症例編

【獣医師監修】犬の血便は重症な病気のサインかも!血便をしてしまう原因と正しい対処法を解説

犬の血便は一時的なものから早急に治療が必要になるものまで、多くの原因と対策が必要になります。

そこでこの記事では、犬の血便について原因や病気を紹介し、すぐに病院に連れて行った方が良い症状や、高額になる可能性もある治療費にペット保険で備えるメリットについて解説します。

犬の血便にはさまざまな原因が考えられる

寝てる犬
犬が血便をする原因を突き止めれば、適切な治療が受けられたり、必要な対策を講じることができます。

基本的には獣医師の指示に従った方が良いですが、自宅で出来る予防と対策を知っておけば、血便の予防や再発防止に役立つでしょう。6つの代表的な原因を紹介します。

便秘

まず挙げられるのが、便秘です。便秘になると便が固くなるため、肛門や直腸の粘膜が傷つけられて出血を起こした結果、血混じり便として排泄されます。

犬の便秘は放っておくと血混じり便だけでなく、消化物や便が通れなくなる通過障害により、食欲不振で体力が消耗して体調不良を引き起こすリスクもあるため注意が必要です。

ストレスや運動不足などが原因で腸内環境が悪化して、便秘になる場合があるので、運動をする習慣をつけるようにすると効果的です。

会陰ヘルニアや腸閉塞など別の疾患が原因で便秘になっている場合は、自宅での対応は難しいため、動物病院を受診して獣医師の指示を仰ぎましょう。

異物誤飲

異物の誤飲が血便の原因となるケースもあります。

ヘアピンや爪楊枝など、尖った物を誤飲してしまうと腸内が傷ついて出血してしまったり、玉ねぎや乾燥剤など、食べてはいけないものを誤飲してしまったりすると、中毒症状やアレルギーにより腸内が荒れて出血するため、血便として排出されます。

誤飲は、未然に防ぐことがなによりも有効であるため、犬の目線に誤飲しやすい物を置かないように注意し、なんでも口に入れないようにしつけることが大切です。

もし誤飲をしてしまった場合は、無理に吐き出させようとすると、かえって体調を悪化させてしまう可能性が高いため、自宅で対処しようと考えず速やかに動物病院を受診してください。

食べ物に対するアレルギー

犬も体質によって食べ物にアレルギーを持っていることがあるため、食物アレルギーが原因で血便をしてしまうケースがあります。

血便は、アレルギー症状のひとつとしてみられる場合があります。主に免疫の過剰反応によって、消化器官が炎症することで引き起こされます。

血便とあわせて、皮膚の炎症や体をかゆがる仕草がみられる場合は、食物アレルギーの可能性があります。

アレルギーは実際に症状が出てからでないと発見が難しいケースも多く、原因となるもの(アレルゲン)を特定するためには血液検査などをする必要があります。何か気になる症状がある場合には速やかに動物病院を受診し、早めの検査を受けることをおすすめします。

ストレス

ストレスなどによって自立神経が乱れ、腸内環境が悪くなってしまうと、血便を引き起こす可能性があります。例えば、日常的に長時間の留守番をしている犬はストレスを蓄積してしまう可能性があるといわれています。

散歩をはじめ、運動をさせたり、家の中でおもちゃを使って遊んだりすることでストレスを解消させると、症状が改善する場合があります。ただし、長期間続く場合には別の病気の可能性もあるため、気になる場合には早めに動物病院を受診することをおすすめします。

寄生虫や感染症

寄生虫や感染症などによって体調が悪化しているときにも、症状のひとつとして血便がみられることがあります。特に寄生虫が原因の場合、血便をよく観察すると目視で確認できるケースもあります。

寄生虫や感染症を放置しておくと、消化不良や発育不全を引き起こします。

病院へ連れて行く際は、便を持っていくと詳細な検査ができるためおすすめです。ティッシュなどで包んでしまうと、便の水分が吸収されて正確な検査ができなくなってしまう場合もあるため、密封したポリ袋などに入れて持参すると良いでしょう。

胃腸炎などの病気

消化器官の不調が原因で血便を起こす場合もあります。ただし、胃腸炎などの病気を血便の原因として飼い主が突き止めることはできないため、動物病院での検査が必要になります。

血便の他に元気の消失や嘔吐、ひどい下痢の症状がある場合は、消化器官の病気にかかっている可能性がありますが、自己判断することなく早いタイミングでの受診をおすすめします。

便の状態から犬の体調や血便の原因を考えることもできる

二匹の犬
血便の状態を観察することで、原因が外傷的な要因か消化器官の異常による要因か判断できる場合があります。

血便にもさまざまな状態があるため、排泄された便の見た目や状態から考えられる原因について紹介します。ただし、可能性でしかないため、正確な原因を突き止めるためにも、なるべく早めに動物病院を受診するようにしましょう。

