症例編

【獣医師監修】猫のくしゃみが止まらない!症状の原因や動物病院を受診するべきタイミングについて解説

猫のくしゃみにはさまざま原因があり、特に元気消失や発熱、鼻血などの症状を伴う場合は動物病院の早期受診が求められます。

本記事では、くしゃみの原因や受診すべきタイミング、万が一の高額な診療費に備えるペット保険について解説します。

猫がくしゃみをしてしまう原因

猫2匹
猫がくしゃみをしてしまう原因には、アレルギーやウイルス感染、室温などさまざまな原因が挙げられます。くしゃみの頻度が高い、他の症状などもみられる場合は、何らかの病気が疑われるため注意しましょう。

まずは、猫がくしゃみをしてしまう主な原因について解説します。

異物が入ったときの生理現象

原因としてまず挙げられるのが、鼻の粘膜への刺激によって反射的にくしゃみをするケースです。猫も人間と同じく、鼻から吸い込んだ小さな草やほこり、チリなどの異物を排出するために、くしゃみが出ます。

単発的なくしゃみについては基本的に心配ありませんが、くしゃみの頻度や回数によっては注意が必要です。

アレルギー性鼻炎

ほこりや花粉、ダニなどのアレルギーを引き起こす物質を鼻腔付近で吸い込んだ場合、鼻炎の症状が出ることがあります。

猫のアレルギーは、皮膚炎や腸炎などの発症が一般的です。
人間ほど鼻炎がアレルギーと直結するケースは少ないですが、鼻腔から花粉などのアレルゲンを吸い込んだ場合、鼻腔内の粘膜が炎症を起こす可能性はあります。

ウイルスや細菌への感染

ウイルスや細菌に感染することも、猫がくしゃみをする原因の1つです。一般的に免疫力の低下時に発症しやすいため、猫エイズウイルス感染症など他の病気を患っている場合は、併発による重症化に対してより一層注意しましょう。

ウイルスや細菌の種類によっては、猫のくしゃみから人間が感染する可能性があります。他の猫に移してしまうリスクもあるため、症状がみられる場合は速やかにかかりつけの動物病院を受診しましょう。

参照元:厚生労働省|動物由来感染症を知っていますか?

室温が低い

室温が低いときも、くしゃみをすることがあります。特に夏場はクーラーをかけることが多いため、外気温と室温との差に体が対応できず、体力の消耗や猫風邪の悪化が起こりやすくなります。

その結果、鼻の粘膜が敏感になってくしゃみや鼻水が出るのです。

特に子猫や高齢猫は体温調節が難しく、気温の変化に影響を受けやすい傾向があります。愛猫にあわせて適度な温度や湿度を調整してあげましょう

くしゃみをしている猫に疑われる病気

タオルにくるまった猫
猫のくしゃみは、何らかの病気のサインかもしれません。放置すると症状の悪化に繋がりかねないため、異変を感じる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

ここからは、くしゃみをしている猫に疑われる主な病気について解説します。

猫風邪

まず疑われる病気として、猫風邪があります。
猫風邪とは、複数のウイルス感染症によって引き起こされる病気で、一般的には以下のような病原菌の関与が多くみられます。

  • 猫カリシウイルス
  • クラミジア
  • 猫ヘルペスウイルス

免疫力の弱い子猫や高齢猫が発症すると、重症化しやすい傾向があります。そのため、ただの風邪と油断せずに、何らかの症状がみられる場合は早期に獣医師に相談しましょう。猫風邪は感染力が強いため、特に多頭飼いの環境ではワクチンの接種をおすすめします。

猫カリシウイルス感染症

主に口や鼻、目の粘膜などでカリシウイルスが増殖する病気を、猫カリシウイルス感染症といいます。発症している場合、以下のような症状がみられます。

猫カリシウイルス感染症の主な症状
  • くしゃみ
  • 発熱
  • 歯肉炎
  • 口内炎
  • 口腔内潰瘍

一般的な呼吸器症状に加えて、口腔内にも症状があらわれやすいのが特徴です。他にも関節炎や肺炎の症状がみられる場合もあります。

猫クラミジア感染症

猫クラミジア感染症は、猫クラミジアという細菌に感染することで発症します。発症している場合、以下のような症状がみられます。

猫クラミジア感染症の主な症状
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 目やに
  • 結膜炎
  • 瞼の痙攣

通常は目の炎症が多いものの、呼吸器系の症状が悪化すると肺炎になるケースがあります。猫クラミジアは特に生後1年未満の子猫がかかりやすい上、重症化しやすい傾向があるため注意しましょう。

