしょう。

鼻水から後に重い病気に進行してしまう可能性もあるため、1日でも早く原因を突き止めることが大切です。

補償対象外としている病気は各社異なるから比較が重要

ペット保険には、通院にかかる費用を補償するものや入院・手術にかかる費用を補償するもの、また通院・入院・手術が補償対象となるものまで、幅広い商品があります。

また、各社で補償対象外としている病気も異なるため、飼い主と愛犬にとってぴったりな保険選びが重要です。

補償内容を充実させるほど、毎月負担する保険料も高くなる傾向にあります。そのため、飼い主にとって、経済的負担が重くなりすぎない商品に絞った上で、比較を行うのがおすすめです。

以下の記事では、ペット保険各社の具体的な特徴について比較をしています。あわせて御覧ください。

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獣医師からみた犬の鼻水症状

高野 瞳 先生

愛犬の鼻水は、多くの飼い主さんが経験する身近なトラブルのひとつです。
一時的なものであれば様子を見ても問題ないですが、病気によって引き起こされている可能性もあります。

繰り返したり、長期化したり、または症状の悪化が認められるようであれば早めに受診しましょう。
ほとんどの場合は、正常な体の反応である鼻水ですが、原因として大きな病気が潜んでいることもあります。

また、長期の内服治療や手術、そして高額な検査が必要になる可能性もあります。
万が一、高額な治療が必要になった場合にも、安心して治療を受けることができるようにしておきたいですね。
愛犬と健康で素晴らしい日々を送るために、ペット保険の加入も選択肢の1つです。

まとめ

見上げる犬
犬の鼻水は、生理的な要因によって発症しているものであれば、基本的に自宅で様子を見るという対処法で問題ありません。

しかし、色や見た目によっては重大な病気が潜んでいる恐れもあるため、症状が治まるまでは油断せずに経過を観察するようにしてください。

長期間止まる気配がなければ、病気が重症化している可能性があります。すぐに動物病院を受診し、出来るだけ早く進行を抑えるための処置を施してもらうことが大切です。

他にも身体に変化が見られた場合は、症状をしっかり覚えておいて獣医に伝えられるようにしておくと、その後の治療がスムーズになることもあります。

もしも、犬が垂らしていた鼻水が重度の病気が関わるものであった場合、診療費が高額になってしまうケースも考えられます。

愛犬の治療の選択肢を豊富に持たせるための手段のひとつとして、ペット保険への加入を検討してみるのもおすすめです。

ABOUT ME
記事監修|高野 瞳 先生
獣医大学卒業後、地元千葉県の動物病院に勤務。 身近な症例から介護、終末期獣医療まで幅広い診察経験を活かし、数年後には更に高度な獣医療を学ぶため、出身大学動物病院全科研修医として勤務。 希少な症例や高度および最先端な技術を学んだのち、再び小動物臨床の現場に戻り、1.5次動物病院勤務。また、鳥類臨床にも興味を持ち勉強中。 現在は、妊娠・出産を経て育児と仕事の両立を目指している。
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