便が黒くなっている

血便が黒い場合は、喉から胃の辺りの消化器官で出血している可能性が高いです。排泄されるまでの距離が遠いため、出血した血液がだんだんと黒く変色するからです。

黒い血液だと便に混ざっていても気付きづらいため、普段に比べて便が黒っぽく感じた際にはよく確認をしましょう。

便を少し崩してみて、中まで黒ければ症状の悪化が考えられます。速やかに動物病院を受診することをおすすめします。

鮮血が混じっている

便に鮮血が混ざっている場合は、便秘が原因の切れ痔をはじめ、直腸から肛門にかけて傷ついた部分があるために出血している可能性が高いです。

急な体調の変化は起きづらいものの、放置しておくと傷口から感染症を引き起こす可能性もあるため、動物病院に連れて行った方が良いでしょう。

便にゼリー状の血液が付着している

ゼリー状の血液が付着している場合は、腸内の粘膜がはがれている可能性が高いです。

原因として、誤飲による固い物での腸内の傷つきや寄生虫に留まらず、腫瘍などの重篤な病気の可能性が考えられ、血便の症状の中でも特に注意が必要です。

速やかに動物病院を受診して詳しい検査や治療を行い、治療を進めていくことをおすすめします。

血便をした犬に考えられる病気

毛布にくるまる犬
血便をした際に考えられる病気には、軽度のものから命にかかわるものまでさまざまなものがありますが、動物病院での検査や治療が必要になるものばかりであるため、症状が出たらすぐに動物病院を受診して、医師の指示を仰ぎましょう。

ここからは、血便をした犬が発症している可能性のある病気を紹介します。あくまでも一例となるため、自己判断をして重症化させてしまうことのないよう注意してください。

犬パルボウイルス感染症

まず挙げられるのが、犬パルボウイルス感染症です。犬パルボウイルス感染症は血便、嘔吐、下痢、発熱などの症状がみられ、免疫力が低下している場合は致死率がとても高く危険な病気です。

名前のとおりウイルスの感染により引き起こされる病気ですが、パルボウイルスに対する効果的な治療法はなく、対症療法や補助療法で犬の免疫を高めることが主な治療方法になります。

犬パルボウイルス感染症は混合ワクチンの接種で予防できる病気のため、定期的な予防接種をおすすめします。

参考元:一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム|犬パルボウイルス感染症

胃腸炎

次に挙げられる病気は胃腸炎です。症状として血便の他に嘔吐や下痢が多くみられます。

胃腸炎には急性的なものと慢性的なものがあり、急性的な胃腸炎の場合は食後から1〜2時間、遅くともその日のうちに症状が現れるのに対して、慢性的な胃腸炎は定期的な症状が見られる場合が多いです。

放置してしまうと脱水症状を引き起こしたり、慢性化する危険があります。原因も様々な要因が考えられ一概にどんな治療が効果的か明言できないため、必ず獣医師の指示を聞きましょう。

参考元:一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム|出血性胃腸炎

腫瘍やポリープ

腫瘍やポリープも、血便が見られた際に考えられる病気です。腫瘍やポリープが腸内にできると、大きく膨らんだのち、自然と割れてしまう「自壊」が起こるため、出血するケースが多いです。

症状として血便、下痢、食欲不振、体重の減少が見られます。

腫瘍やポリープは「がん」の可能性もあることから、症状から自己判断はせず動物病院を受診してください。

腫瘍やポリープの存在は動物病院で検査をしないと発見が難しいため、検査設備がしっかりした大きな動物病院での診察がおすすめです。

参考元:たかた動物病院|炎症性ポリープの悪性転化が疑われる直腸線癌を粘膜プルスルーにより切除した1例

がん

腫瘍やポリープと同様に、便とこすれて出血を引き起こしてしまうものにがんが挙げられます。命にかかわることもある重篤な病気であるため、早期発見・早期治療が大切です。がんの場合、血便の他に下痢、嘔吐、食欲不振がみられます。

小さい動物病院だと適切な治療ができず、大きな病院への紹介状をもらうことになるため、すぐに処置や予約ができるよう設備のしっかりした大きめの動物病院がおすすめです。

また、がんは多くの場合、手術や長期にわたる治療が必要になるケースが多いため、治療費用が高額になりやすいです。

参考元:たかた動物病院|炎症性ポリープの悪性転化が疑われる直腸線癌を粘膜プルスルーにより切除した1例

犬の血便のうちすぐに動物病院を受診したほうがいい症状

見つめる犬
血便の後に出血が止まらなかったり、食欲不振や嘔吐などの他の症状が見られる場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

また、子犬や老犬は免疫力が弱いので、軽度であっても獣医師さんに見てもらった方が安心です。ここからは、血便の症状の中でも、特に受診を急ぐべきものについてご紹介します。