参照元:猫感染症研究会|猫クラミジア感染症

猫ウイルス性鼻気管炎

口や鼻、目などから猫ヘルペスウイルスが感染して発症する病気を、猫ウイルス性鼻気管炎といいます。発症している場合、以下のような症状がみられます。

猫ウイルス性鼻気管炎の主な症状
  • くしゃみ
  • 発熱
  • 鼻水
  • 食欲の低下
  • 目やに
  • 結膜炎

くしゃみや鼻水など風邪のような症状に加えて、目にも症状があらわれやすいのが特徴です。場合によっては鼻炎や結膜炎が完治せず、生涯目やにやくしゃみ、鼻水に悩まされるケースも少なくありません。

【獣医師監修】猫風邪の症状や特徴は?感染した場合の診療費事例と様子を見続けるリスクを解説猫風邪は、鼻水や目やになどの症状がみられる上部気道疾患の総称です。子猫や高齢猫では急に衰弱することもあるため、速やかな動物病院の受診が必要となります。ここでは、猫風邪の症状から感染時の診療費や様子見のリスク、万が一の診療費の備えとなるペット保険まで解説します。...

クリプトコッカス症

クリプトコッカス症を患った場合も、くしゃみの症状があらわれます。クリプトコッカス症とは、真菌の一種であるクリプトコッカスの吸引が原因とされる感染症で、発症している場合は以下のような症状がみられます。

クリプトコッカス症の主な症状
  • くしゃみ
  • 鼻炎
  • 鼻の変形
  • 目やに

感染が進行すると、皮膚障害や運動障害が引き起こされます。脳にまで感染が広がった場合は、体の麻痺などの神経症状も引き起こしかねません。クリプトコッカス症は、特に猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス感染症などによって免疫機能が低下している場合に感染しやすいとされているため注意しましょう。

体が動かせない、麻痺しているなどの様子がみられる場合は、一刻も早く動物病院を受診してください。

参照元:一般社団法人・日本臨床獣医学フォーラム|クリプトコッカス

副鼻腔炎

副鼻腔炎も、くしゃみを伴うことが多い病気の1つです。副鼻腔炎とは猫の鼻の奥にある副鼻腔で炎症が起きている状態をいい、発症している場合は以下のような症状がみられます。

副鼻腔炎の主な症状
  • くしゃみ
  • 鼻詰まり
  • 鼻水
  • 鼻血
  • 食欲低下

副鼻腔炎が長引いた場合、膿が溜まって蓄膿症を引き起こしかねません。鼻炎から併発することが多いため、鼻水や鼻詰まりなどの症状がみられる場合は、すぐに獣医師に相談することをおすすめします。

腫瘍

鼻にできた腫瘍によって、猫がくしゃみをすることもあります。
鼻腔内腫瘍は高齢猫に多く、また、悪性のものも多いため注意が必要です。腫瘍ができている場合、以下のような症状がみられます。

鼻腔内腫瘍の主な症状
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻詰まり
  • 鼻血

主な症状はくしゃみや鼻血などですが、進行するにつれて顔や鼻が変形していきます。早期発見が重要になるため、様子がおかしいと感じる場合は、早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。

歯周病

歯周病も、くしゃみを起こす原因の1つです。歯周病は、付着した歯石や歯垢中の細菌が原因で引き起こされる病気で、場合によっては歯肉や歯の根元の骨にまで影響を及ぼすことがあります。一般的に、3歳までに猫の70%は歯周病を発症するといわれており、気づいたときには症状が進行しているというケースも少なくありません。

歯周病を発症している場合、以下のような症状がみられます。

歯周病の主な症状
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 歯肉の腫れ
  • 口臭
  • 食欲不振

悪化すると骨が溶けて鼻と繋がる管ができるため、膿を伴うくしゃみや強い口臭、よだれなどがみられる場合もあります。口臭がきつい、歯が黄色く変色する、食欲が低下しているなどの様子がみられる場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。

参照元:eMedia Unit RVC|Veterinary Periodontal Disease

猫のくしゃみのうち早めに動物病院を受診したほうが良い症状

仰向けの猫
猫のくしゃみのうち、以下のような症状がみられる場合は要注意です。くしゃみの原因にかかわらず、1つでも当てはまる場合は速やかに動物病院を受診しましょう。

連続したくしゃみが止まらない

連続してくしゃみが出る場合、花粉症やウイルス・細菌の感染症、アレルギー性鼻炎などさまざまな病気が考えられます。ただの生理現象と捉えて放置すれば、症状が悪化しかねません。ぐったりしているなどの様子がみられる場合は、速やかに獣医師に相談してください。

くしゃみの症状が何日も続いている

くしゃみの症状が何日も続いている場合は、ウイルス・細菌の感染症、アレルギー性鼻炎アレルギーや歯周病などの可能性があります。この場合、鼻水など他に症状の有無についても確認しておきましょう。

様子見するうちに症状が進行してしまう恐れがあるため、できるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。

元気の消失や食欲不振

元気の消失や食欲不振などの症状がみられる場合、猫風邪などが疑われます。また、鼻詰まりからご飯の匂いがわからなくなったことで、食欲が低下している可能性もあります。

特に猫風邪の場合、元気の消失や食欲不振に加えて、結膜炎や発熱などを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。他の猫への感染を防ぐためにも、元気の消失や食欲不振などの症状がみられる場合は、早めに獣医師に相談してください。

発熱

猫に発熱の症状がみられる場合も、猫風邪にかかっている可能性が考えられます。猫風邪で体が弱ると、細菌などによる二次感染や、肺炎や気管支炎などを引き起こしかねません。

早期治療で回復が早まることがあるため、愛猫の様子に少しでも異変を感じる場合は、すぐにかかりつけの獣医師に相談してください。

ネバネバした黄緑色の鼻水が出ている

くしゃみの他にネバネバした黄緑色の鼻水が出ている場合、ウイルスや細菌感染、歯周病や慢性副鼻腔炎などが疑われます。黄緑色の鼻水に加えて、猫が口を開けて呼吸している場合は、鼻詰まりによる呼吸困難を起こしている可能性も考えられます。放置すれば悪化する一方であるため、速やかに動物病院を受診しましょう。

鼻血

くしゃみと共に鼻血が出た場合も、注意が必要です。猫が鼻血を出すことはそれほど多くありません。そのため、くしゃみと共に鼻血が出た場合は鼻炎の悪化や歯周病、腫瘍などを患っている可能性が考えられます。

場合によっては、腫瘍による顔の変形や歯周病による顎の骨の骨折などに進行しかねません。愛猫の異変に気づいた場合は、速やかに動物病院を受診してください。

猫のくしゃみにかかわる病気の診療費にはペット保険が適用される

寝ている猫
猫のくしゃみが止まらない場合、症状や治療期間によっては診療費が高額となる傾向があります。猫のくしゃみにかかわる病気の診療費はペット保険が適用される場合があるため、万が一の備えとして、ペット保険への加入を検討してみても良いかもしれません。

くしゃみをする猫の検査にかかる費用や診療費用の事例

くしゃみをする猫にかかる費用は、その検査や病気の進行度によって異なります。例えば、猫カリシウイルス感染症の疑いで受診した場合、一般的に以下のような診療費が想定されます。

猫カリシウイルスの疑いで来院した場合

  • 初診料……約1,000円
  • 血液検査……約4,000円
  • FIV|FeLV検査……約4,000円

合計金額:約9,000円(薬代など除く)

参照元:日本獣医師会|家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

症状が重く、入院となった場合はさらに診療費が高額化するでしょう。また、抜歯が必要なほど歯周病が進んでいる場合、以下のような費用が想定されます。

歯周病で来院した場合(抜歯を含む)

  • 歯石除去と抜歯
  • 抗生剤の注射

合計金額:38,500円~60,500円

参照元:銀座ペットクリニック|診察・手術料金表
※上記の診療費等はあくまで一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません
※各診療項目の金額は、動物病院によって異なります

愛猫の歯周病の程度によりますが、抜歯の本数が多いほど追加料金が加算されて高額になる傾向があります。

体調が気になったときに通院しやすくなるメリットも

体調が気になったときに通院しやすいことも、ペット保険に加入するメリットとして挙げられます。猫のくしゃみにはさまざまな原因があり、特に子猫の場合は体力がない上に体が小さいため、脱水症状に陥る、肺炎に進行する、など急激に悪化しかねません。そのため、いつもと様子がおかしいと感じる場合は、楽観せず、まずはかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

人間同様、猫も早期発見と早期治療が健康を左右するため、少しの異変で受診することは愛猫の長生きに繋がるでしょう。

保険会社の補償内容によっては適用されない場合もあるため比較が重要

ペット保険の加入を検討する際には、各保険会社の補償内容について比較することが重要です。保険会社によっては、猫のくしゃみにかかわる病気を補償の対象外としている場合があるからです。