お尻から出血が止まらない

お尻からの出血が止まらない場合は、出血している傷口が大きくなっている可能性があるため、動物病院で診てもらうことをおすすめします。

出血が続くと、体力の消耗や体調の悪化などにつながることがあります。

ペット用のオムツがあると、傷口を舐めるのを防いだり、キャリーバッグなどへの汚れの付着を防ぐことができるので、万が一のために準備しておくと良いでしょう。

子犬や老犬の血便が止まらない

子犬や老犬の血便が止まらないのは大変危険です。子犬や老犬は免疫力が低いので、2次感染や状態が急変するリスクが高いためです。

また、血便による貧血・出血や下痢による脱水症状になってしまうケースもあるため、すぐに動物病院を受診する必要があります。

子犬や老犬は体に負担がかかる治療が体力的に難しい場合が多いため、早期発見・早期治療を心がけましょう。

食欲がなく嘔吐などほかの症状もみられる

食欲がなく嘔吐など他の症状がみられた場合も、速やかな動物病院の受診をおすすめします。血便以外の症状が見られる場合は、寄生虫や感染症、急性胃腸炎など様々な原因が考えられます。

また、食欲がないと体力や免疫力の低下、嘔吐による脱水症状など、合併症を伴う可能性があるため、なるべく早く動物病院へ行きましょう。

犬の血便にかかわる治療費はペット保険で備えられる

ゴールデンレトリバー
犬の血便にかかわる治療費の中には、ペット保険の補償対象となるものがあります。早急に治療が必要になった場合や、高額な治療費などが必要になった際の備えとして活用できるでしょう。

ただし、先述した「犬パルボウイルス感染症」などのように、ワクチンで予防できる病気にワクチン未接種の状態で、かかってしまった場合の治療費は基本的に補償対象外になるため注意してください。

※保険会社や発症のケースによって補償対象外となる場合もあります。詳細は加入中または加入を検討しているペット保険会社へお問い合わせください

血便の原因となる疾患は早急な治療が必要になることも

血便の原因となる疾患は、治療が遅れると病状の悪化を起こす可能性があり、早急な治療が必要になるものも少なくありません。特にがんは早期発見・早期治療が大切です。

例えばがん治療では多額の費用がかかるため、ペット保険に加入していない場合には大きな負担になりかねません。

  • 腹部内腫瘍手術(6日入院治療含む)・・・20万円~

参照元:松波動物病院メディカルセンター|手術料金
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

さらに、治療には時間と複数回の治療・術後の経過観察などが予想されるため、高額な治療費が必要になるケースも珍しくありません。

高額な治療費など急な出費にも備えることができる

一般的に動物の治療費には人間の健康保険のような制度がないため、かかった費用は全額が自己負担となります。また、自由診療であることから、治療費は各動物病院が決められるようになっており、同じ病気や治療でも、病院によって価格が異なる場合があります。

不安を感じやすいペットの治療費への備えとして、ペット保険は有効に活用できるのです。

通院のハードルが下がって病気の早期発見にもつながる

ペット保険に加入しておくと、治療費に対する負担が抑えられるため、犬の体調が少し気になる程度の時であっても、動物病院を受診する心的なハードルが下がり、通院しやすくなることも考えられます。

こまめな通院は、大きな病気の早期発見・早期治療につながるため、ペットの健康を維持するためにとても重要です。治療費負担が抑えられるのを通じて、ペットの病気を発見しやすくなることは、保険に加入するメリットといえるでしょう。

以下の記事では、ペット保険各社の具体的な特徴について比較をしています。あわせて御覧ください。

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獣医師からみた犬と血便の関係

葛野 莉奈 先生

ご自身の愛犬が血便をすると、外見上のインパクトもあって驚く飼い主さんも多いでしょう。

血便の原因は様々です。冷静に対処して、血便の原因を究明することが必要ですが、腫瘍などの怖い病気が潜んでいることもあるため、精密検査が必要になる場合もあります。

また、長期にわたる血便は腸炎であれば栄養吸収不全なども起こり、腫瘍などの場合は、出血量が多ければ貧血になる可能性もあり、体力消耗から命にかかわる危険性もある怖い状態だと考えられます。

様子を見ることなく、速やかに受診しましょう。

治療が長期にわたったり、検査の回数が重なったりすると費用は高額になりますが、ペット保険を活用すれば費用面に対する不安が抑えられる場合もあります。

愛犬が健康なうちに、ご家族で加入を検討していただくのがいいと思います。

まとめ

見つめる犬
血便の原因は便の状態によってある程度予測はできますが、正確な原因を飼い主が突き止めるのは難しいため、動物病院で診察を受け適切に処置してもらうことが必要になります。

入院や手術が必要になった場合、高額な治療費が発生する可能性もあるため、備えの手段のひとつとしてペット保険への加入をおすすめします。

ABOUT ME
記事監修|葛野 莉奈 先生
かどのペットクリニック院長。 麻布大学獣医学部獣医学科を卒業後、神奈川県内動物病院にて勤務、ペットショップ巡回などを経て2015年に開業。 普段の診療では皮膚科や産科、新生児診療に力を入れています。私生活ではミニチュア・ダックスフントたちと生活しています。 http://www.kpc-kirakupe.com/index.html
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