例えば、猫カリシウイルス感染症など、ワクチン接種などによって予防ができる病気の診療費について、多くのペット保険では補償の対象から外しています*。その他の病気でも、発症後は一般的に加入ハードルが高くなりやすいため注意しましょう。

猫のくしゃみにかかわる病気の治療に備えて、ペット保険の加入先を検討している場合は、愛猫が元気で健康なうちに各保険会社の補償対象の項目などを比較しておきましょう。

*ワクチンを接種していて、その有効期間内に猫風邪を発症した場合や、猫の健康状態や体質などから、獣医師の判断によってワクチンが受けられなかった場合などには、診療費が補償される場合もあります。

猫のくしゃみを予防するために自宅でできる対処法

椅子の足の横にいる猫
最後に、自宅でできる猫のくしゃみへの対処法について紹介します。なるべく猫がくしゃみをしないようにするためには、日頃から猫が過ごしやすい環境を整えてあげることが大切です。

料理中に近づかないよう対策をする

猫のくしゃみを予防する対処法として、料理中に近づかせないようにすることが大切です。例えば、人間にとっては食欲がそそられるスパイスも、嗅覚が優れている猫にとってはくしゃみの原因になります。一時的に終わるものではありますが、念の為胡椒や唐辛子などの調味料の扱いには注意をしましょう。

  • パーテーションなどを活用する
  • 料理中は猫をケージに入れる
  • 匂いがきつい洗剤の使用を控える
  • ロック付きのゴミ箱を使う

猫が連日くしゃみをするなど、生理現象以外のケースが疑われる場合、速やかに獣医師に相談して原因を調べることをおすすめします。

ホコリや花粉がたまらないようこまめに掃除をする

くしゃみの予防には、アレルギーに繋がるダニやホコリ、花粉などを猫に吸い込ませないことも大切です。こまめな掃除で猫の飼育環境を清潔に保つことは、猫の免疫力を上げることにも繋がります。特にアレルギー性鼻炎が疑われる場合は、強い香りの芳香剤や柔軟剤、アロマオイルなどの使用を控えるようにしましょう。

また、空気が乾燥しやすい冬では、ウイルスの繁殖を抑えるため、部屋の湿度を適度に保つこともおすすめです。

参照元:公益社団法人・日本獣医学会|Q:アロマオイルは犬猫に有害ですか?

獣医師よりコメント

葛野 莉奈 先生

くしゃみは人間でも、生理的な反応としても生じることのある症状です。
病的で慢性的なものになると、眠れないなど体力の消耗につながり、体に大きな負担を与えます。

また感染症などの場合も、日和見感染をして、体力が消耗するたびに発症する場合も多く、治療が長引く場合もあります。
鼻腔内の腫瘍や歯周病の場合も、場合によってはCTやMRIの撮影などが必要な可能性もあり、たかがくしゃみの治療と言えど、費用が高額になることもあります。

疑わしい症状は早期治療ができるよう早めに受診をすることと、万が一の時のために、診療費の負担を少しでも軽減できるよう健康なうちから保険への加入の検討をすることがおすすめです。

まとめ

猫のくしゃみは、単発的なものであればそれほど心配ありませんが、長く続く、発熱などがみられる場合は深刻な病気が隠れている可能性もあります。重症化すると治療が困難になるため、愛猫の様子がおかしいと感じる場合は速やかにかかりつけの獣医師に相談しましょう。

また、猫のくしゃみにかかわる病気の診療費は高額になるケースがあるため、万が一の備えとしてペット保険の加入を検討しておくことをおすすめします。

ABOUT ME
記事監修|葛野 莉奈 先生
かどのペットクリニック院長。 麻布大学獣医学部獣医学科を卒業後、神奈川県内動物病院にて勤務、ペットショップ巡回などを経て2015年に開業。 普段の診療では皮膚科や産科、新生児診療に力を入れています。私生活ではミニチュア・ダックスフントたちと生活しています。 http://www.kpc-kirakupe.com/index.html
ABOUT ME
トリセツ編集部(アニマライフ)
トリセツ編集部(アニマライフ)についてはこちら>>

ペット保険のスペシャリストである少額短期保険募集人資格保有者が記事の執筆・監修をしています。ペット保険の情報をわかりやすくお伝えすべく、日々最先端のペット保険情報をチェックしています。犬や猫の「もしものとき」に備えるためのペット保険選びを正しい情報でサポートします。
×